風青し
1777年 7月
庭の緑も濃くなった頃、義兄ランツ皇帝からの知らせが来た。
急遽ルドア帝国から休戦協定を申し入れられたそうだ。
義兄ランツは戦いたかったがポーラン王国側が疲弊していたので休戦を受け入れたと在った。
改めて今回の協定についての話をする為にフロラルス王国へ来るそうだ。
(それって外務官ですよね。義兄ランツが乗り込んで来ないですよね。)
俺は義兄ランツの面影を振り切り、レコにメモを渡しジョルジュに届けるように伝えた。
まあポーラン王国の疲弊の原因はルドア帝国兵による穀物の乱取りだろう。
フロラルス王国は何とか搔き集めてパルスの飢えは完璧では無いがギリギリ防いだが結構な綱渡りだっと思った。連絡網と輸送網の構築を目指さないと駄目だと痛感。
オーリア帝国から割譲される予定のルール地方に穀物を送り戦後慰撫をするようにジョルジュへ頼んだ。偽善だけどしないよりはマシだよね。
そんな俺に希望の星ユニヨ大佐が馬車の形を捨て去り蒸気機関に荷台を連結させ車輪を付けた。
あと一息と言ったところか。
じじい陛下が蒸気機関研究施設をパルス大学から少し離れた場所へドーンと作ったが、俺としてはその費用は研究予算にとブチブチ文句を言っていたが、そのお陰で興味ある科学者や発明家が集まったので、じじい陛下に正しい資金の使い方を教えられた。
仕方ないだろう、俺は小市民なんだよ。
派手好きじじい陛下のお陰で新たな面子で蒸気機関やそれを使った開発が進められているようだ。
ただ細かく微調整が必要な物は不向きなようで矢張り機関車や蒸気船への開発に主軸が移りそうだ。
俺としては成果を気にせず思い付いたのもを手掛けて欲しい。
そう言う意味でユニヨ大佐の蒸気馬車を俺は楽しみにしているのだ。
予知夢ではグレタリアン帝国で蒸気機関の特許が出ていた筈なのだが申請はまだ出ていなかった。
俺がグレタリアン帝国まで探しに行ける訳も他人に説明して探して貰う訳にも行かない。
特許申請は出したと言っていたので何かあれば行ってくるだろう。
そう言えばエーデン王国からサディ殿下もといサディ陛下がまた来るってさ。何、暇なの?
まあ前国王謀殺したのって長男らしい。
嫡男じゃないのは側妃だからだね。教会は側妃を迎えるのに大激怒した。
昔なら破門ってトコだけど融和政策採っていた前法王は聞かない振りしていたそうだ。
現法王も同じ路線らしい。
しかしこの側室はエーデン王国にしてみれば已むに已まれず、だって正妃が懐妊しない。
そういう訳で女変えってみっかで迎えたら懐妊。すわ嫡男が生誕!
なんて喜んでると数か月遅れで正妃懐妊。
俺だったら最初に嫡男と決めた方へ継承権を渡しちゃうがな。
側妃がポーラン王国出身てのがエーデン王国の重臣には受け入れられなかったのかもね。
まあ俺には判らない確執が在って此度の事件になったのだろう。
ジョルジュに言わせるとルドア帝国が絡んでいるとかいないとか。
何してるんだろな。
ポーラン王国に侵攻予定だったでしょうが、彼方此方を食い散らさないでもらいたい。
ルドア帝国も穀物不足だろうに。
どうやら女帝カテリーナの3人いる愛人がそれぞれに権力争いしているらしく、中の1人がエーデン王国へ手を出したらしい。
失敗は謀殺するとまでは考えていなかった事らしい。
サディ殿下から継承権を奪い側妃が産んだ長男へ継がせる予定だったとか。
ああ、第二のポーラン王国にしたかったのか。
自棄に詳しいなオイっとジョルジュに聞くと、サディ殿下帰国後にじじい陛下とシャトレ副外相からエーデン王国内に女帝カテリーナの愛人が怪しく動いているから安全の為にサディ殿下を頼むと事前にエーデン国王陛下より依頼があったそうだ。
じじい陛下よー、なんだよー、教えてくれていても良かったのに。
サディ陛下が来ると言ってもポーラン王国に逃げて行った協力者たちを始末してからだってよ。
この件で休戦言ってくるようなルドア帝国では無いので、次回続報を待て!!
