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第44話:首輪

この世界を「スチームパンク」だと、始めは思っていた。内燃機関のない外燃機関の世界であり、石油と電気の代わりにエーテルという液体化して貯蔵できる生命エネルギーの世界。


生命エネルギーなら生体から使えば良いと、エーテルギアが作られた。向こうでは自家発電などにあたるのだろうか。小さなエネルギーに思考性を持たせて増幅させるエーテルコンダクターがこの技術の肝だった。


このエーテルコンダクターを生体かエーテルバッテリーからのエネルギー供給以外で賄う、生命が近くにある限り動き続けるエーテルコンダクターとそのギアは「青いエーテルギア」と呼ばれる。


一般に大変高価であり、また制御装置が故障してしまうと暴発し、永遠と動くこのエーテルギアを危険視する声は当然ある。


「この世界に電気という概念はすでにあって、紀元前には廃れた、と」「はい。エネルギー効率だけみてもエーテルの方が効率がよく、エーテルギアに対しては外燃機関の方が相性がよかった、というのが答えです」


夏休みの終わり、リリーに大都会のお土産を持って行ったときに、電気について聞いてみた。価電子のような性質をエーテルが持っていないのか、などの話をして、いくつかの資料や本も借りてきていた。


「エーテルギア総論⭐︎3のテスト:設計図を描いて通信装置のエーテルギアを作ってみよう!(設計図等事前提出、当日120分で組み立て、30分口頭試験)」


必須10科目、60単位。そのうち「国語」「体育」「社会」「数学」「教養」が共通科目であり、一年生の必須科目になる。残り必須科目は5科目、25単位。「エーテルギア総論」「エーテルギア倫理」「エーテル総論」「エネルギー総論」「卒業研究」。


もちろん他にも選択科目があり、鉱物学や物理学、美術、音楽などもある。初級共通科目確認テストに合格すれば、必須科目は一年生は5回、二年生以後は6回受けられる。


「あなたの力が必要です」『ゴロゴロ』「あなたの首輪を作らせてください」『ゔー』「修さん、あなたが心配なの。俺と一緒にいるって、あなたが決めたんでしょ?」『ぷい』「もう!」


ペーパーテストは勉強するしかない。異世界人として国から補助が貰えるのは10年。ベーシックインカムに加えてリリーのような慣れるまでの介助や住宅斡旋、保証人の免除など様々な制度的特権がある。


「修さん、ちょっと我慢しましょうね?」『にゃ〜』「本当に賢い猫ですね」「リリーの胸に顔埋めて幸せそうなその方は、本当に猫というよりオスですね」「え?」「あ、今、測定してますから、あと3分捕まえていてください」「はい。修さん用の首輪ですか。随分と手の込んだ、橘さんらしい効率的なギアですね」『プアッ!』「バンドギャップに別のエーテル材を用いるのが肝です」「特許化しましょうね。あとで研究所に申請する用紙に記入してください」


試験前にある程度準備し、当日試験官の前で組み立てる。今回は「猫の首輪」。大切な修さんと一緒にいる為に、しっかりと作る。


『にゃ〜』「全く、人の気も知らないで」『うにゃ?』「もう、寝ますよ、ほら」『にゃ』


試験まであと3日。

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