表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/81

光の道

アリロスト歴   1795年     1月




  本当に珍しく今日はエトワル宮殿に来ている。

 何故かって今日はじじい陛下、引退のお知らせなのさ。

 明日正式にルフルティー宮殿でジョルジュに王位は譲り、ジョルジュは戴冠式を執り行う。

 85歳お疲れ様パーティーでもある訳だ。


  「アッチの方は引退はせぬがな。」


 昨夜、じじい陛下は品の無い冗談を飛ばした。



 じじい陛下は置き土産と、昨年12月に徴税請負人制度の廃止と新尺度メートル法も発表した。

 基本の長さは磁器で作り磁器工房がある街に設置した。

 熱も冷め、冷静に為った農家たちは、この布告を聞き「勝利」を謳った。

 後は領主との話し合いになるだろう。


 処方薬は処方する時期も大事なんですよ。




 そしてハリキは独立国となった。

 15年間はフロラルス王国が保護国となった。

 国家経営する人材が居ないので育成期間とモスニア王国対策だ。

 此処を取られるとベラ諸島も軒並み奪われるので、海軍駐留地として必要なのだ。

 プリメラ大陸の先端に位置する此処は、安定してくれていると他国が南へ介入しても抑えやすい。

 すまんね。

 自国の都合ばかりで。

 でもその15年でハリキの子供たちが学び、豊かさを実感出来ると俺は思って居る。

 ヨーアン大陸で15年も平和とか有り得ないからな。


 暫くは「黒人友の会」の商人たちがアレヤコレヤと五月蠅く質問してくるだろうが「人権」に目覚めた優しい?人たちなので我慢して欲しい。

 「人権」という言葉が生れたんだよね。

 元から在ったのかもしれないが寡聞にして俺は知らない。


 さて南カメリアに居る同盟国モスニア兵を助けようとか寝言を言ってるデゥーゴス公たち。

 何なのでしょーか。

 もしかしてファエット大佐の真似?


 北カメリアでさえ今は放置しているのにな。

本来なら南カメリアで穀物や綿花を栽培してモノを入手する予定が宛が外れて第一次産業をしてる。

北にも黒人奴隷がいるが極少数みたいだ。

連邦軍は着実に整えられて、ナユカに残留していたグレタリアン人を労働力として移民と認めてる。

閣僚には有能な人が多いらしく今後が楽しみだとフェルナンは手紙に綴っていた。

色々想う所があるようだがグレタリアン帝国とも通商条約が締結されたそうだ。


 さてグレタリアン帝国だが、オルテシア皇帝が税を下げた。

大体が6割くらいかな?印紙税とか他は細かい。

元は8割以上の税負担だったから少しは庶民が楽になる?

商人取引税とか金融や商売関係の税が厳しくなるようだ。

価格転嫁されないようにするのが腕の見せどころかな。

後はイラドに版図を広げている。

まあロンドに失業者が一杯いても困るしね。


 そして再度、同盟を結びに来ました。

フロラルス王国とグレタリアン帝国の同盟。

技術だろうなー。

「嫌だ」と言えないのでシャトレ外務卿が用心深く同盟締結。


「旨味ねーな。仲良くしても。」

が、今の実感。

暢気にしているとケツ毛まで抜いて来るのがグレタリアン流だからなー。

プロセン王国が今はグレタリアンが熱い。

母親がプロセン王女でその娘が女帝にになりましたからね。若干24歳、独身。

王配は誰に為るんだろうな。


 そういやオルテシア皇帝には、もう1人義兄がいたな?と思ったら王族御用達の塔へ封印済み。

北へ逃げた義兄も臣下にされて宮殿に隔離済み。

逃げた宮殿でそのまま隔離とは準備が良い。

父の元皇帝は4年前に崩御。

1年間オルテシアが喪に服し、3年前に正式に戴冠しオルテシア皇帝になった。

なんか5年前から俺はオルテシアが皇帝だと思ってたよ。


 じじい陛下が王である内にグレタリアンと同盟結んだのは、「何か問題が起きたら自分の所為と言え」とか何とかシャトレ外務卿とジョルジュに話している気がするヨ。



そんなことを思って居るとじじい陛下の話は終わりランバリー夫人とエトワル宮殿でラストダンス。

じじい陛下が引退してランバリー夫人はパルスに在る城へお引越し。

1-2区に在るヤツじゃなくエル4世広場近くに或る古いシャトー。

案外ポツン、ポツンと在るんだよね。パルスには。

砦って言うか館みたいなモノ。

流石に初代以前、そしてエル1世王のモノまでは残って無いけど2世くらいのは健在。

俺は住む気はしない。

当然その城はリフォーム済み、ランバリー夫人の退職金額は怖くて聞いてません。


 じじい陛下は俺の所に、来る気マンマンだったが俺的にはジョルジュの近くに居て欲しい。

居るだけで違うんだよ、安心感が。

そう説得したらエトワル宮殿にある離宮娼館に住む事となりました。

うん、遣りたい放題だな、俺も安心したよ。くそじじいっ!





