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エル公爵、鴨になる


 アリロスト歴  1793年     11月




  あれから義兄ランツ3世とサディ陛下とヨーアン大陸情勢について話し合った。

 確定情報ではないが女帝カテリーナが逝去したか意志を発せない重症化状態ではないかという。

 一人残った愛人が軍に於ける総統となり、我が子ニコラス皇太子の後見に着いたらしい。

 もし女帝カテリーナが元気ならば、声明を出しただろうと言う見解だった。

 確かに大国ルドア帝国に於ける皇位ならば高らかに発表しただろう。


 しかし肉食系女帝カテリーナには正統な夫との子もいた筈。

その疑問を俺が口にするとサディ陛下(エーデン王国)がキマリ悪そうな顔をし、正統な血筋の娘がエーデン王国へ逃げて来ている事を話した。


 俺と義兄ランツ3世はその話に頭を抱えた。


  「ルドア帝国と戦争をする気ですか。サディ陛下。」

  「今は援軍を出せないぞ。その娘を直ぐに西ポーラン王国へ送れ。」


  「そう思ったが、他の皇子や皇女たちが次々、消息を絶つか病死しているらしく生命の保護だけを共に来ているルドア帝国の貴族たちも頼むのだ。俺もフロラルス王国で助けられた身だしな。」

  「フロラルス王国ではお断りです。利点が無い。」

  「オーリア帝国も駄目だ。穀物が安定するまでは防衛以外に手は出せん。」

  「だがな、アルフレッドその一団を連れて来ているのだ。」

  「ハァー!」

  「何をっ!」


 サディ陛下の特大ドッキリを聞いて俺の魂は抜けた。

 俺はシャトレ外務卿へ緊急事態とし、「信頼出来る補佐官を寄こすように」ルネを通して政務宮(ルフルティー宮殿)へ連絡した。


 3人で話しながら俺はフル回転で考えた。

 

 結論、そうだ!新大陸カメリアへ送ろう。


 今回フロラルス王国へサディ陛下が問題客御一行を連れて来たのは、蒸気機関車開通式典でヨーアン大陸にある各国王族が集まる為にエーデン王国が動いても目立たないと言う思惑だった。

 カメリア連邦国の外相も来ているしね。


 皇帝は目指さず他国で静かに生きて行きたいという。

 財産もタップリ持っている。(宝石とか貴金属をスロン銀行へ預けてる。)

 絶対にサディ陛下は銀を貰ったと俺は踏んでいる。

 それならカメリア政府へ資産を寄付させ、皆の安全保障をして貰えばいいじゃん。


 サディ陛下と俺も外貨グレタリアン帝国通貨を荷物代金として支払おう。


 それをサディ陛下と義兄ランツ3世に話して詳細を詰め、お荷物一行は外交交渉が終わるまでヴリーにあるエーデン外交官駐在屋敷で過ごして貰うことに為った。

 彼女たちはフロラルス王国に入国しなかったことにした。密入国だし、サディめ!


