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目に青葉(サロマ侯爵)

 アリロスト歴1772年    8月




  周囲の者たちに言いたい。

 子作り圧力辞めろ。

 忘れているかもしれないが去年レティが生まれたばかりのなんだぞ。

 規則正しく外交交渉は済ませる主義なんだよ、俺は。


 そしてアンジェの運命の相手フェルナンも年末に来る予定なんだよ。

 出会うのが4年早えーよ。

 エーデン王国の王太子が遊び——— いえ、外交交渉に来るそうです。

 何だろう、この世界の王族ってアルフレッド以外はアグレッシブなのか?

 暗殺とか心配ナッシング?

 俺?

 まだ狙われてはいないけどな。じじい陛下の周辺はオーフェン家が厳重警戒中。



  じじい陛下が王位継承(7歳)するまでは王族が意味不明に死にまくった。

 俺は兄2人、両親を亡くなして平穏。

 父ちゃんも母ちゃんも頑張って5人も作ったのに結局残ったのは俺とジョルジュだけだ。


  俺が無理だからジョルジュには子沢山の道を作らねばとモスニア王国以外の女性を脳内検索。

 敵対行為しているだけでなくモスニア王国の王女と結婚してジョルジュに子供が出来なかった。

 アルフレッドが見せた予知夢での話だが。


 モスニア王国とは血が濃過ぎるのだと思う。

 ヨーアン大陸にある王家同士婚姻し過ぎだ。

 じじい陛下とアンジェって年の離れた又従姉妹(再従姉妹)でデゥーゴス公とじじい陛下も又従兄弟。

 人類補完計画?人類皆兄弟?仲良くなれたら良かったのにな。


 で、何が言いたいかって言うと子は授かりモノ。周りが急かすな。うん、それだけだよ。




   ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 アリロスト歴  1772年     8月




 何だろう、サロマ侯爵に会うと目が癒されるなぁ。

 久しぶりに会った警視総監サロマ侯爵に爪切りを見せびらかしつつ俺は念を押した。


「ポリスは、今後も徴税請負組合とは、確り距離を取っていく事」


 凛々しく整った風貌をしたサロマ侯爵を見て、俺の周りで唯一の真っ当な人間では無いかと思う。


 レコは知り合った当初は盗人だったし、今もそこそこ妖しげな色気を醸し出している。

 ルネは、ルネだし、アンタッチャブルですよ。

 知ったら一切の慈悲なく強制転生というか人生強制終了させられる自信ある。

 きっとな。俺ってビビり過ぎ?

 ボルドは、表から裏まで儲け話が有れば何処へでも出没しそうだし、人脈はエル王家より絶対ありそうな商人だものな。勝手に何処にでも四次元ポケットを設置してそうだ。


 ゴドール候(36歳)はフラリと尋ねて来た礼儀正しい変態だし、いや、変態じゃなきゃ侯爵がなんで俺の所に居付くのさ。

 「役立ちますよ。」と自分をセールス。


 ルネに調べさせると、絵画や彫刻に造詣が深く非凡なお方で、12歳でエトワル宮殿で絵画展を開いたそうな。誰でも開ける訳では当然ないよ、あの頃ならパドゥール夫人が認めた。

 それなのにじじい陛下が愛したパドゥール夫人を毛嫌いし、1756年でのオーリア戦に反対して陸軍大佐だったのに辞職(18歳)した。それ以降隠遁生活だった。

 俺よりじじい陛下に行けよと思ったが、何となく趣味が合わなそうな気がして俺が飼うことにした。

 うん、立派な大人を飼うと言うのは申し訳ないが何だろうな。大型犬?違うな、でっかい野良猫、うん、ソレだ。礼儀正しいけどな。


 棒給?俺が払うの?何で?

 此の人の領地は塩も作ってるし豊かなフロラルス王国で有数の資産家だよ。

 王家よりあるよ。

 敢えて他人が居ると執務長って呼んでるけど、実質は俺をモデルに絵を描いてるだけだからね。

 モデル料払うと言われたけど俺も王太子なので一応ね。だから断りました。(未練)


 うん。目に優しいサロマ侯爵だ。


 もう俺の側近はサロマ侯爵だけで良い気がした。





   ≪サロマ侯爵の呟き≫



 アルフレッド殿下が又自分の世界へトリップを始めた。

 冷酷、鬼畜王太子と碌な風聞は無いが会って話せば分るが才あるお方だ。

 私と会う時はニコニコと満面の笑みで、其の無邪気な好意にいつも大いに戸惑ってしまう。

 元からの厳つい顔と若い頃から幾度となく戦場へと出征していた所為か、怖がられるばかりだったのでアルフレッド殿下の零れる笑顔は。躰が強張り受け答えをぎこちなくさせてる。


 こんなに表情が豊かな方であるのに無表情、仮面王太子と噂されるのが信じられない。

 公式行事だけでは無くもっと社交の場に出られたら確実に変な噂は一掃されるだろう。


 何時か自然に話せるようになったらアルフレッド殿下に共に社交場へ行こうとお誘いしよう。

 私だけでは無く皆に此の無邪気な笑顔を向けられたら殿下の人気も上がって行くだろう。

 厳しい事も仰るが心根は優しいお方だ。


 しかしあの小さな金属のカラクリは何であろうか。

 とても得意そうに弄られている。

 よし、後でお褒めせねば。





「そう言えば殿下は最近のエトワル宮殿での噂をご存知でしょうか。」

「ああー、確かパルスにあるサンレト大聖堂へ着任予定だった枢機卿が途中で俺に呪われて事故死したって奴か。噂の大元はルブラン新聞だったな。」

「ええ、結構この噂がパルスでも広まりつつあるようで。」


「かと言って噂はどうしようも無いだろう。パルス民に被害が無いようなら放って於いて良いよ。噂を鎮めようと無理に力を使うと、本当に必要な時にポリスの抑止効果が薄れて武力行使しなくては為らなく為るからね。私は何れポリスは王国法さえ守っていれば、自分たちの味方であると思えるようにしたいんだ。まだまだ遠いけどね。」


「それは———有難いです。私たちも益々殿下の期待に応えられるように精進しましょう。」                  「頼むよ。それとこれを上げよう。爪切りと言う。中々に入手し辛いから大事に使ってくれ。」

「はっ、これ程素晴らしいモノを私に。では有難く。」


  俺から爪切りを恭しく受取、深く礼をしてサロマ侯爵は姿勢を正し、静かに去って行った。

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