レティの縁談
アリロスト歴1796年 3月
今年で42歳になるのか、俺。
気候は暖かい年があれば又冷え込むと言う紛らわしい状態。
「勝手に勘違いしないでよね!」
さて面倒な南グロリアに北イタリアとオーリア帝国、神聖カリント帝国+傭兵エーデンが安定を目指して戦争し掛けるようだ。
何が面倒って南グロリアには教皇領が在るんだよね。
でも文句言うなら今の各領主たちの問題解決して欲しい。
飢えて暴動起こしてるのに基本放置って危なくて仕方がない。
海はロヴァンス領に居る海軍で何となるが南グロリアの代表者が誰なのかが変わり過ぎて判らん。
「半年前の時点ではオランと言う人物でした。」
シャトレ外務卿との弁。
南グロリアが荒れたのだって元は宗教戦争の煽りじゃん。
まあフロラルス王国もヒャッハーしに行ったから他人事みたいには言えないけどな。
各領主の合議制って体制は無理だったと俺は考える。
駅の有無決めるだけで決闘騒ぎに為るんだぜ。
国の方針を決めるとか考えるだけで恐ろしいわっ。
つう訳でフロラルス王国は沿岸から助力。
防衛するって奴ですね。
現在フロラルス王国は軍をベルイル軍務卿が改変中。
近衛は守備範囲が増え、パルスの9区までになった。
そして一般兵募集。
試験は名前が書けるのと基礎体力チェック。
パルスを含め五ヶ所ある軍学校。
15歳から18歳までで退役は30歳。有能な人は残って貰う当然。
そこで3か月ほど軍のルールを覚え訓練して貰い、任地へGO。
海軍兵は難しくて船に酔わないのは大前提。
なのでノンディ軍港とコルカ島にある軍港に作った。
ロヴァンス領海兵もコルカ島にいるので前線でも問題無しとロヴァンス卿に後押しされた。
士官学校では既に近代戦の教育がされているらしい。
俺個人としては戦争なんて起こらずに皆が訓練だけで退官する事を願うばかりだ。
武器開発の手伝い?
しません。
アイデアすら出しません。
放って於いても開発しているし、ベルイル軍務卿も兵器開発に勤しんでるからな。
そしてやっと発表した。
ルドア帝国女帝カテリーナ逝去。
新皇帝はニコラス1世だよ。父はポナション、何人の愛人が死んだことやら。
ポナションは策謀ばかりが目立って統治は未知数。
あの広大な土地と人口を無事に治めてくれるのを願うばかりだ。
で、娘レティから待ちに待った手紙が来た。
日本みたいに郵便配達はないからメルシー伯の後任チャルシー伯にオーリアからの連絡事項が来たついでに手紙も届けてくれる。
「パパへ 元気です。お祖母さまは威厳があって格好良いです。大学も楽しいです。レティ」
えー、これだけ?
もっとあるじゃん。
日々の暮らしとか学んでいる事とかさ。ちくせう。
代わりに女帝ビストール義母からの手紙が一緒に届いたけどね。
アンジェが還ってきたようで嬉しい事やレティの礼儀正しさや賢さを綴っていた。
俺の罪悪感にクリーンヒットですよ、おかあさま。
オーリア帝国で女性の医学者を育てたいと考え学ぶ場を与えた理由も綴られていた。
オーリア女性はフロラルスに比べ慎み深く貞操観念が強い。
夫以外の男性に肌を見られたりデリケートな質問をし辛い、これでは病気の治療が進まない事を懸念して女性医学者を育てる事にしたそうだ。
確かにオーリアでは貴婦人たちの平均寿命がヨーアン大陸において短い。
医者でなく医学者としたのは俺と同じ理由だとか。
カリント教が免許与えているのは医者で俺と義母ビストールが認可したのは医師と医学者。
俺はオーリア女性の貞操観念の強さは、気候の所為とカリント教への信仰心が深いからかなと推測している。
いや、居ると思いますよ。
フロラルスにも貞操観念のある貴婦人。タブン。
ただエル王家が王権神授説をぶち上げて教皇なんぞ知らんからな。と、
強気で聖職者対策をしたからパルスでは旧教徒内でパルス派、パルス主義みたいな分派が出来た。
なのでこの時代としては金儲けや異性関係には自由なんだよね。
エトワル宮殿に住まない地方領主たちに取っては飛んでもない事だろうけど。
取り敢えずは嫡男や次男を産むまでは貞淑であることが求められるけど、それ以降は自由だよね。
男が自由だから女も自由になるのかな。
じじい陛下見てると開放的な女性の存在も已む無しと思う訳だ。
最近の俺は達観気味。
レティやフェリクスに対しては15歳に成ると確り性教育したよ。
特に性交時の感染病リスクをね。
レティにはタヴァドール夫人から。
フェリクスにはレコからね。
勿論、2人には俺が教えた。もう2度としたくない。
アリロスト歴 1796年 6月
エル5世、ジョルジュが正式に「フロラルス王国奴隷貿易禁止法」を発布した。
元々ハリキで奴隷解放をじじい陛下が命じて致し、黒人友の会が活動していたのでパルスでは自然に受け入れられた。
奴隷解放をじじい陛下が命じた1791年に奴隷貿易商には解散命令を出していた。