 そして荷物一行は高額寄付をカメリア外相と約束し、何か知らんがカメリアの人をパルス大学へ留学させることを約束させられ、式典が終わったら共に帰って行ったよ。

 面倒なことに彼女たちがノンディ港まで行くのに義兄ランツ3世が一緒に送ると言い、嫌がる俺を押え付けロイヤルボックスでの旅を楽しんだ。サディも一緒に行った。


 「王族は危険なので今回は乗車させない決まりで…。」

 「嫁の事はランツ3世には秘密だろう?(ニヤリ)」


 俺は一生、サディに利用される未来を確信した。





  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



アリロスト歴  1794年      3月





  起こるべきものは起きる。


 ハリキでは辛抱しきれないヒャッハー貴族農園主が黒人労働者を侮蔑し虐待。

 そしてヒャッハー馬鹿野郎は銃を発砲。

 はい、暴動です。


 俺は海軍に黒人暴動が起きても手出しするなと厳命させていた。

 もし手を出せばハリキを手放さなければ成らなくなる。

 フロラルス王国軍対住民と為ればグレタリアン帝国と同じ末路を辿る結果になる。


 これに乗じてモスニア海軍がハリキ住民と組めば悲惨な末路に為るのは御承知。

 逃げて来れた者だけを救出し、代表者に要求を聞いておく。

 攻撃してこなければ軍は住民を攻撃しないと宣言し、本国の答えを待つ旨を伝えさせていた。




 まあ、結果としてモスニア海軍は来なかった。

今モスニアは南カメリアが黒人奴隷の反乱拡大で逸れ何処ではなく為っていた。


 この暴動で多くのヒャッハー農園主が亡くなり経営者がいなくなった。

その為、農園や砂糖工場、ゴム、珈琲豆、カカオの輸出を安定させようとフロラルス王国から産業政務官、農業政務官、通商管理官たちを派遣して今後のハリキ運営を検討させるている。

ハリキ国となるかも知れないな。


 長期間植民地に為っていたのでフロラルス王国語が通じるし、通貨がフロラルスと同じなので共存共栄が出来ればなと思って居る。

勿論長らく支配され続けフロラルスには恨みがあるだろうが経済的利点を理解してくれると嬉しい。

でも感情は難しいモノなので楽観せずに、俺はハリキの報告を待っている。


  「フロラルス海軍が窮状に来なかった!」


 知らねえーよ。

 前々から言ってただろうが。

 黒人たちが暴動を起こしても海軍は助けない。

 だから労働者の扱いは気を付けろとレポートにも書かせていたのにな。


 ヒャッハー農園主がフロラルス海軍が救助に来なかったのを不服とし損害賠償を裁判所へ訴えた。

 それを受けて数学者、政治学者として著名なドルセフ侯爵が≪黒人奴隷についての考察≫を発表し、パルスでは奴隷制や奴隷貿易反対運動が起きた。


 じじい陛下がハリキでの奴隷制廃止を決定した時は農園主以外は静かだったのだが、やはり王命ではパルスにムーブは起きないのかもな。




 それは兎も角、予知夢で見た問題の領地で農民暴動だ。

パンを寄こせではなく徴税人たちへブチ切れ暴動を起こし、それが伝播して徴税請負人が力を持つ他の領地に連鎖し、3ヶ所でそれが発生。


 国務卿を始めとした各閣僚とエトワル宮殿で生きてる宮廷貴族と枢機卿たちと対応会議。


  「陛下が悪い。」


 つうアホな意見も出て、今も対策会議中である。




 フロラルス王国の農家は素朴で牧歌的なモノではない。

 広い農園を農奴たちを使い運営している豪農で牧師たちに学問を学ぶ知識階級でもある。

 それに領主か家令とも揉め事交渉もする。

 パルスや他領の情報も遅まきながら手に入るのだ。


 パルスの好景気や他領では増えている収入。

 自分たちが汲々としているのは何故だ。(凶作だったせいです。)

 話し合った結論が徴税請負人の排除である。


 領主や家令と話しても埒が明かない。

 そして農民蜂起である。



  俺としてはヴリーに来る前に、じじい陛下とジョルジュ、ロヴァンス卿に農民暴動が発生した時の対策と処方箋を既に話し終えていた。



  王家直轄領地を除き豊かに為っている領地はレールを引くと言う公共事情の為、ザバザバ資金ぶち込んでいるからだね。

  駅は各領主が自前で作って貰うことに為っている。

  ホームは危険なので公共事業で創るので、建物というか上物だね。

 ヴリーである程度の目途が立つと国土開発計画に土木省も本格参入させて、西南北の終点を決めて工事に着工。(鉄道局創設)


