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エル・フィリップ・フロラルス4世


  アリロスト歴1820年   3月




  ジュリアン・プレシーが銀盤写真を撮ることに成功した一週間後、フェリクスが自動馬車を完成させ、エトワル宮殿の広大な噴水庭園でフェリクスが蒸気自動馬車をスムーズに走らせていた。

 蒸気機関の部分は大型化されているが実にシンプルで、座席部分は小さくハンドルは左右レバーで止める時は内燃機関へ空気流入を徐々に入らなくする。

 そして大昔、俺が描いたトロッコみたいな荷台が付いている。


 「これで貨物列車迄荷を運ぶと労力が減ります。馬も疲れさせません。此の自動馬車は最初に故ユニヨ大佐が作りたかったモデルです。蒸気機関を発明した故ユニヨ大佐に感謝を捧げます。」


 胸を張って説明するフェリクスは少し瞳が潤んでいた。

 見学に訪れている多くの人々達は惜しみない拍手をフェリクスへと送った。

 俺は懐かしさと誇らしさで胸の高まりを抑えられずに傍に来たフェリクスを強く抱き締めた。


「お待たせしました、殿下。ユニヨ大佐からの伝言です、父上。」

「ああ、ああ、ずっと楽しみにしていたんだ。有難う、伝言を確かに受け取ったよ、フェリクス。」


  ユニヨC蒸気自動車(通称)は、銀板写真機で撮影され、エトワル宮殿で展示された。

 距離と安全性に問題が在るので販売は先と発表された。

 何所までもユニークな形で、大きく蒸気が上がる姿は何処かコミカルだった。

 あの寒い空の下初めて見た蒸気馬車と怪我をしているのに畏まってたユニヨ大佐が鮮やかに蘇る。

 フェリクスが拘ったユニヨ大佐の荷馬車。

 馬を使わずに兵站を運びたい。

 その想いが結実して蒸気機関になった。

 紡績機になったり、給水機になったり色々な機械が生み出されても、それが蒸気機関車になってもユニヨ大佐が一心に研究する蒸気馬車への拘りが俺は好きだった。


  「有難う、フェリクス。俺が生きている間に見せてくれ。」


 フェリクスは俺の胸で顔を隠すように引っ付いて、俺の背に腕を廻して思い切り締め付けて来た。

 苦しいが、まあ我慢しよう。

 俺より頭一つ分低い47歳の息子が流す、涙を隠すのも父親というモノだ。





   ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




  ルナンド9世は代々マメン=カレの皇帝である。

 南カメリアの最南端に或る広大だが乾いた大地で、古くからモスニアに支配されていた植民地だ。

 海を西へ進む時の補給地とされ、港がある街は繁栄していた。

 其処で帝王として生きる様にモスニア(レオン)からの伝言(命令)である。


  モスニアやヨーアン諸国の何処かへ移すことを考えたが、急進派の活動拠点に成る事は明らか。

 其処でレオンは文献を読むうちにマメン=カレ帝国の存在に気付き、其処で王として生きてれば、モスニアのハブ港としての役割を前モスニア国王として果たせるよなと(命令)。

 つう訳で、ルナンド9世一家はマメン=カレへ行った。

 ルナンド9世と婚姻しているジョルジュの末娘と共に。

 

 「マメン=カレ帝国の後ろにはモスニア、フロラルスが付いてるぞ」と、どう見てもコレって俺らは用心棒っスね。

 フロラルスは南カメリアに港を全然持って居なかったので、ジョセフ陛下とジョルジュはこの話をモスニア大使に聞かされノリノリになった。

 そこでジョルジュは末娘と共に、ルナンド9世をヤル気マシマシで無事に説得した。

 なんだろうね、このレオンに上手く利用されてる感。

 まっ、決定権は当然のこと俺には無いので、ジョセフ陛下の命令通りに動くけどさ。

 こうして俺が不機嫌に成るのとは違い、エーデン王国のサディは自分からグイグイと利用されにレオンとコンタクトを取り、レオンの娘と婚約させた。

 エーデン王国未来の王太子四歳、レオンとレティの娘リュシエンヌ(ゼロ)歳との婚約。

 俺がゲンナリしても良いよね?

 マジで早過ぎだ。

 きっとレオンの戦い方がバーサーカー・サディの琴線へダイレクトヒットしたのか。

 まあさ、ヨーアン大陸に住む以上いつも戦争の可能性を考えて無いといけないが、ホラ歴史が証明しているだろ?

