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ラシエット宮の真実

アリロスト歴1787年    3月





 アルフレッドの予知夢では激動の時代が幕を開け少しでも市民や教会、高等法院との対話を考え施策と整えようと悪戦苦闘する日々の到来。

なのにアンジェに浮気されたしな。

俺からしたらアルフレッドは充分タフネスだと思うぞ。

現在、失業問題はさほどなく凶作も続いているがパルスに穀物枯渇で飢えている報告はない。

起こした産業やじじい陛下の工場も拡大を続け消費はパルスだけに偏らず伸びている。

俺の領地や王家直轄領では新たな税制も根付いてきた。これが一番。

それが約100倍と言う歳入を産み出している。約69億リーブル。

それに特別歳入も入り債権は約210億まで減った。まあ減ったと言っても元が元。

1769年は、ほぼ300億近かった金額を思い出し遠くを見る。

アルフレッドが苦労したから俺が迷わず此処に居られる。さて残りの書類を見るか。





 困ったことが起きたというか起きる。

じじい陛下が3年後には引退したいと言う。


「えっ?」

「ほれ、余も77歳じゃろ、流石に80歳以上に成るとキツイわ。」

「いやいや90歳まで遣れますって。祖父さまなら。」

「嫌に決まっとるじゃろう。それで本当に王位を継承する気はないのか。アルフなら充分にやれるぞ。」

「いえ、それは無理です。今出来てるのは貴族たちとの折衝や社交を祖父さまに任せているからです。私が提案したことを全てカタチにしてくれたのは祖父さまですよ。」

「ではどうやってジョルジュに移すのじゃ。死んだふりは駄目じゃぞ。」

「駄目ですか。」

「うむ、あんなの2度も遣ったら余が真実に逝くぞ。それにアルフの身替りなど居らんだろう。」

「祖父さまには元気でいて貰わねば困りますね。死にはしませんが一度病気に為り療養しつつジョルジュを手伝うというのはどうでしょうか。」

「ほらのジョルジュ、余の言った通りだろ。アルフは王にはならん。」

「兄上、ソレは幾ら何でも勝手過ぎます。フェリクスの立場だって不安定に為りますよ。考え直してください。お願いします。」


「可愛い弟の言う願いは聞きたいけどソレだけは無理だ。変人王太子で精一杯だ。公式以外の夜会などは覗きたくも無いし、社交の挨拶もぶった切りたいのを堪えている。それまではアンジェが代わって行ってくれていたから対面も保てた。今が限界なんだよ、ジョルジュ。」


「陛下、陛下はいいんですか!兄上に期待されているのに。」


「うーむ、もう16年も前から逃げ出すと連呼していたからの。それにエトワル宮殿にいる時の苦痛に耐えてる顔を見るとこれ以上追い詰めると本当に死にかねん。折角、余の元へ戻り、余の死に掛けてた魂を救ってくれたアルフに無理強いはしたくない。しかしジョルジュの言うようにフェリクスは如何する心算なのじゃ?アレもそろそろ婚姻させねばなるまい。」


「フェリクスは王太子にならなくて良いなら大喜びしますよ。パルス大学に通いたがっていましたから。婚姻は好きに為った女で良いと思います。フェリクスも物作りが趣味ですから今は蒸気機関を使って新たな機械製作に夢中みたいで異性には未だ無関心で。」


「親子揃って勿体ない人生じゃわい。」

「そんな笑いごとみたいに。」

「そんな訳でジョルジュ頼むぞ。そうだね、病気に為るのは来年だから心構えをしておいてくれよ。ラシエット宮には何時でも引っ越し可能だぞ。2階の使用人の動きの見事さは格別だからな。」

「ふむ。来年か。」

「ええ、新年の挨拶で景気よく倒れるので巧く支えろよ、ジョルジュ。」

「そんなー、兄上!」

「よし、分かった。余も後2年頑張るかの。任せるぞ、ジョルジュ。」

「そんなー。」




 まあ急遽決まったと言うか、決めていたと言うか俺も一応じじい陛下の年と健康状態は要チェック事項なので、自分の巣以外は何時でも清掃済みシールが貼れるくらいは準備している。

若干早まったかなと思ったのは、俺がじじい陛下の引退は85歳と考えていた所為でもある。

老人を働かせ過ぎだって?

