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寄生樹  作者: hiro0720
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プロローグ

完全に小学生の作文レベルです。試しに書いてみたまでです

そこは――天界と呼ばれる場所だった。

果てしない白い雲海の上に浮かぶ、純白の巨城。

だがその神聖な光景は、突如押し寄せた闇の群れによって一変する。


数十万の怪物が、黒雲のように天を覆い尽くしていた。

中央には、一際強大な魔力を纏った男が立っている。


「来たか……」

副官ぺぺは唇を噛み、怪物たちを睨みつける。


「天使たち! 敵を迎え撃て! 一体残らず殲滅せよ!」


号令と共に、天使たちは輝く武具を手に舞い上がった。だが――。


怪物の群れは圧倒的だった。数の暴力、そして凄まじい闇の魔力。天使たちは次第に押され、光はじわじわと呑み込まれていく。


ぺぺ自身も首謀者の男と剣を交えていたが、力の差は歴然だった。男はまだ本気を出していない。それでも、ぺぺは完全に圧倒されていた。


「……このままでは……天界が……!」


絶望の色が濃くなったその時、ぺぺの頭に声が響く。

念話――女神からの呼びかけだった。


『ぺぺよ。天使たちを下がらせなさい。あなたもです。ここからは、私がやります』


「なりません! ヴィクトリア様! もし貴方に何かあれば……人間界を守る結界が――」


『黙りなさい、ぺぺ。私が、こんな有象無象に負けるはずがないでしょう。これは命令です。天使たちと共に下がりなさい』


その声は揺るぎなく、威厳に満ちていた。

ぺぺは歯を食いしばりながらも、従うしかなかった。


天使たちは次々と転移魔法を展開し、光の残滓を残して消えていく。

最後にぺぺは渾身の一撃を男へ叩き込み、転移で戦場を離れた。


怪物の軍勢が巨城へ迫ろうとした瞬間――。


「さて……」


白銀の光に包まれた女神ヴィクトリアが、群れの前に立ちはだかっていた。


次の瞬間、光の矛が天を裂く。

数十万の怪物たちは悲鳴を上げる間もなく貫かれ、塵と化して消えていった。


――僅か数秒の出来事だった。


残されたのは、首謀者ただ一人。

胸を貫かれたはずのその男は、血を流しながらも邪悪な魔力で傷を塞ぎ、笑った。


「フッフッフ……さすがは女神だ。しかし――貴様はここで終わる。闇は必ず、この天界も人間界も飲み込む」


「黙れ、外道!」


再び光の矛が放たれる。しかし男は剣でそれを弾き返した。


「な……!」

ヴィクトリアの表情がわずかに揺らぐ。


男は冷たい声で告げる。

「先に名乗っておこう。我が名は――ダークネス。闇に生きる者だ」


「知らないわ、そんな名前」


ヴィクトリアは即座に光の剣を顕現させ、瞬きの間にダークネスの懐へ踏み込んだ。剣と剣が交わり、轟音が天界全体を震わせる。


――女神と闇の化身による死闘が始まった。


戦いは三日三晩続いた。


そして――決着の時が訪れる。


ヴィクトリアの剣が深々とダークネスの腹に突き刺さり、光が彼を包み込む。


「ぐ……ククク……ここまでか。だが楽しかったぞ、女神ヴィクトリア。また会おう」


最後まで笑みを浮かべたまま、ダークネスは光の中に消滅した。


「二度とごめんよ……外道」

ヴィクトリアは剣を手放し、地上へ降り立つ。


「やった! 女神様が勝った!」

戦場を遠くから見守っていた天使たちとぺぺは歓喜の声を上げた。


だが――。


ヴィクトリアは地に降り立った直後、前のめりに崩れ落ちる。


「ヴィクトリア様!」

駆け寄るぺぺに、女神は微笑みを返す。


「どうやら……ここまでのようです。あとは……頼みましたよ……ぺぺ」


そのまま目を閉じ、静かに息を引き取った。


天使たちは女神の亡骸の前に膝をつき、声を上げて泣き崩れた。

やがて――人間界を守っていた結界は消え失せ、女神の魂は光となり地上へ舞い降りていく。


何十年、何百年、何千年……。

女神の魂は彷徨い続け、巡り巡って――やがて、一匹の子猫へと宿る。


だがそのことを知る者は、誰一人いなかった。

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