 婚姻同盟を結んでいてもヤる時にはヤるつう関係じゃん?俺らって。

 現在は俺とランツ義兄、サディ、入れたくは無いけどレオンと個人的な交流を通じて、仲良さ気にしてるけど、決して国同士が仲良しって訳じゃ当然ない。

 それに今は共通の敵もいるしね。

 グレタリアン帝国とルドア帝国が色々と邪魔。

 だから2国の力を削ぐまでは一見仲良し外交が成り立つのだ。


 でもってグチグチと話している俺が何を言いたいのか。

 レティの娘をサディの孫に嫁がせるなんて真っ平御免だ!

 うん、それだけ。



 

 

   ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




   アリロスト歴1820年   8月



 5月にレオンハルトが首都ドリードに或るダレ・レアン大聖堂でピカト6世教皇を招き、レオンハルト1世として戴冠し、レティシアも皇妃として戴冠式を執り行った。

 ええー異例だらけの此の戴冠式。

 先ず、王冠はレオンが自ら被り、レティのティアラはレオンが被せた。

 で、此のティアラはボルドとゴドールが俺用に作成したモノをレオンが気に入り、レティのサイズへ調整して被せた。

 この時代は王妃も夫と同じ王冠だったので、レオンからレティへティアラを身に付けさせると、会場がどよめいた。

 何処まで本気だったのか判らないが、レオンは帝冠は血筋に因ってではなく、努力によって戴冠される時代が来たことを示した。

 つうか、そう言うヨーアン諸国に喧嘩を売るのを止めて欲しい。

 それと、教会は政治の支配下に置くって事を招待した人々へ見せ付けた。


 後はトルゴン帝国の王族を招いて居た事にも驚かれたそうだ。

 敵つうかヨーアン諸国に取ってはその昔(本当に大昔)肌の色も宗教も違う彼等に攻められてカリント教は潰される寸前まで来た。

 まあ後に歴史書を読むと彼等にとってカリント教とかヨーアン人とか如何でも良かった。

 でも面倒なカリント教教徒が頻繁に攻めてくる。

 もう面倒だからあいつ等滅ぼそうぜ。

 そんな感じでヨーアン大陸が占領されたんだね。

 「しつけーよ、カリント教。」

 うん、トルゴン帝国のその愚痴は俺的に良く判る。

 一方的に異教徒は敵だー!って攻め滅ぼすまで「聖戦」しちゃうからなー。

 そう言う攻められた記憶が在るので、トルゴン帝国に正式な場所への招待は、余りヨーアン諸国にでは無い。


 「本当に異例尽くしで。」


 滔々とレオンが行った戴冠式の様子を説明してくれるのは詐欺師タレン(外務卿)だ。

 まあ、今までの皇帝とは違うとレオンは線引きをしたかったのかもな。

 

 でもって戴冠式が決まってから知ったのだがレオンて血統貴族の末裔なんだよね。

 古代ロマン王朝で貴族(支配層)つう話。

 勿論だが俺はレオンに突っ込みもせず「へー」って流した。

 だってあの変態レオンだぞ?

 下手に遥か彼方の歴史ロマンや血筋の話に成ったらレオンの話が尽きない事に1万リーブル賭けれる。

 それに現在は売買官制度で準貴族になった息子でしかないしね。

 将来的に暇が出来たら自伝書でも著したら俺は良いと思うよ。



 そしてモスニア帝国つう国名に変わった。

 大方のドリード市民には大歓声で迎えられたけど、残存している元シエラ派の面子からは時代に逆行していると不満が噴出。

 元から反抗していた急進的王党派の逆鱗にも触れた。

 レオンからすれば今更革命戦士など社会秩序を乱すだけなのでサクサクと駆逐して行った。

 でもって英雄が皇帝に成ったことにグレタリアン帝国を含むヨーアン諸国は大きな衝撃を受けた。

 俺やランツ義兄、サディは先に聞いて知ってたが初めて聞いた時は「えっ皇帝?」と吃驚した。

 まあね規模的に王国じゃ無理だよね。

 現状4ヶ国を手中にしている(公国や自治領も含めるともっと多い)レオンはレティが心配していた通りトップに据える血縁不足に腐心していた。

 一先ず弟をポガール王にして、ポガール王国を治める。

 後の国は腹心を代理総督として立てた。

 レオンにしては珍しい準備の悪さに、マジでレオンは「モスニアの王に成る心算は無かった」のだなと俺は思った。


 じじいは自分の娘をレコ=ヴィラン公爵の養女にしてモスニア帝国へ公妾として嫁に出した。

 公妾制度をフロラルスだけでなくモスニアにも輸出し、ピカト6世教皇周辺は激怒してるとか。

 つうかモスニアでは側室って言うらしいよ。

 でもレオンてモテてるらしいから公妾とか、その内に不要になるんじゃね?

