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彼は男爵家の後継者に成りたいだけだった  伯爵? 公爵? 無理無理無理!

僕は男爵家の後継者に成りたいだけだった 転生したけど、知っている乙女ゲームの世界とは色々ズレてます。

作者: お冨

 彼は男爵家の後継者に成りたいだけだった  伯爵? 公爵? 無理無理無理!の、スピンオフです。


 読んでいただき、ありがとうございました。連載版も覘いていただけると嬉しいな。ややこしい家族関係を文字数使って書いてますので、分かりやすいかと。



 マークお兄ちゃんの学園生活、連載中。

「カーク、カーク、大丈夫? 目、覚めた?」

 寝起きでぼーっとしてたら、耳元で大声がした。綺麗なボーイソプラノ。金髪で碧い目の美少年。

 僕はぼーっとしたまま、少年のしゃべる言葉が日本語じゃ無いのにも気付かず、何でこんなところに外人が居るんだろうって思ってた。


「今、母上を呼んで来るから、待ってて。みんな心配したんだよっ」

 言うなり、小走りにベッドから離れていく。


 姿勢よく無駄のない身ごなしが記憶を刺激して、ふっと連想したのは、放課後のグラウンドのバッターボックス。

 あの子、少年野球チームの年長組くらいだ。小学六年か中学に上がったばかりかな。これから背が伸びそう。


 ぼーっとした頭は、日本人と欧米人の成長スピードの差を考慮してなかった。声を掛けてくれた少年はまだ十歳。そして僕は、三歳だった。




 僕はカーク・ランドール。元日本人の転生者だ。現在、幼児。

 思いっきりテンプレなスタートだけど、熱を出して、寝込んで起きたら、前世の記憶が戻ってた。


 熱を出したのは覚えてる。しんどくてずっと寝込んでた。時々、声を掛けられたり、病人食をアーンしてもらったり、トイレに抱えて連れて行ってもらったりしてたけど、辛くて碌に目を開けていられなかった。


 久しぶりにスッキリ目が覚めたら知らない天井で、モデルルームかってくらいピカピカで広い部屋だった。

 うん、ピカピカ。微妙に生活感が無いけど、センスのいい家具が過不足無く並んでる。私物の類が一切なくて、モデルルームじゃ無かったら、一流ホテルのスイートルームに見えた。

 ただ、家電の類が一切見当たらない。生活感の無さはこれが原因かも。


 ちょくちょく顔を出してくれた金髪碧眼の美少年が、彼そっくりの美女を連れて来てくれた。

「母上、カークは大丈夫ですか」

「大丈夫よ、マーク。お熱が下がったし、ちゃんとご飯を食べれば、すぐ元気になるわ」


 うわー、この美女が僕の母親なの。じゃあ、マークって呼ばれた美少年はお兄ちゃん? 僕も美少年? 鏡、鏡を僕に!


「母上」

 呼び掛けてみたら、なぁにと返された。これは確定ですね。

 そう思ったんだけど。


「カーク、あのね、今、ニーナ母様が来るからね。ミリアもいっしょ。カークも早く会いたいでしょう」


 えっと。この美女が母上なんですよね。ニーナ母様って、誰。ミリアって、女の子の名前だよね。



 次に登場したのは、迫力満点の美女だった。見ただけで只者じゃないオーラを放っているし、ぞろぞろ御付きを引き連れてるし。

 誰、この人。ひょっとしてこの人がニーナ母さんなの。


「何か不自由は無いかしら、キャサリンお義姉様」

「とんでもない。充分ですわ。侯爵邸にお世話になるだけでも身に余るご厚意ですのに」


 あれ、なんだか声がギスギスしてないか。


「まあ、ご遠慮なさらなくても宜しいのよ。マークもカークも、マイダーリンの可愛い甥っ子ですもの。このままずっと我がデイネルス侯爵邸でお預かりしても構いませんのに。ランドール子爵領より王都の方が、上質な教育環境になりましてよ」


 えーと、えーと、この迫力美人、母上をお義姉様呼びしたよね。母上の義妹になる人で、僕の叔父さんの奥さんなんだね。ここは王都の侯爵邸で、僕の家は子爵領に有るんだね。


「マークはランドール子爵家の跡継ぎですわ。将来のためには、領地でしっかり育てたいと思っていますの」


 ポンポン知らない情報が出てくる。僕の家はランドール子爵家らしい。僕は必死に聞き耳を立てた。


 迫力美女が、ホウっと息をついた。

「本当に律儀ですこと。ニーナ様とオスカー様は子爵位を実子のカーク様にとは考えもなさらないし、キャサリンお義姉様は侯爵家を望まれない。無欲な事ですわ」


 ん。んんん。どゆこと?

