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ポンコツ怪盗団に転生したけど、敵のフリして勇者育ててます  作者: 振り米
二章『祝福なき婚礼、誓いの怪盗』
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16話『ハートのクイーンは薔薇に微笑む』

 塔の中は、まるで時間が止まったかのように静かだった。


 月光が石造りの床に淡く降り注ぎ、風もないのに薄絹のカーテンがふわりと揺れている。蝋燭の灯りがぽつぽつと揺らめきながら、部屋の空気にそっと温度を添えていた。静寂は濃密で、どこか夢のなかにいるような、現実味のない感覚さえあった。


 アメリア姫は、背筋をぴんと伸ばして椅子に腰かけていた。その所作は絵画のように静謐で、誰が見ても王家の器と分かる気高さに満ちている。完璧に整った姿勢、無駄のない視線──だが、それが完璧すぎるがゆえに、どこか作り物めいて見える瞬間もあった。


 ──だけど、俺は知っている。その仮面の奥にある、“ほんとうの顔”を。


 俺はしゃがんだ。床の冷たさが膝を伝うが、それよりも大切なのは、彼女と目線を合わせることだった。威圧でも、哀願でもない。対等な距離で。


「……それで? “怪盗アッシュ”様は、何を盗みに来られたのかしら?」


 その声音には張り詰めた警戒と、ほんの一滴の興味が混ざっていた。氷の仮面にひびが入る前触れのように、その声はわずかに柔らかかった。


「今日は何も盗みに来てませんよ。……いや、違うな。ひとつだけ、いただきに来たものがあります」


「……まあ。なんでしょう?」


「お姫様の、退屈な夜の三十分ほど。話し相手になれれば、寂しさがちょっとだけ和らぐかなって」


 芝居がかった口調でそう言いながら、軽くウィンクをひとつ。わざとらしいジェスチャーに、アメリアは目を細める。その目に宿る感情はまだ測りかねるが、少なくとも冷え切ってはいなかった。


「……怪盗さんというのは、そういった軽薄なお戯れも嗜まれるのですね」


「軽薄はサービスです。ほら、俺、第一印象で“真面目そう”って言われないタイプなんで」


「ええ、残念ながら……一目で“信用してはなりません”と感じましたわ」


「ズッタズタに刺さってるんですけど」


 そんなふざけた怪盗流のやり取りにくすりと笑う。わずかに緊張がほどけた空気が流れ、部屋の温度が少しだけあたたかくなった気がした。

 アイスブレイクってやつだ。


「じゃあ、せっかくなのでおしゃべりの前に“夜の塔のお嬢様”へ怪盗流の余興を」


「……余興?」


「ええ。突然ですが、怪盗は話芸だけではございません。なんと手品もたしなみます!」


 そう言って、俺はポケットから一組のトランプを取り出した。パラリと月光の下で光るカード。雰囲気だけは完璧だ。まるでステージに立つ手品師のように、トランプを両手で広げながら得意げに笑う。


(……このシチュ、ルパン三世カリオストロの城っぽくてえもいよなぁ)


 思わずテンションが上がった俺は、カリオストロの城に侵入したルパンに自分を重ねて、普段はやりもしない手品をしようと決意する。格好つけることにしたのだ。ここぞという場面、決めるなら今──。


 カッコよくシャッフルをキメるべく、片手でトランプを操る──


 が、次の瞬間。


「……あっ」


 バサァッ! 


 月光の下、トランプが絨毯の上に雨のように散らばる。まるで氷の城に降る、赤と黒の紙吹雪。静寂の中に響くカードの落下音だけが、情けなさを物語っていた。


「……」


「……」


「ちょっとした演出です。第一演目、心を乱すトランプの舞」


「……まあ、なんとも風流ですね」


 彼女の顔には、絶妙に読み取りづらい笑みが浮かんでいる。たぶん八割がた呆れてる。いや、もうちょっといってるかもしれない。


 俺は咳払い一つで空気をごまかしつつ、カードを慌ててかき集めた。やたら滑る絨毯に翻弄されつつも、ようやく束を整え、再び彼女に向き直る。変な汗が背中をつたう。なんでこんなに本番に弱いんだ俺は。


「さて、気を取り直して。では、カードを一枚引いてください」


「……こう、ですか?」


「はい。……では、カードは戻していただいて……よし、混ぜます。──さあ、アメリア姫」


 俺はシャッフルしたトランプの山札から一枚のカードを抜き取り、すっとアメリア姫の前に出した。


「あなたが引いたカードは……ずばり、ハートのクイーン!」


「……」


「……」


「……いいえ。スペードの三でしたわ」


「……そんなこともある」


「わりとあるのでしょう?」


「いや、これはそうですね、逆にすごい。当てないっていう芸風かも。革命的な発想力……!」


「……前向きな方、なのですね」


「……いまのは、マジでウォーミングアップです。次から本気出すので」


「……どうか、お願いしますわ」


 呆れを通り越して、お慈悲のまなざしみたいな何かを向けられる。だが、不思議とその空気は──あたたかかった。


 手品は、まあ……成功とは言いがたかった。


 というか、あまりにも堂々と外したせいで、いっそ新ジャンルの芸に昇華した感すらある。たぶん、ここから三千年後の歴史書には「モノクローム怪盗団トランプ事件」なんて項目が生まれてるだろう。