 そう考えたけど、今日も届いたレオンの駄文を読んで「ないな」と思い直した。







  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





  「じじい、またルドア帝国の領土が広がった。」

 アルフが不服そうに地図を広げて、トルゴン帝国にある有数の港までの距離を逆算していた。

 其処に白髪頭に成ったトーマやロヴァンスの息子エミールとマルクが茶々を入れて混ぜっ返す。

 口を尖らせてアルフは地図を持って此の談話室を出て行った。


  皆がアルフと関わっていたいだけだと言う事を何時まで経っても理解しおらん。

 何時も何処か緊張していたアルフがレオンハルトと交流するようになって、張って居た何かが緩みアルフの空気が和らいだ。

 なあ、ロヴァンスもそう思うであろう?

 全くロヴァンスもシャトレも皆、とっとと逝きおって。


  「申し訳ございません。陛下。」

  「私ももっとアルフレッド様の側に居たかったのですが。」


 余の目の前には70年代に出逢った若々しいロヴァンス、シャトレ、ベルイル、デュイス、モレーが微笑み、あの頃と同じ様に議論を始めた。

 余はあの頃と同じ様に賑やかな皆の議論を止めようと立ち上がった。

 信じられない程に、その肉体の軽いこと。

 アルフに心配させまいと無理に談話室で身体を起こしていたが、実際には身体が重く、アルフが傍にいない時はソファーベットで横たわっていた。

 此の軽さは、まるでラウラが生きておった頃のようじゃ。

 そして余を迎い入れたロヴァンスたちが一斉に頭を垂れた。

 その方角を余は目で追った。


 「フィリップ様、お久しゅうございます。」

 「おおー、我が師リシュリー。また会えるとは。」

 「はい、私も嬉しゅうございます。王として立派に務め上げ、後へと繋げましたな。まあ女癖の悪さは素晴らしい孫の力を持ってしても治せなかったようですが。」

 「女無くして何が人生か、だ。だがそうか、師に認めて貰えるか。」

 「ええ、我らが偉大な王、エル・フィリップ・フロラルス4世国王陛下に祝福あれ。」


 我が師リシュリーがそう告げ首を垂れるとロヴァンスたちも次々と頭を余へ垂れて行った。

 枢機卿だった師の両手からは余を導く光が零れた。


 余はふと泣き出しそうなアルフの顔を想い出した。

 そして天然痘から癒えたアルフの表情や言葉が次々に過って行った。

 アルフと2人で行った悪巧みや変革が思い起こされた。

 あの日から51年間。

 歴代の王たちでも味わえなかっただろう興奮と充足感を余は思う。


  「有難うアルフレッド、素晴らしき我が人生だった。」


 願わくば、余が逝った後にアルフの哀しみが軽いモノで在る事を。

 余たちはアルフの幸を願って光の道へと歩き始めた。




 

  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 

 アリロスト歴1820年   8月27日


 偉大なる王エル4世が逝去された。

 