アレを老人と言うのはリアル老人に失礼。

50過ぎに見えない77歳は何?と思うぞ、普通。

日本で生きてたら余裕で40歳代ですか?って尋ねる自信が俺にはある。

マジでラウラを公妾にしてからの若返りは仙桃でも食べてねぇ?と勘繰るほどだ。




まあやっておきたい事の1つは人体解剖図の書籍化。

サロマ侯爵や解剖医、補助絵師さん、レコにリムソン医師たち俺で結構タイトでハードなスケージュールで頑張る。

でも俺がいる必要性あり?グロ耐性無いんだけども。





そしてそんな合間を縫ってレティとフェリクスにも事情説明。


「レティ、フェリクス、実は王太子を辞めるんだけど何か質問ある?」

「まあパパだものね。」

「そうだね、ラシエット宮を出る時に露骨に嫌な顔になるから、大丈夫かこの人と思ってた。」

「うんうん、ホントねー、流石に私でもあそこまで露骨な態度は出せないわ。」

「夜会に行くとアルフレッド殿下と違って確りと社交が出来ますのね、と褒められる度に恥ずかしくなった僕には謝罪を要求したいです、父上。」

「えーと、ごめん?」

「じゃあ私は王女をしなくても良いの?」

「僕も王太子に為らなくても良いんだね!」

「いや、うん。王太子には当然なれないけれど、私たちは皆が治めてくれた税金で衣食住も教育も賄われていたから、それに見合った義務も負わないとイーブンじゃないと思うんだが。」

「パパは何をしていたの?」

「うーん、火鉢、爪切りなんかを作って貰った?」

「嘘、父上が蒸気機関車を創ったってユニヨ大佐が言ってたよ。」

「馬鹿だな、作れるわけ無いだろう。馬車の代りに荷台引いたら楽だねってユニヨ大佐に伝えて貰ったくらいだよ。」

「全然大した事が無かった。僕はショックだよ。」

「ほら、私の言った通りでしょう。大抵いつもタヴァドール夫人の言う通り、しか言わないじゃない。」

「待って、お前たち。それは正しいことを正しいと私は教えているだけでだな。」

「いいです。父上にはガッカリです。」

「良いのよ、期待しない方が。姉弟で頑張りましょう。」

「そうですね。姉上。」

「本当、なんでパパにあんな有能なレコやルネが付いて行ってるのか判らないわね。」

「確かに。王太子を辞めるなら彼らを僕の側近に付けて貰えませんか?」

「駄目だぞ、レコもルネもパパの大事な友人なの。ゴドールなら本人が良ければ。」

「いえ、ゴドールは少し。」

「そんなの絶対ゴドールが許可する訳ないでしょう。パパは知らないだろうけどラシエット宮でパパが行かない場所にはゴドールが描いたパパの肖像画だらけなんだから。ママが生きてた頃よく言ってたわ。何処へ行ってもパパに見詰められてるみたいねって。」