 だが、まあ──。


「せっかくなので、これ。記念にどうぞ」


 俺は、最後に手元に残ったカードを一枚、アメリア姫の前に差し出した。


 カードの表には、月のように静かな光をたたえたハートのクイーン。……俺のハズレ回答のやつだ。裏返して持っていたのを、タイミングを見計らって入れ替えた。ささやかなリベンジ。魔術と仕掛けを使った、さっきの失敗を“ほんの少しだけ挽回する演出”だ。


 彼女は少しだけ驚いたように目を瞬かせ、それから──そっと、手を伸ばした。


 指先がカードに触れた、その瞬間。


 ぱっ、と。


 カードは、まるで煙に解けるように形を変えた。


 ハートのクイーンの赤が広がり、紙の端が舞い、香りが立つ──。


「……!」


 そこにあったのは、一輪の赤い薔薇だった。


 咲き誇る寸前のような、慎ましくも美しい花弁。夜風にゆれる細い茎に、棘ひとつない魔術的な優しさを宿していた。まるで誰かの孤独にそっと寄り添うためだけに咲いたような、不思議な儚さがそこにはあった。


「今はこれが精一杯」


 俺は照れ隠しに肩をすくめてみせた。

 言いたかったこのセリフ。

 このシチュエーション、これを言わなきゃ転生者が廃る。カッコつけない怪盗なんて、ただの盗っ人だ。


 アメリアは、しばし薔薇を見つめたまま、黙っていた。


 その横顔は静かで、どこか寂しそうで──でも、ほんのわずかに、唇の端が、揺れていた。すぐに消えてしまいそうな、けれど確かにそこにあった、少女の微笑み。


「……まあ。さっきまであなたを本当に信用してよい方なのかしらと思っていたのですけれど」


「まだ思ってても大丈夫です。この薔薇が咲ききる頃には、もうちょっとマシな男に見える……かも?」


「……そうですわね。では、信じるのは……この薔薇にしておきましょうか」


 彼女はそう言って、赤い薔薇を胸元にそっと抱いた。


 それは王女としての品格ではなく、一人の少女としての、ごく小さな“受け取り方”だった。守られる者ではなく、誰かに心を傾ける“ひとりの人間”としての、ひそやかな応答。