 7歳から85歳までの78年間もフロラルス国王として君臨し続けた。

 苛烈だと言われた制度改革を成し、法改正、財政や金融も改革しフロラルス王国内で、現在に於ける発展の礎を築き上げた。


 15年以上に及ぶ凶作にも果敢な施策で何処よりも安定した穀物対策を行い飢える人々を軽微にした事も記憶に新しい。

 引退後は王都直轄領で始めていたエル4世小学校を各地へ建設し広める事にも尽力した。

 現在は各地方都市7カ所で王立総合大学も造られ各領地での発展に貢献。

 また科学・芸術にも造詣が深かったエル4世は、王家主導で様々な振興財団を設立した。

 オペラ劇場・バレエ学校、音楽ホール建設は有名である。


 神に愛され110年の人生を生きたエル4世。

 彼を戴けたフロラルス王国は幸いである。


  エル4世の死はフロラルス王国民だけでなく他のヨーアン諸国にも衝撃を与えた。


 オーリア帝国、ランツ3世。

 「マジか、エル4世は死なないと思ってた。」

 エーデン王国、サディは「あのパワフル爺が居なくなると寂しいぞ。」

 プロセン王国、フリード3世は「重しが消えた。フロラルス内部で動きが在りそうだ。」

 グレタリアン帝国、オルテシア皇帝「しつこい爺がやっと消えた。アレの所為で手酷い目に遇って居たもの。さて新たな戦略を練らねば。」

 ルドア帝国、「これで暫くはフロラルスが何か言ってくる事も無いだろう。トルゴン帝国を手に入れるぞ。」


 他の諸侯も祝砲を上げる程に喜んでいた。


 ただモスニア帝国のレオン皇帝は痛みに耐える表情でトゥリー城がある方向の空を見詰めていた。


 「きっとアリーは悲しみに震えているに違いない。俺が傍に行かなければ。」

 「今は典礼の真っ最中でしょう、レオンが行ってもエル公爵に迷惑が掛かるだけだ。」

 「しかしテオ、俺には判るのだ。アリーが心からエル4世を慕っていたと。どれ程に嘆いているか。」

 「はいはい、また手紙でも書いて励ませば良いさ。それよりも今日は東ポーランのヤン国王との会談がある。早く外務大臣との話を詰めてくれ。エル4世の訃報を聴いてから、ずっとその調子で皆がレオンの裁可待ちだ。エル公爵にも誓ったのだろ?最高の国でエル公爵最愛のレティシア妃を最高の皇妃にしてみせると。その最高の国にする為にレオンは頑張れ。」

 「そう、だった。分った。」




  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




  訃報を知らされ談話室へ俺は掛けて行った。

 ソファーベットに寝転ぶじじいは、まるで昼寝でもしているように長閑で、そして満ち足りた表情を浮かべていた。

 全く逝くなら俺に先刻(さっき)一言でも別れの言葉でも言っとけよ。

 そんなに満足し切った顔で逝かれたら俺は何も言えねーよ。

 ホントさ、仕事は大嫌いで女が全てのくそ祖父だったけど、俺の提案した望みは叶えようと頑張ってくれていた。

 俺の話す言葉や価値観は理解出来ていなかったけど、それでも分かろうとして俺の話を尋ねては何度も聞いてくれた。

 納得すると行動が速くて、此の時代に於ける王としての倫理で動くから、俺の方が衝撃を受けさせられたりもした。

 俺はじじいからこの時代の生き方を学び、この時代の価値観を育てられた。

 俺に取っては父であり母であり、俺の感情を僅かでも委ねられる癒しでもあった。

 じじいを知る内に、馬鹿みたいに高いプライドや子供みたいな我儘、でもって女にはトコトン甘いじじいが大好きになって、何としてもじじいの魂を聖職者達から守る事が俺の生存目標にもなった。

 ホント俺がこの世界で、もう一度目覚めたのはじじいを救う為だったのじゃ無いかと今も思う。


 寂しくって堪らない。

 だけどじじいは恐らく幸せに満ちて逝った。

 少なくとも俺をこの世界に呼び戻した神か悪魔は俺の願いを叶えてくれたのだろう。

 しかし本当、俺って阿呆だよな。

 こんなクソじじいを一番大切に愛してたんだから。


 気が付けばジョルジュがじじいに取り縋り大泣きをしていた。

 俺はゆっくりと歩いてジョルジュの傍に行き震えている身体を抱き締めた。

 悲しむなよジョルジュ、じじいは幸せだった。

 俺たちは何かを企むじじいの悪戯っぽい笑顔を想い出していれば良いのさ。

 きっと今だって悪戯が成功したとじじいは手を打って笑っているさ。

 俺は自分に言い聞かせるようにそう告げて、ジョルジュを慰めたのだった。




  フロラルス王国は、エル4世へと哀悼の意を示し一年の喪に服した。







  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




  アリロスト歴1821年   9月




  俺たち(王族)が喪に服しているからと言って、行政やら外交やらは喪に服してくれないのである。

 甚だ遺憾である。

 俺は詐欺師タレン(外務卿)の口車で外務顧問つう責任者等と言う役割を背負わされた。

 魂胆は見えてんだよ、詐欺師タレン!