そして血生臭さではカメリアが上だな。
大陸軍+民兵が健闘し過ぎている。
いやグレタリアン帝国側が変というか機能不全を起こしてる。
a湖とb川の回廊を確保し植民地カメリア全体から見てニューグランを孤立させようと2方面から侵攻して行った。
バーゴ隊1万、ペリー隊2000でオウルで合流予定だったが、カメリアの木を切って進行速度を遅らされたり徹底したゲリラ戦で次々に被害を出しバーコ隊6千、ペリー隊千まで減らした。
それでも先へとバーゴ隊は進み、最終的に約1万もの民兵に摑まった。
ペリー隊は別方向に進み違う街を落としたけどね。
合流するはずが合流出来なかったりと色々な災難はあるけど部隊を分けるのは難しいな。
グレタリアン帝国では作戦司令本部にいた将軍2人が責任を取って辞職した。
でもさ作戦司令本部ってグレタリアン帝国の宮殿に在るのだよ。
カメリアまで2ヶ月以上、これは港までの期間だから内陸まで行くともっとだよな。
作戦立てるのはそろそろ現場で良いのでは?
だがエトワル宮殿ではこの一報を聞いて「やったぜ、カメリア」とヤンヤヤンヤのお祭り騒ぎ。
俺は何時この熱気にじじい陛下が当てられて「やっぱりヤルぞ、グレタリアン帝国」って言い出さないか冷や冷やしている。
恐らくこの景気が続けば今年も負債を減らすことが出来る。氷山の一角くらい?
後6年、あの凶作はアルフレッドが斬首されるまで続いていた。
ま、それ以後の記憶は見えないから判らない。
10年も続くとなれば四の五の言って居られない。
そんな訳でじじい陛下に罷免されていた元海軍卿兼国璽尚書リシュー・ヌヴィルを呼び戻して貰いアーリア大陸方面海軍大佐として、今はイラド経由で真龍帝国へ朝貢をしに行ってもらっている。
現在は20代後半の皇帝になったそうだ。
イラド大陸に或るマリド王国大使(元植民地)に教えて貰った。
出来れば銀以外で交易したいのだ。我が国の通貨も銀がメインだし。
紙幣にしたいけど失敗してるから当分は無理だし金貨もエル3世が失敗しているのだよな。
だが此の侭好景気が続けばリーブル以上の単位が必要に為って来る。つか今でも重い。
じじい陛下に相談だな。
そんな若い皇帝の通り名は「血塗れ皇帝」ヤダ何だよ、その中2病チックな通称。
何でも前皇帝の後宮に関わった人間全員ヤったそうですよ。約3千人、やだよー。
リシュー卿たちにくれぐれも気を付けろと言ったさ。
で、そんな恐い皇帝に使ってない島を貸してねってお願いに行く。リシューたちがね。
グレタリアン帝国とランダ国は空き巣っぽく不法占拠してるんだが、そんな恐怖皇帝に無断で居座るとか俺的に無理だからね。
それに遠いから何かあっても救出に行くのは半年掛る。(ランダ国談)
何で彼らはそんな強気で外交出来るのか、何時か聞けたら聞きたい。
基本的に奴隷は新たな地では使いたくないので移民としてマリド王国の人々を送ってもらう手筈になっている。ハリキやベラ諸島ではヒャッハーな冒険野郎(帯剣貴族)が現地の人や奴隷貿易で買った人々を「ロハな労働力はウメぇー」等とアホ発言して、偶に反乱が起きる。
あのさ砂糖や葉巻、ゴム(観賞用)はフロラルス王国に必要なのだからもっと穏便にしろよ。
本当に面倒な人だがエル3世が彼ら一族に恩義を感じて別格扱いだから手出し無用案件。
なので真龍帝国には絶対に絡ませないぞ!
安全な穀物供給場所を何としても確保せねば。
そう言えば某貴族から「パルスを特別視し過ぎる。」
と、言われたが当然だろう。エル家の大元はパルス伯でパルスの領主だったんだぞ!
パルスこそが祖国なの。
そもそもがヨーアン大陸では無い他大陸が攻め入って来てエル家を中心に戦って追い払った。
そして追い払った後にエル家に王に成ってくれって各領主が頼むから王家に為った。
全く文句言う暇あったら確り領地運営をしろ。
もう1人くらい補佐が欲しいよ。