 翌日、式典の間でジョルジュの戴冠式。

えらーい枢機卿から王冠を戴き、エル5世陛下が誕生した。

厳かな空気の中で、威風堂々としたジョルジュが其処に存在した。

俺を含めた多くの貴族が首を垂れる中でジョルジュ、いやエル5世の声が凛と響いた。





 まあ、でも俺にとってはジョルジュなので内心で呼ぶことにした。

じじいは名前を呼ぶように強要したが、てめーはじじいで充分なんだよ。

と、退位した途端に俺は「祖父さま」から、「じじい」へと呼び方を変更した。

一瞬、じじいはキョトンとしたが、直ぐに破顔一笑した。


 さてジョルジュの側近は一部を除き任を解かれた。

今はロヴァンス卿息子2男エミールと3男マルクだ。

外務卿中頃からの長い付き合いで決行相性が良いみたいだ。

パルスに来て士官学校へ行こうとしたらロヴァンス卿に扱き使われ補佐官にさせられていたそうだ。

すまん、100%俺の所為だわ。


そして財務や金融の長に居る人は、自由主義思想なので突っ走らないように抑えとして、銀行家ケデルとトーマの知人モートをジョルジュの諮問院に置いた。

モートは性格が悪そうなのが気に入ったのだ。

勿論のこと2人には、エル王家とジョルジュの為にならない事はしないと誓って貰った。

軍務はベルイル軍務卿に仕えていた副官がその内に為る予定。


弾かれた元側近は元パルス高等法院関係者から多額の賄賂を貰っていた。

貴族は金儲けをしないは遠い昔話だな。

当然証拠を見つけて1人は司法資格そして関係者の貴族籍剥奪です。

元側近たちは罰金で許したよ。

司法資格持ってないし、親が面倒だしな。これだから帯剣貴族はブツブツ。


俺のレコとルネには敵わないが、いいメンツが揃ったと思うよ。






   ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



アリロスト歴 1795年     4月




 あの小さなお姫様レティはがオーリア帝国へ旅立った。

アルは酷い状態でルネもゴドールも打つ手なしの状態だ。


あれ程反対していたのにアルは何故、許可をしたのか。


 「余はアルフのすることは応援こそすれ頭ごなしに反対したことなぞ無かったじゃろ。少しはお前の娘レティシアを信頼するのじゃ。何か在ってもアルフの娘、そしてあの女傑ビストールの孫娘じゃぞ、如何とでもしてみせるだろうて。それにアンジェリークの代りに会わせて遣れ。」


 レティは一向に頷かないアルに業を煮やし、エル4世陛下に父を説得してくれと直談判し、その後アルは呼び出され、エル4世にそう言われたのである。

 アルはぐうの音も出せずに頷き、レティへオーリア行きを許可したのだった。


 さすがレティと言うべきか、

 さすがエル4世と言うべきか、

決めた事は突き進むアルが折れた。



 そして屋敷を出る前日、レティから告白された。


 「私はレコが好き。例えどんな苦労があっても主に許されなくてもレコの傍に居られるのなら私は何でも出来るつもりよ。本気なのレコ、答えを頂戴。」

 「レティはアルと俺の愛すべきお姫様だよ。君が生れた瞬間からね。頑張っておいで、俺はアルと一緒にレティの無事と幸せを祈っているよ。我が友の愛する娘よ。」


 「返事をありがとうレコ、ええ、私は幸せに為るわ。さよならレコ。お元気で。」


 そう告げてレティは気高く美しいカテーシ―をして歩いて去って行った。

 俺は一抹の寂しさを味わい、そしてアルの元へと向かった。





 俺が回想を終えても、グズグズと嘆くアルに、ルネとゴドールは流石に処置無しと肩を竦めて、後を俺に譲った。

 俺はアルの隣に座り、肩を抱いて背中を右手で摩った。


 「私はね、幼い頃からもっとレティと触れ合って、もっと一緒に過ごしたかった。でも自制したんだ。俺はこんなだし、普通と感性が違うから俺みたいになったらレティが苦労すると思ってさ。」


 「いいお姫様に育ったじゃないか、アル。意志が強くて気品がある。それに優しい。」

 「俺はレティに何もしてやれなかった。母親は奪うし、嫁ぎ先1つも見付けれない。本当にどうしようもなく駄目な父親だ。」

 「だがアルが一生懸命に考えて出した答えだろ?今でも俺はアレが最良の選択だったと思うよ。それに何だ?うん、嫁ぎ先問題は殆ど俺の所為だろ?アルはレティの気持ちを最大限考えていた。」


 「でも結局はレコにも辛い想いをさせた。」

 「でも俺も覚悟はしていたぜ。告白されたら誤魔化さず断ろうとね。例えレティに恨まれても。」

 「はあぁ、やっぱ良い男だよな、レコは。」

 「フフっ、アルは何時も俺を褒めるよな。普通なら俺の娘を泣かせるな!と怒りそうなのに。」

 「怒れないよ。何もレコは悪くない。そしてレティもね。悪いのはじじいだ!」

 「でもエル4世にも怒れないよね、アル。」

 「うん、その通り。だから悪いのは俺なんだ。」

 「よしよし、レコ兄さんが慰めてやろう。」

 「だれがレコ兄さんだ。俺とは1つしか変わらないじゃ無いか。」

 「1年多く生きてるのには変わらない。まあ幾らでも愚痴れ。飽きる迄、聞いてやるから。」

 「ありがとうレコ。」


その後、アルが疲れて俺に凭れて眠るまで、レティの可愛い所や凄い所を俺はアルから聞き続けた。

フェリクスは「会えなくなる訳でも無いから」実験を理由にパルスの屋敷から帰って来ない。

きっとアルがこうなるのを判っていたんだろう。



   この不器用で寂しがり屋の友人は、それでも明日に為れば前を向き動き出す。

  うん、やっぱりレティは君の娘だ。

  辛くても前を向いて歩いて行く。


  その道がどうぞ明るい光で照らされ続けているように俺は28年ぶりに主に祈りを捧げた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