 えーと、僕の両親はニーナ母さんとオスカー父さんなんだね。実子って言ってるし。じゃあ、キャサリン母上と美少年マークは僕とどういう関係なんだろ。

 分っかんねー。


 あー、王都って言うんだから、ここは王国なんだね。

 侯爵とか子爵とか、貴族が居ると。確実に日本じゃ無いですね。それだけは確定か。




 後で分かったことだけど、キャサリン母上と侯爵夫人の鞘当(さやあて)は、子供の前を考えたかなりマイルドなものだった。高位貴族の社交の場は、それこそ戦場かって厳しさで、精神をガリガリ削られるんだ。


 ちなみに、ミリアは僕のお姉ちゃん。ミリアお姉ちゃんと僕はニーナ母さんの子。

 マークお兄ちゃんは僕の従兄(いとこ)。オスカー父さんの上のお兄さんの忘れ形見で、今は父さんの養子になってるんだって。

 父さんはマークお兄ちゃんが子爵家を継ぐまでの中継ぎ当主なんだ。未亡人になったキャサリン母上と形だけ再婚してるけど、今でもキャサリン義姉さん呼びしてる。


 キャサリン母上が第一夫人で、ニーナ母さんが第二夫人。だから二人とも、僕たちの母親なんだ。

 一夫多妻って、元日本人の僕にはちょっと違和感有るけど、家族仲はとっても良いよ。

 僕は将来、ニーナ母さんの実家を継ぐ予定。だから、マークお兄ちゃんにランドール子爵家を継いでもらわないと困るんだ。


 デイネルス侯爵は父さんの二番目のお兄さんで、子爵家から婿入りしたスーパー逆玉の輿。マークお兄ちゃんの叔父(父の弟)さんだけど、僕から見たら伯父(父の兄)さんだった。


 父さんは軍人で、去年までトマーニケ帝国に出征してた。戦争で大手柄を立てて出世したから、将来安泰だって。




 幼児の特権、「どうして」「これなあに」攻撃で情報集めしてたんだけど、聞き捨てならないパワーワードが出てきた。

 トマーニケ帝国。その国名を、僕は覚えている。


 前世で、妹がドハマりしてた乙女ゲーム。タイトルは思い出せない。自分でやってたわけじゃないから。

 ゲームの舞台は貴族学園。そこに、隣国のトマーニケ帝国の皇子が留学してくるんだ。 


『この皇子様、私の一推しなんだ。前の皇太子の忘れ形見なんだけど、父親が謀殺されて、継承権争いで命を狙われてね、帝国の属国の学園に追いやられちゃうんだよ。皇子様ルートに入ると、帝国に凱旋して、将来は皇后陛下。バッドエンドだと、国に裏切られて、属国から帝国に差し出されて処刑されちゃうんだよね』




 落ち着け自分、僕はモブ確定だ。ゲームには、ランドール子爵家なんて出てこなかった。僕の姉の名前はヒロインと同じだけど、ありふれた名前だしな。


 そもそも我がデルスパニア王国は属国なんかじゃない。トマーニケ帝国よりずっと大国で、今回の戦争でも実質勝利だそうだ。

 帝国側は停戦に持ち込んで引き分けって主張してるらしいけど、勝利を主張できない時点でお察っしだって。


 もしゲームの世界だとしても、他国が舞台か、年代が違うんだろう。


 ヒロイン、ミリア・ツオーネ男爵令嬢。一人娘で兄弟無し。

 裕福な商人上がりの家で、成り上がりっていじめられるんだ。テンプレ、テンプレ。


 女神様の啓示を受けて、国教の大司教様に聖女認定されるんだよな。攻略対象には、神聖教国元首の教皇猊下も居たっけ。


 宗教のトップがイケメンで恋愛に(うつつ)を抜かすって、ご都合主義だよな。妹にそう言ったら、だって乙女ゲームだもんと返された。


 良い歳してるんだから「もん」は無いだろ、「もん」は。




 母の実家がツオーネ男爵家だけど辺境の貧乏領主だったり、姉のミリアが聖女になったけど神聖教国なんて存在しなかったり。


 色々モヤモヤするのは、記憶が戻ってから数年先のことだった。



 ここ、本当に乙女ゲームの世界ですか。









 ほとんど家族紹介で終わっているような(;^_^A。

 

 オスカー君がトマーニケ帝国との戦争から帰って来てから一年くらいの時間軸です。

 キャサリン義姉さんとリアーチェ・デイネルス女侯爵、これくらいやりあってたんじゃないかな。

 キャサリン義姉さん、元伯爵家四女で高位貴族出身だし、マーク君を護るために警戒心バリバリだし。

 


 宜しければ、お星さまをお願いいたします。

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