 最近落ち目のオシリス王朝へ俺が赴き、ピラミッド遺跡の探索(探検)許可を得させようとしているだけだろ。

 オシリス王朝は神官が政治を動かしていて、殊に身分制で厳しく出来る事が分けられている。

 特に王族関係。

 ピラミッドは2つほど前の王朝が築いた王家の墓。

 それで差配しているのは王族で、そうなると交渉するのにも調査したい側の王族が必要になる。

 いやー普通は砂漠の中に或る宮殿迄、王族が出向かないからさー、コレって暗に墳墓へ外国人を入れてくない為の口実だよ、詐欺師タレン(外務卿)。

 つうて俺は完全撤退を宣言した。

 数刻後にて、俺は「イエス、タレン!」と口にしていた。

 後でジョルジュに聞いたのだが、ジョセフ陛下が遊んでいるじじい(俺の事らしい)を自分の枢密院に召集したがっていたので、詐欺師タレン(外務卿)が今回の一件を仕込んだそうだ。

 おのれ、詐欺師タレン(外務卿)。

 俺の悠々自適な楽しい老後計画が。

 いや67歳で確りと老いているけど、俺への報告書が減らないのは何故なんだゼ?

 一番は王国法との齟齬か無いかをチェックして貰えて便利つうのが理由らしい。


 「流石はエル公爵、毎年の司法試験問題を作るだけはありますねー。」


 おい補佐官、お前は揉み手しながら誰目線なのだ?

 グイグイ補佐官に突っ込み報告書が減らない理由を聞き出した。

 俺の悠々自適老後が無い犯人は、ジョルジュだった。

 ルフルティー宮(政務宮)の連中に陛下時代から報告は一度俺に上げるよう通告されていた。

 それが息子ジョセフ陛下へも伝達されていた。


 まあさ、ジョルジュを全力で支えると約束したのは俺だけども、コレって死ぬまで働けってコト?

 いやいや、あの優しく素直なジョルジュがそんな外道な筈はない。

 タレンとは違うのだよ、タレン(詐欺師)とは。

 俺、ヴリーに帰っても良いかな。



 

 さて来年か再来年に俺のオシリス行がザックリと決まった。

 それは置いておとくとして、プロセン王国・オーリア帝国がグレタリアン帝国に倣って、金本位制度へと移行すると言う発表が在った。

 金だと重しになるよーとサクりと義兄ランツ3世には忠告をして置いた。

 じゃあ金の代りに成る物を示せと言われても難しい。

 「国債」つうてもソレを金と同じ形では信用はされないんだよね。

 俺たちは作った通貨で物品と交換出来る様にして10年掛けて中央銀行の発行する通貨に信用を付けたけど、あの時期と今はまた時代が変わっていて同じ手法が使えるかどうかが難しい。

 通貨を動かすのはブルジョワジーだし、彼等が認めないと動かない。

 裕福な貴族は相変わらず貨幣よりも金銀の蓄財に励んでるしな。



 そんな鬱々とした報告を読んでいると忘れてた頃に何時ものが来た。

 此処6ヶ月位は静かでレオンの気遣いにも感謝していたのだけどな。


  ~~~~アリーの哀しみを癒したい想いは強い激情に成り、俺はプリメラ大陸の大地で剣を振るい、銃弾の雨を降らせた。アリーの憂いを僅かでも~~~~(後略)


 お前に癒される哀しみ何ぞねーよっ!

 要はヨーアン大陸で戦闘が無かったからプリメラ大陸に行っただけだろうが。

 ヒャッホー軍人たちが植民地化していた3ヶ国を制圧後、容赦なく男共を殲滅した。

 フロラルス王国は女子供(女児のみ)は必要かと書いていた。


  「レコは如何思う?」

  「要らんだろう。下手に帰国させて反モスニア活動されたら面倒だ。」

  「だよな、しかしレオンは意外と紳士だな、女は殺さない。私なら後顧の憂いを発つ為、全員を消すがね。」

  「それが騎士なのかな?」

  「騎士、騎士ねー。はあ、今回は私が返信を書くしかないな。あの話はシークレットだし。」

  「ふふ、それはレオンが喜びそうだ。」

  「はあー、面倒だ。しかしコレで大きな面倒事が増えそうだ。」

  「国内?」

  「いや国外だろうな。」

  「おめでとう、アルの外交デビュー。」

  「しねーよ。まあ会談で挨拶はせねば成らないだろうが。はあ又タイツを穿くのか。」

  「何故、アルが嫌がるのか判らないよ。アルの綺麗な脚に良く似合っているのに。」

  「うがーっ止めてくれレコ。70歳近い男がタイツ姿を晒すのは嫌だ。パロン式は結局、公式では禁止になったし、私にしては珍しく認められるように活動したのにさ。」

  「ははっ、頑張れ。俺も付いているから。」


 俺はレコに揶揄われながら、直接的な表現を避けレオンへと感謝の言葉を認めた。

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