 大まかな鉄道地図を貴族院の政務宮で見せ、レールが通る領地に賛同を求めて貰った。

 レールが領地を走る事は何とかなったが、駅を造る領地が揉めました。


 まあ俺もノンディ港まで直ぐに出来る訳でも無いし、蒸気機関車2台目も造り始めてる所だしノンビリ決めれば良いよね。

 そんなことを想ってた頃もあったね。(遠い目)


 仕舞には決闘騒ぎにまでになり(決闘禁止)、仕方なく通過し希望する領主の所に全部、駅を着工。

駅にまで予算を使うのは馬鹿々々しいので各領主に作ってもらう事にした。

実は旅客は序で、メインは貨物列車なのだぜ。

 ルール地方への線路が不服の方もいたが、炭鉱と鉱石が或るのだよ。フン。


 そんな訳で小麦不足でも意気盛んなのだ。

 まあ徴税人がネックなのは間違いないけどね。




  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


  

 アリロスト歴  1794年    11月




 機械で紙を作るのが当たり前に為り、今や新聞、雑誌が百花繚乱、次々に刊行されていた。


 アルフレッドが自費出版の新聞に散々な目に遇って居たので俺は敢えて製紙工場系には手を出さなかったのだが、時代の求めは俺の細やかな抵抗むなしく製紙業は開発されて行った

 抵抗という訳では無いが、健康被害と事故防止の為にパルスでは蒸気機関を使った工場は作れない。

 パルスでは手工業か水力を利用した工場だけである。


 俺って時代の重しみたいだよな。


 許可を与えた場所や店には、一応国も認可を受けた新聞、雑誌が並んでいる。


 俺が、一番嫌なのは「今日のエル公爵」と銘打った新聞だ。

 俺がやったと見做されている改革?の紹介や俺が開発した?商品を日付に因んで記事にしてる。

 もう勘弁してください。

 つか俺が真剣に取り組んだのはトイレ問題だけだ。

 発明つっても結局は職人に作って貰っただけだ。

 なんでこんな事に為ってるか、


  きっかけは、何時もお前だっ!

 ゴドールぅぅぅ!


  昨年の蒸気機関車式典に続きフロラルス王国パルス博覧会なるものを開催した。

  じじい陛下がだよ、勿論。

 派手付きなじじい陛下がシーズン中の7月に開催。

 蒸気機関や機関車のミニチュア、新たな天体望遠鏡や、懐中時計、などなどじじい陛下お気に入りの品が盛り沢山に紹介され、中でも人気を博したのがロヴァンス卿のチョコレートだった。


 沸き立つ会場の一角に「麗しのエル公爵展」と銘打ちドデカイ俺の絵画を7品展示。

 一般にも知られる著名な天才画家が7点も同じ人物をモチーフにしたのである。

 話題に為らない方が可笑しいそうだ。

 黒豹を羽織らすの止めてくれよ、ゴドール。


 元王太子ってどんな人から取材が始まり、今に至る。


 あのさ、あの絵の俺は俺じゃないの。タブン。

 見て無いから分らんが。


 誰かが偶に差し入れてる「今日のエル公爵」をチラりと目に留め、神経を削られるのを防止。

 こんなことをするのはレティだろうな。

 オーリア帝国への留学が許可されるまで続けるつもりか。



 レティは視察と言う名の遊びで、看護学校へ行き医学へに興味を持った。

 本などで学ぶと面白いが女性が出来るのは看護。

 そこでパルス大学の医学者がオーリア帝国では女性も医学者になれると教えてくれた。


  「要らん事を。」


 等と思わないさ。

 御祖母様に会いたいから、あれやこれやと理由を付けるが俺はいつだって「ノー!」だ。

 現在は戦争が無いけど、アソコら辺はキナ臭いのだ。

 そこで目を付けたのが「今日のエル公爵」だ。

 紙面を見る度、俺が崩れるのを知って、こんな手を使う。

 全く23歳にもなってなにをやっているんだ。


 こんな精神攻撃くらいで俺は折れないぞ。


 絶対に「ノー」だ。



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