 その仕草が、なぜか胸に残った。


「さて、余興もこんなところでお話でもしましょうか。姫も少しは俺のことを面白い男と認識し出したかと思うので」


 そう切り出すと、彼女は静かに眉を上げた。表情は柔らかいが、瞳の奥にあるものは読めない。

 俺の冗談が通じているのか、それとも通じているフリをしているだけなのか──。


「余興上手な怪盗さんってところかしら? お話も期待していいのかしら」


「こう見えても、会話力は結構評価されてるんですよ? ええと、仲間内からは“うるさい”“口が減らない”“少し黙れ”って」


 我ながらフォローの効かない冗談だったな、と喋りながら自覚する。けれど、不思議と姫は楽しそうに微笑んでいた。


「それ、評価ではなく苦情ですわね?」


「ぐっ……! 姫様ってば、意外と毒舌……!」


 意外と、と言ってみたが、それは言い換えれば「そうであってほしくない」という願望だったのかもしれない。


「これは毒ではありませんわ。事実を丁寧に述べているだけです」


「綺麗な薔薇ほど棘があるってね……!」


 俺が軽く肩をすくめると、彼女はくすりと笑った。その笑みは、まるで夜空に咲く一瞬の火花のようだった。

 だが次の瞬間、ふとその表情が真面目なものに切り替わる。


「では……怪盗アッシュ様。貴方のそのお仲間のお話など、少し聞かせてくださいません?」


 ──仲間の話、か。


「え? あー……地雷踏みにいきます?」


「まあ?」


 その返しに、俺は小さく息を吐いた。なんというか、こう、押しが強い。だが嫌じゃなかった。

 仕方ない。どうせ話すなら、ちゃんと笑ってもらおう。


「じゃあ……まずは我が怪盗団の突撃隊長クロ。基本的に脳筋で元気いっぱい。さっきも警備犬に見つかった瞬間、四つん這いになって“ワンワン友好作戦”発動しました」


「……はい?」


 姫の眉がひくりと動いた。反応が予想以上に真面目で、逆に俺のほうが笑いを堪えそうになる。


「肉球付きの手袋を装着し、“あたしもワンちゃんです〜”って全力で吠えながら、犬と転がって最終的に腹出して添い寝してました」


 ──なお、その間、警備は完全に突破されていた。人間、思い込みと勢いって大事なんだなと、しみじみ思う。


「……ええと、破天荒でいらっしゃるのね」


「ちなみに本人は猫を自称しております」


「犬じゃないのね……」


 呆れているのに、どこか嬉しそうな笑顔。苦笑という名の、優しい同意。

 どうやらクロの破天荒さは、この塔の中でも受け入れられるらしい。


「で、次がシロ。彼女は知的でクールな参謀タイプ。モノクローム怪盗団の戦術参謀です。結界と情報戦は天才級」


「魅力的な方ですわね」


 アメリアの目がふわりと輝く。その一瞬だけ、彼女が“ただの女の子”に見えた気がした。


「でも、本日こっそりこのお城にお邪魔した時──“この罠、美しい……侵しがいがある”って言い出したときは引きました」


「それは、変わった……ご趣味をお持ちですのね?」


「うん、性癖が魔術方面に特化しすぎてて、もはや理解を諦めました。あといっつも俺には冷静に突っ込んでくる。おかげで、心の傷が癒えません」


 言いながら、自分の心のどこかがじんわり温かくなるのを感じた。


「でもね、2人ともめちゃくちゃ大切で、愉快な仲間なんですよ。クロ、うちの突撃隊長は、世界一トリッキーな戦闘が得意だ。そしてシロ、うちの参謀は、頭の切れ味は世界一だからな」


