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回避イベント発生

 アリロスト歴  1772年     9月




 中庭もすっかり綺麗に為った。(木酢液撒いたり、崩れた木炭を花壇へ置いたり)

 そこで枯葉を集めて、焼きジャガイモを作りたい衝動に駆られて、焚火を作ってもらいイモを投げ入れて見た。

 アルミホイルって偉大だったのだなーっと高い空を眺めた。


 レコとルネは駄目な子を見るような眼は止めてくれませんかね。心が抉れる。



 いいんだよ。

 ルネが殺気立ってたのが消えたから。


  殺気の理由は一部で姦しいルブラン新聞記事「アルフレッド殿下が呪いを」って奴。

 でも俺って呪いみたいな存在だとは自分で思って居るんだ。

 だから気に為らない。

 祝福って言うには、俺にとってデバフばっかだしな。

 この世界での衛生とか思想とか価値観な。

 そしてこう言うことを誰にも話せないのが不幸だ。

 人間て共感する生き物じゃん。

 この世界ではレコは大切な友人だけど共感は無理だよね。

 でも賢いから丁寧に説明すれば理解してくれるのが貴重で有難い。


 会話する周囲は、良い方向に俺を誤解してて正直、困る。

 何か俺には崇高な目的があるに違いないと、怖ろしい勘違いをされている。

 ルネ、君もだよ。


「飢える人を少しでも減らしたい。」


 最大目標は、じじい陛下に長生きして貰いたいという単純なものだ。

 閣僚たちは「判ってます判ってます」とニコニコ頷いてるが、俺は絶対に分かってないと、確信している。


 どうしようかな。マジで。

 ルネとレコ意外と話すのが辛過ぎる。

 俺は溜息を吐き18歳の秋を憂いた。






  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


   アリロスト歴  1772年      10月




  相変わらず貴族の応対はじじい陛下に丸投げである。

 だって理解したのだ。

 エトワル貴族との会話は無理筋、価値観が埋まらないし意味が分らん。

 そんな不毛な精神的凹みに患っている時間が勿体ない。


 そろそろグレタリアン帝国で蒸気機関について特許出願している筈だ。調査調査。

 グレタリアン帝国と互いの敵愾心を緩めて、その技術を我がフロラルス王国へ導入し、パラダイムシフトを誘引させたい。


 やがて蒸気機関車を創りフロラルス王国内を駆け巡るようにと、俺は脳内で線路を敷く。

   (機関車の大まかな外観を絵にして提案位良いよな)


 ただ産業の発達は大戦の呼び水に為る———よな。(まあ蒸気機関が先だな)



 俺が天然痘から生還して一番戸惑ったのが、予知夢でみる史実と日本で習った世界とは、全く持って別世界だったことだ。

 世界地図が違えば、国名、人名も違う。勿論、神の名も違う。

 それもあって基本的には予知夢の歴史を参考に、俺の行動指針を立て動いている。


 そして考える。

 何処迄の技術をこの時代に流して良いのかを。

 とは言っても、不便不快に耐え兼ね突発的に遣らかしているのは、ご愛嬌と此の世界へ戻した神様か悪魔かには許して貰おう。

 耐えられませんでした。

 寒いので火鉢だったり五徳や薬缶、シラミ退治に木酢液、爪切り、付けペン、農具に便利なアレコレ諸々——————アレ結構ヤらかしているかも。


 まあまあ手作業だし必死に造っても行き渡る量に限りが在るから大丈夫。

 視て直ぐコピられる物以外は、特許出してるから国外で流通の歯止めになる?

