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第45話、試験前夜

「瑞樹さ、あしたりテストけ?ぎょうさん、こしらえるっちゃ」「はい。ありがとうございます」「これ、ねこさんにも〜」「ありがとうございます」


改めてこのエーテル翻訳機の素晴らしさを実感している。おそらく、普通に聞いていても訛っているのだろう。「え?瑞樹、食堂のおばちゃんの話わかんけ?」エドには、君の翻訳もちょっと訛りがあるとは言っていない。


「明日のテスト、頑張れ、ですね。ありがたいことです」「あー、召喚された水龍に挑んで負けて一晩のされた時に当直だったおばちゃんに面倒見てもらったってやつ?」「微妙に間違ってますが、お世話になりました。修さんが心配して学園まで来てくれたので、驚いてましたね」「瑞樹の保証人って、猫じゃなくて、クロックタウンの次代市長と噂の女子だよね?」「あのお化け政治家だよ、確か。瑞樹が来たら即座に世話役に就くし、やり手すぎ」


リリーは確かに単なる一研究者を超えているし、何より青いエーテルギア保持者。私のエーテル翻訳機も、市販品をリリーが調整したものであり、分解してみたが、今の私にはリリーがくれた説明書がなければわからない機構だった。


なろう系の物語や、テレビドラマなら無双していたはずの転生者である私の「現実」は、無双どころか勉強ばかり。チートになるだろう「翻訳機」も市販品。異世界人より、リリーの方が「無双中」であり、物語なら私はサブキャストだと思う。


世の中はそんなに甘くない反面、こうして友人達とテスト勉強できる、人の絆に恵まれて、順調にスタートしている。


「瑞樹、何ニヤニヤしてんだ?」「え?してました?」「してた」


食堂でつまみながら、勉強していたら祐二がやってきた。


「あら、失礼。祐二は順調ですか?」「ああ、俺も飛び級を狙っている。こっちも競争だな」「芝居と違ってアガリは複数です。協力しましょうよ」「ああ、と言いたいが、お前の字、読めないんだが?」「異世界製、オリジナルの象形文字です。味があるでしょう?」「サインする時にはやめとけよ」


祐二は達筆だった。私は異世界人だから仕方がないだろう。日本語とこちらの単語混じりのノートはまるで暗号みたいだと個人的には気に入っている。


「みっずきん!これ、間違ってるよ?」「プラム、寝てます?」「これから!試験前日までは徹夜もするけど、前日は寝る!食べる!」「テンション高いな、プラム」「レオンは、今回?」「ああ、共通科目と総論1を狙っている。俺はサッカー特待生だから、そこまで飛び級卒業にこだわってない」「レ・オ・ン、目の下、化粧みたい」「勉強、そこまで得意じゃないんだよ」


テンション高いプラムに突っかられたレオンも加わり、だんだんと騒がしくなってくる。

「よっしゃ」「しゃー!」

腹の底に力を入れて、声を出したら、周りが応えてくれる。さあ、あと少し。

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