 どんなに突っ込まれても、信頼という名の繋がりは消えない──それが、仲間というものなんだろう。


「……ふふ。なんだか、羨ましくなりますわ」


「羨ましい?」


 彼女の言葉が、思いのほか静かだったことに、俺はすぐ気づいた。


「ええ。貴方の傍には、遠慮なく言葉を交わせる、信じ合える方々がいらっしゃるのでしょう?」


 その声には、ほんのわずかな寂しさがにじんでいた。

 さっきまでの笑顔が、どこか遠くへ行ってしまったような、そんな気がした。


「私はね、アッシュ様。そういう相手は……おりませんの」


 冷たい言葉ではなかった。でも、温度のない声だった。

 だから、俺はわざと話題を切り替える。重くなりすぎないように、彼女の心を少しでもほぐすために。


「じゃあ逆に姫様の話をしましょう。……あの、先ほどから気になってたんですけど、この鳥籠のようなお部屋でいつも何をされているのですか?」


「ええ? ……ああ、はい。最近は読書と──この紅茶を飲んでばかりですわ」


「やっぱりか……実は、さっきその紅茶を味見してみたんですよ。姫用に淹れたのかな? 厨房にあったので」


「それ、普通に窃盗ですわよね?」


 まるで、いたずらを見つけた教師のような口調だった。けれど、声の端には微かな笑みがあった。


「……怪盗ですから」


「というか、毒見もしないで飲んだのですか?」


「いやでも、姫様のお茶に毒が入ってるとか、想像できなくて……。だって、こう……いい香りだったし……」


 紅茶の香りは、確かに優しくて、懐かしくて──気づけば口をつけていた。

 俺の慢心かもしれない。でも、それでもいいと思えるほどに、柔らかな香りだった。


「……危機感、ゼロですわね。私のだからこそ入ってる可能性だってありますのに……」


「違うんです。お茶の香りに勝てなかったんです。人間って、香りに弱いんですよ」


「わたくし、毒草の知識、意外とありますのよ?」


 ──どんな育ち方をすれば、そんな紅茶談義に毒草の話が出てくるのか。さすがお姫様教養がおありですねとでも言うべきだろうか。

 笑っていいのか少し迷ったが、結局俺は口の端を緩めた。


「え、こわ。やっぱさっき俺が厨房で飲んだやつ毒入ってませんよね? 既に脳とか侵されてませんよね?」


「ご安心ください。せいぜい、少し口が滑りやすくなる程度の……ふふ」


「うわ姫様怖い! やっぱり美しい薔薇はトゲトゲしいんですね!」


 彼女は笑った。今度は、さっきよりも深く──心からの笑顔だった。

 まるで、凍てついた空気に少しずつ春の匂いが混ざり始めるように。


 とりとめもなく、そんな会話を交わしているうちに、俺自身がこの時間を手放したくなくなっていた。


 しかし、それでも数秒もすると、姫の顔は暗いものへと逆戻りしてしまう。

 まるで、風に揺れる灯火がふっと翳るように。


 そして、不意に姫は言った。


「……こうして話せてとても嬉しいの。ずっと、ずっと……独りでしたから」


 その一言に、俺の中で何かが静かに動いた。


 だから、告げる。


「──今日は、もう一人の想い人から、言伝を預かって来ました」


 一瞬、空気が凪いだように思えた。俺の言葉が、静かに彼女の胸に落ちていくのを、息を潜めて見守った。


「……どなたの、ことかしら?」


 彼女の声音は穏やかだったが、その裏には警戒と、微かに震える希望のようなものが潜んでいた。


「シスター、リシェルです。ご存知ですよね、彼女のこと。“どうして笑わなくなったのか”“本当に望んでここに来たのか”……ずっと気にかけてました」


 俺の言葉に、彼女は目を見開き、そして──そっと、目を伏せた。


「リシェル…………」


 名前を呼んだその瞬間、彼女のまつげが微かに震えた。記憶の奥にしまい込んでいた、大切な誰かの姿が、彼女の中でゆっくりと蘇ったのだろう。


 そして、しばしの沈黙を挟んで、彼女は口を開いた。


「……あの方は、本当に、変わられませんのね。いつまでも、あまりにも優しすぎて……眩しいくらい」


 その言葉に、胸が少し痛んだ。俺に向けられた言葉ではないけれど、それでも彼女の声に宿る光と影の交差が、妙に心に刺さった。


「だからこそ、届いてほしかったんです。あの人の言葉は、きっと、貴女がずっと待ってたものだから」


 祈るような気持ちだった。リシェルの想いを、彼女の中の“凍った時間”に届けたかった。ただ、それだけの願いでここに来た。


 そして、アメリアは静かに呟くように語り出した。


「……私はね、アッシュ様。生まれた時から“使われる器”だったの」


 その声には、酷く乾いた諦めが混じっていた。それは“悲しい”とも“苦しい”とも少し違う、もっと冷たい、もっと長い時間の中で形を成した感情だった。


「私の中には、“祝福の因子”がありますの。人の力を増幅させる……けれど、自分自身を空にしていくような、呪いに近い力。

 そのために、私はこの国に連れて来られたのですわ。皇太子殿下の傍に飾られる、玉座の装飾品として」


 言葉は静かだった。それが逆に、胸に深く沈んでくる。抗いようのない運命の檻を、まるで自分でも受け入れたかのように、彼女はそれを口にする。


 部屋の外から吹き込む風が、カーテンをふわりと揺らした。月光がその布を透かし、ぼんやりとした影を床に描く。


「でも、逃げれば終わるのです。父様も、母様も、アルヴィエーレの領民も……バルナス皇太子は、そのような脅しを平然と口にされますの」


 その手が小さく震えていた。けれど、彼女は涙を見せなかった。震えを堪えながら、毅然とした姿勢を保ち続けていた。


 ──強い人だった。あまりにも、痛ましいほどに。


 だから、俺は言った。少しでも、その強さを支える側に立ちたくて。


「婚姻の儀の当日──俺たちは精霊石を盗みに参ります」


 まるで絵本の中の怪盗のようなセリフだった。でも、俺は本気だった。


 アメリアは目を見開いた。驚きの色が静かに広がっていく。だが、それでも彼女は言葉を返さず、ただ俺の続きを待っていた。


「──例えばその時。あらゆる状況を覆す計画があったとします。この国の腐敗も、あなたの故郷の命も、すべて──もし、それが果たせるなら。あなたを盗み出しても……よろしいでしょうか?」


 空気が止まったような沈黙が、部屋を満たした。俺自身の心臓の音だけが、やけにうるさく響いていた。


 やがて、アメリアはそっと目を伏せた。長い睫毛が頬に落とす影が、一瞬、月の明かりに揺れる。


 そして──ふっと、微笑んだ。


「……もし、誰かが本気で“私を盗みに来た”と、そう言ってくださるのなら──その時は、行きますわ」


 それは、まるで祈るような静かな笑みだった。柔らかく、儚げで、それでいて確かな決意の灯をたたえていた。


 凍りついていた時間が、そっと動き出す音が、確かに聞こえた気がした。


 俺は、静かに立ち上がる。


「じゃあ、約束ですね。あとで“精霊石のついでに姫様盗難事件”で手配されても文句言わないでくださいよ?」


 軽口のつもりだったが、声が少しだけ震えていた。たぶん、自分でも気づいていたのだ。これは──もう、後戻りできない道だと。


「ええ。怪盗様の逃走劇に、ぜひ最後までお付き合いさせていただきますわ」


 アメリアは言った。柔らかく、少しだけ楽しげに。そしてもう一度、笑った。


 その笑顔を、俺はきっと忘れない。


 この夜、誰にも知られぬ場所で、誰にも知られぬ約束が交わされた。


 塔の中、月光の下。

 “盗まれることを望む姫”と、“盗むと決めた怪盗”の、静かな誓いだった。

このお話を書きたくて2章を書きました!

いいよな!カリオストロの城!マジ名作!

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