「嘘っ、マジか。」

「はい、そうです。父上、その言葉使いタヴァドール夫人に叱られますよ。」

「本当にパパって執務室以外に興味無いんだから。」


レティは大きく溜息を吐いて、フェリクスと共に立ち上げり2人揃って談話室を後にした。

俺は王太子を辞めるよりもラシエット宮(王太子宮)が抱えた秘めた真実に打ちのめされた。

勿論、秘密を暴く勇気など微塵も湧かない俺は、その真実にそっと蓋をした。





 (俺の)談話室でルネとレコを相手に子供たちの愚痴を零しながらジャガイモ酒の水割りを飲む。

氷なんて有りません自家製ろ過機でろ過した水で割った、ただの水割り。

でもってかなり酔って来て気分がいい。


  「俺は思ったね。王族が物心付く前にバラバラにされて1人で暮らす理由は家族に真実の姿を見せないようにする為だったんだとね。もう俺なんて最低野郎なんだよ。」

  「うんうん、そうだなアル。でも自分を俺って言ってるって結構、酔ってるだろう。」

  「そりゃ酔うよ。酒を呑んでるんだから。レコは酔わないんですか?」

  「あちゃー、寝室行だな、コレは。ルネを足持ってくれるか。俺は両肩を持つ。」

  「殿下は大きいのですから自覚して欲しいですね。酒量。」

  「------ zzzzzzzz。」

  「まあ酔いたい日もあるんだろうさ。」

  「殿下の凄さは傍に居ないと分りませんよ。全くもう。」

  「アル自体が自覚していないんだから。いいさ俺たちが知っている。」

  「そうですね。良い夢を殿下。」






アリロスト歴1787年       4月


 その頃、各地の動き。



 モスニア王国では4年続いた凶作の為に南カメリアに本格的に侵攻を開始。

ジーア州パサナへと進み独立戦争終結宣言を受けていたプランテーションを次々に占領。退避したグレタリアン海軍がグレタリアン帝国本国へ救援要請に向かった。

  南部カメリア農園主たちはグレタリアンの寛容政策の為、独立戦争に参加していなかった。そして黒人奴隷の反乱を抑える為にグレタリアン軍隊が南部農園を守っていた。

逃げ出した南部の農園主はカメリア連合州都ヨークへと向かった。


 

 ルドア帝国では飢えた大量の農奴たちが各領主の城へと侵入する為に暴徒となり女帝カテリーナが暴徒を鎮圧するように軍へ命じた。

 暴動が鎮圧されると女帝カテリーナは食料強奪と国威発揚の為に隣国真龍帝国へ2人の愛人に命じた。(両方将軍)

 侵攻途中で愛人の1人が落馬事故死。(棒)



 グレタリアン帝国では穀物価格が高騰していたが絶え間なく植民地から輸入されていたため穀物相場で利益を出すブルジョアジーと高騰する食品が手に入り難い労働者たちで二極化が進んだ。

また戦争が終結しても財政軍事国家という超重税政策は変わらず、戦費で増えた債務を解消する為に新税を会議は検討していた。

 首都ロンドには低賃金労働者が不満に喘ぎ、強制徴募で帰国した負傷兵や失業者の不満も溜まっていた。またカメリアで脱走した兵たち約1万は、そのままカメリア移民となった。



そして戦費で多額の負債を抱えていたカメリアはイラドへ行き交う商船を襲う海賊行為を始めた。

おもに襲われたのはグレタリアン帝国、モスニア王国、ランダ王国。

モスニア王国が襲われたのはカメリアを国として認めず、南部カメリア割譲を戦費の賠償金代わりに求めた。そしてランダ国は以前植民地商館であったグレタリアンが治めていた場所の返還。そして戦争初期から貸し付けられた高利子の莫大な負債にカメリア側も苛立っていた。

また分割統治された西ポーラン王国はルドア帝国からの重税と食糧難で押し寄せて来る農奴たちに嫌気が差し財産を持つ西ポーラン民はカメリアを目指した。

人材、労働者不足だったカメリアはエーデン王国が連れて来たポーラン人を歓迎した。


また大量動員されていたプロセン王国軍の傭兵(職業軍人)には約2万人近くが移民としてカメリア市民となった。自国より暖かで広大な平地は彼らを開拓民として駆り立てた。



総司令ジャンは政務官フェルナンと相談し解放した15州でヨーク州以外をそれぞれの14州代表を務めて貰い、彼らを州知事とした。

そして印刷職人や銀細工職人に紙幣を刷らせカメリア連邦国紙幣として国内に流通させていった。

通貨単位はグレタリアン帝国と同じだが、その価値は対外的には10分の1以下と低いモノだった。

だがそれは原材料が多いカメリア側がヨーアン大陸への輸出の追い風となるだろう。

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