 現在、俺が手掛けてるのは王立陶磁器工房、王立鋳物工房、王立鍛冶工房、王立材木工房、王立農具工房と大きく5つ分けて、分野ごとに製造させている。

 何の捻りも無いが、全ては職人たちや見習いたちを徴税組合から守る為だったりする。

 そして今は解散させられた職人ギルドからもだ。


 先ずは利益より彼等の生活の安定、そして技術の向上。

 そして技術革新を起こすのを期待している。


 ボルドから渡される資金で遣りたい放題させて貰ったら、今年は収益がフロラルス王国の歳入分超えていた。お陰で今年も払ったよ国庫に約1000万リーブル。

 ボルドと出逢ったのが69年で工房始動が70年終わりから、そして71年に本格稼働させたけどボルドの手腕の凄さよ。

 しかし俺が拾う人間て正体不明者が多いな。ボルドを筆頭に。


 貧乏王家の王太子がベロー地方で医学研究所を建てリムソン医師を招聘して研究させてる。

 資金が出来て欲しい人材を招聘出来た時、初めて王族に生れて良かったと実感した。

 まあ、それが「エロじじい陛下1人を救いたいだけ」なんて世間を知る俺は口にはしない。


 目指せ、じじい陛下に迫りくる天然痘撲滅。





   ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


アリロスト歴1772年     11月




  じじい陛下直轄領地で水力紡績機がパルス大学開発研究チーム無事完成、始動させた。

 取材に行ってたレコのテンションが爆上がりで、俺の爪切りワッショイ状態。

 俺は冷静になった。


 開発が軌道に乗り掛けた時に各閣僚とじじい陛下へ報告したら、糸を紡ぐ職人が路頭に迷わないか心配していたロヴァンス卿だった。だが心配無用である。

 熟練職人は従来通りに絹を担当して紡績機は綿花などを若い女性に担当して貰う。

 それに貴族用には従来の手工業が必要だ。

 一応機械なので作業手順などを覚えて貰いたい為、読み書き計算が出来る人を育成。

 育てば農奴の女性たちに紡績工場で勤務して貰う。

 まだまだ不備は多いけどね。


 教授たちと紡績工場を設置する場所を検討し、決定した後は俺が開発した(下手な絵図を描いただけ)農具を農園にばら撒き農作業効率を上げ、余暇を捻出させている。

 領主+国王に逆らう馬鹿は現在は出ていません。

 知事や代官に威圧はしたようだ。


 じじい陛下は「俺に扱き使われている」とラウラ経由でルネが「程々に」と窘めて来た。

 いやいや基本的に俺やじじい陛下は「やってね。」と言うだけで動かないでしょうが。

 飛んだ濡れ衣だよ。ぷんぷん。

 あっ、俺は職人と一緒に為ってアレコレ言ってる。

 特に爪切り名人リュックには。



  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




  勘違いされてプンプンしてる所へじじい陛下からの呼び出しだ。「ちょっとこい。」


 挨拶を済ませてじじい陛下からを見る。健康チェックだよ。

 精力に溢れた満ち足りた顔をしたに俺は安心する。

 今更だがじじい陛下は俺と話す時に「陛下」と呼ぶと途轍もなく不機嫌になるので仕方なく「祖父さま」と呼ぶようになった。

 本当は「じじい」で充分と思ってる。


「そう言えば先頃ジョルジュは面白い事を余に申していたぞ。」


 ああ、嫌な事を聞いたな。


「自分の方がアルフより王に為るのに相応しいと。どう思う。」

「それを決めるのは祖父さまです。若さ故ジョルジュも言葉が走ったのでしょう。良き先達に学べば己が見えるのでは無いでしょうか。それに私よりも相応しいのは確かですよ。」


「全くアルフよ、面白くないわ。小言だけで済ませて遣っとるのに全然反省しておらん。婚姻を考えておったが、新たにエミューリ夫人のサロンに良く訪れているそうだ。これでは王族から嫁いで貰うのは無理だの。余でも婚姻するまでは大人しかったぞ。」


「それは祖父さまが婚姻されたのが13歳だったからでしょう。お祖母さまの苦労が偲ばれます。」

「何を申すか思えば。そもそも末娘を出産直後に閨辞退宣言したのは妃からじゃ。」

「結局は毎年1人、11人も出産されたのですね。お祖母さま流石です。」


「まあ余の話は良い。問題はジョルジュの婚姻だ。アルフなら誰か考えていそうじゃ。」

「ジョルジュの安定を考えているなら中立派の方ですね。再婚になりますがルイーズ公妃はお薦めです。もう一方はランダ王国の第三王女。ヨーアン大陸では領土は狭いですが植民地貿易で豊か。」


「ん?その様子は、まだいるのか。」

「あー、きっと祖父さまもジョルジュも大激怒に為るから言うのは止めます。」

「——— もしかしてグレタリアン帝国の王女ではないよな。」

「折角言わないでいたのに。そうです。」

「駄目じゃ駄目じゃ。それは有り得ぬ。念の為に尋ねるがどうしてグレタリアン帝国なのじゃ。」


「それは最近のグレタリアン帝国ヨーゼフ3世は賢王と名高かった頃みたいな生彩を欠いた治政です。我が国と長く戦っていた所為でグレタリアン帝国に於ける戦費も莫大で財政赤字も巨額。それなのにカメリアとの戦争に前のめり状態。治政感が歪んでいます。」


「ヨーゼフ3世には若い頃から苦しめられたわ。側近か側室の所為かの。確か側室に2人息子がいた。」

「しかし息子2人はどちらも悪評高く不安定。しかし姫は優秀だと。次世代に為った時、優秀な姫を娶っていれば愚か者二人はきっと対立しそうです。エル家の血を入れるのは悪くない、でしょう?」


「アルフは可愛げが無い。」

「申し訳ありません。」

「フフフまあ余には可愛いがの。心動く話だったが、駄目じゃ。諦めて於け。」

「はい。それとジョルジュとも会話されて下さい。才ある王族が存在しているのに此の侭では唯の浪費です。祖父さまも理解していると思いますが、私には社交はどうしても生理的に無理です。もし此の侭で私が王位を継いだら——— 今の噂通りになってしまいますよ。」




 冷酷無比な仮面王太子は呪の所為で臣下を持てない。

 誰とも触れ合わぬ王太子は人の心を持たない。


 心云ぬは兎も角として大体が合ってる噂なので反応に困るんだよ。

 ルネやレコ、ゴドール、ボルド、アンジェ一派や職人たちは俺が素知らぬ顔をしているのに、噂を読んだり聞いたりして不機嫌になる。面倒臭い。

 俺はこう言う噂が流れてる間にじじい陛下とジョルジュの関係改善が為され、やがて俺とも気楽には無理かも知れないが普通に話させるようになりたい。




   ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


  アリロスト歴  1772年    12月




 ———そして12月。

 やっとアンジェが懐妊したぜ。


 何もフェルナンが来るときに懐妊しなくても良いんじゃないかな。


 これってアレ、運命の悪戯って奴かね。

 出会えそうで出会えない。

 出逢っても近付けない。やがて擦れ違って行く2人———

 あるよねー、そう言うの。

 ねぇよって言いたいが無いとも言えない2人なのだ。


 予知夢の中で見たフェルナンは端整な顔をしてエトワル宮廷にはいないタイプ。

 その時はエーデン国王と来ていたのだが、何だこれホストクラブ?つう位に美形集団襲来。

 ホスト外交を卒なく熟していたエーデン国王、敵対してはいなかったから市場調査だったのか。

 宮廷の貴婦人たちをメロメロにしてアルフレッドは何かエーデンに有利な交渉をしていた。


 女性を敵に回せない心理戦が上手だったエーデン国王来訪じゃ無いから少しは気楽かな。

 はあ、俺は逢いたくない。

 王太子にもフェルナンにも、そうだ、逃げ出そう。                

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