当然に海賊みたいなヒャッハー野郎(貴族)もいるのでプリメラ大陸へ新たな商館獲得をして良い事にした。但し、他国が居ない白地図内である事を約束させた。
プリメラ会社の立ち上げである。
そして黒人を奴隷として扱う事も禁止はした。
王家主導で100年以上に渡り続けられた家業だから問答無用で潰せないので仕方ない。
プリメラ大陸に住んでいる皆には申し訳ないのだが、機嫌を損ねた海賊なんぞを、今後フロラルス王国内では飼って於けないのである。
ヒャッハー野郎たちも自分たちが作る新たな王国の方が楽しいだろう。
元々取引していた王国があるのでプリメラ大陸に詳しいもんな。あいつら。
未来に禍根を残しそうな決定に俺は溜息で誤魔化す。
まあ、余りな問題を起こしたらハリキからフロラルス軍が潰しに行く予定だ。
そして南グロリア戦。
北グロリアと義兄ランツ3世たちの軍は農民や住民たちに喜んで迎え入れられた。
一部住民に殺された領主もいたが多くの領主が北グロリア王国に従うと降伏した。
現代表者であるデナノ(公国)を南グロリア大公に任じて監督させる事にした。
そして其の侭ロマン教皇領へ侵攻。
此処でもロマン住民たちに迎い入れられた為に、教皇と休戦協定を結んだ。
領民を飢えさせるからだよ、全く。
現在は話し合いの真っ最中だろうな。
そしてヨーアン大陸問題である。
オーリア帝国の覇権拡大にプロセン王国、モスニア王国、グレタリアン帝国が抗議した。
いや領土拡大したのは北グロリア王国で同盟国として参加しただけだよ。
オーリア、カリント帝国の領地が増えたのは自国の領土から教会の荘園を取り戻しただけ。
現在、我がフロラルス王国もパルス派の枢機卿とシャトレ外務卿とが荘園の解放を求めて教皇領で交渉している真っ只中。
そんな訳で抗議している3ヶ国にジョルジュ陛下が呼び掛けた。
「教会と領土について話ししよーぜ。」
何か知らんがオブザーバーとしてランダ国とエーデン王国、スロン王国も参加する予定。
会談メンバーの頭に血が昇らないように鎮静効果のあるミントキャンディーでも大目に用意しよう。
アリロスト歴 1796年 9月
エーデン王国が奴隷貿易?
違います。
似てるけれども。
西ポーラン王国とルドア帝国からの避難民が増え、初期の頃は財産がある方々だったので移民としてカメリアに送って行ったのだが、現在は農民とか工夫が主で資産0民たちばかり。
元々が寒くて平地の少ないエーデン王国に避難民を食わせる余剰など有る訳がない。
そこで極端な人手不足のカメリアに輸出することで交渉が決まった。
無償でカメリア国へ輸送する謂れもエーデン王国にはないので避難民に説明後、売られていった。
同じ白人なので黒人奴隷とは扱いも違う。
エーデンに支払った輸送代金を労働力でカメリアに返せば、移民として認められる。
サディ王家の国庫も潤い、国内の空気も良くなる。
相変わらず卒がねえーな、サディ。
そしてサディ陛下がレティを嫡男の嫁にどーかと外交官経由で尋ねて来たので速攻で断る。
やだよ。
あんなのと身内に為るのは。
それにレティはかなり年が上だし、王太子に嫁ぐなら王女で無いと、と外交官に話した。
「ですよー。」
俺が拒否るのを予測した上で、敢えてサディの希望を伝えたようだ。
恐らくジョルジュの娘に正式な話が行っているのだろう。
俺は出来ればレティやフェリクスにはヨーアン諸国の人間とは縁組して欲しくない。
だって皆と長きに渡る血の繋がりが或るんだぜ。
子供が早逝するような目を2人に体験させたくはない。
ジョルジュのトコは良いのかって言われそうだが、王家に残る者は逃れられないのだ。
そう言う事を考えると今のグレタリアン帝国は血脈問題では一番いい。
オルテシア皇帝の父親は断絶した家系から外れた場所から連れて来られた人間だからだ。
以前の皇帝が増税しようとして反対派の皆に殺されたのだ。
そして殺した後に周囲が気付いた。
「やべっ!皇帝の血脈だった最期の1人だった!」
病気やら事故で皇帝一家は次々に死亡。
そして最後の生き残りが殺害した皇帝だった。
何とかせねばと貴族と国教会が探しに探した挙句に前皇帝になったのだ。
冗談みたいなホントの話。
だけど若い頃はマジ有能で戦争も強いし、植民地経営も上手く行き経済も順調。
ヨーアン大陸での通貨価値は断トツ一番を誇っていた。
昔は3倍近くフロラルス王国よりも高かったが今は1,2倍くらいに差は圧縮された。
そんなこんなで血だけの問題ならグレタリアンは最高。
だけどこれからはもっと産業が被って行き、面倒な事に成りそうなんだよな。
市場をイラドに持って行けば消費国としてフロラルス王国を見なくなって嬉しいのだが。
植民地増やすついでに消費者として育てろよ。
ジョルジュから来た報告書と質問をレポートで答えて俺は今日の執務を終えた。
ぐぅぅ、報告書が多過ぎる。
俺はルネとレコに談話室で珈琲を飲もうと誘い、椅子から立ち上がり執務室を後にした。




