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10 結婚しようよ

「じゃ、私もう寝ようかしらね」

 おふくろはそう言って、リビングをあとにした。親父と、兄貴がどうやら、ドアの外で、聞いていたようだ。おふくろに見つかって、すごすごと部屋に戻っていった。

 瑞希とリビングで、二人きりになった。

 瑞希が、俺の隣に座った。瑞希の顔を見た。涙で、目が濡れてて色っぽかった。

「手…」

 瑞希の、手をにぎった。俺より小さい手。


 俺がいるだけで、支えになってるって言ってくれた。そんな瑞希のそばにずっといたいって思う。そして、守っていけたらって本気で思う。

 この手を他のやつに渡すのもいやだ。ずっと、こうやって瑞希の手を握っていたい…。だったら、結婚をいつか瑞希とするなら、今だっていいんじゃないか?

 瑞希は、結婚を考えているんじゃなくて、ただそばにいたいって、一緒にいたいって、言ってくれた。 でも、それって結婚したい人ってことだよね。だって、俺も瑞希も前に話した。

「結婚するなら、ずっと一緒にいたいって思う人と」

って…。あれ?いつだっけな。いつこんな話したっけ?

 ああ、そうだ。俺が瑞希んちに泊まった日。ああ、忘れてた記憶がいきなり戻ってるよ。

 瑞希、俺も瑞希がすんげえ大事。ずっと、一緒にいたい…。こんなに誰かを思うことって、きっともうないよ。


「結婚、しようよ…」

 俺は、瑞希にそう言った。本気で瑞希と結婚したいって、そう思った。

「…え?」

 瑞希がすごく、驚いた。

「おふくろの、思惑通りっていうのが、嫌なんだけど」

「……」

 瑞希は、まだ驚いてる。でも、顔が赤くなってる。

「俺、絶対、瑞希を他のやつにとられたら、後悔する」

 瑞希の目がうるんできた。

「それに、結婚するなら、絶対、瑞希だって思う」

 瑞希の鼓動が聞こえてきた。

「それから…」

 なんか、俺、すんごい恥ずかしいこと言ってるよね。照れくさくなってきた。

「早くに結婚してあげないとさ、ウエディングドレス、似合わなくなると困るし」

 思い切り、これ照れ隠しの冗談だ。

「え?どういうこと?」

 瑞希が、やっと声を出した。

「あはは、冗談だって、うそうそ」

 なんか、目をうるませてた瑞希も、ちょっと怒ってる瑞希も、すげえ可愛かった。

  

 翌朝、早くに目が覚めた。体調もよかった。これなら、瑞希のこと車で送っていける。それどころか、デートもできそうだ。

 着替えて下におりた。もうダイニングには瑞希がいた。ああ、まだすっぴんだ。

「おはよう」

 なんか、すげえ嬉しくなった。

「おはよう、気分は?大丈夫?」

「ああもう、全然大丈夫、すげえ気分いいし」

 まじで、瑞希マジックだな。

「朝食食べたら、俺が車で送るね」

「圭介、大丈夫なの?」

 おふくろが、コーヒーを淹れながら聞いてきた。

「うん、全然。今日は頭も痛くないや」

 朝食を食べて、顔を洗って、髪をとかして、車のキーを持って、リビングに行った。

「んじゃ、そろそろ行く?」

 瑞希も、少し化粧をしたみたいだった。


 駐車場に行き、車に乗り込む。瑞希は、またシートベルトがしめられないようだった。

 あれ、この前、兄貴に送ってもらったときも、兄貴にしてもらったのかな。気になって、シートベルトをしめてあげながら聞いてみた。

「できたよ~~、ちゃんと自分で」

って、瑞希は少し、自慢げに言った。

 あ、この位置だと、瑞希にキスができるじゃん…って、思わず、瑞希の唇にそっと触れた。それはほんの一瞬で、本当に唇の先が少し触れただけだった。

 でも、瑞希は黙り込んでしまった。え?なんで?なんか、こっちの方が焦るし、照れるし…。なんで、そんなに固まってんの瑞希…。


「瑞希さん」

って、思わず、さんづけかよ、おい、俺…。

「初めてのキスじゃないでしょう…」

って、何聞いてんの。俺。

「…!」

 あ、瑞希の顔が少し怒ったような、照れたような焦ったような…。

「やっべ~~、なんかそうやって意識されられると、照れる」

 思わず、言っちまった。そうしたら、瑞希がちょっと冷静な顔になって、

「今のはね、キスに入らないから。触れただけじゃない」

 なんつうか、そんな強がってかわいすぎるよ、瑞希。

「へえ、そんなのでも、動揺しちゃうんだ」

「もう、なんか、にくらしい」

 瑞希はそう言うと、俺の腕をぺちってたたいた。

「あはは…」

 なんだよ、すげえ可愛いじゃんかよ~~。まいっちゃうよ。


 俺が車を走らせたら、瑞希がずうっと、俺のほうを見てて、全然前を向かなかった。

「ね、さっきから、なんでずっと、こっち見てるの?見とれてるの?」

って、ちょっとまた、からかってみたくなった。

「うん、見とれてるの」

 ええ?そんな正直に言っちゃうの?

「あ~~。見とれるのはいいんだけど、ちょっと運転しにくいかな」

 冷静をよそおって、そう言ってみた。

「くす、そう?じゃ、見とれるのは、あとにする」

 あ、あとって、いつ?瑞希の顔を見てみた。まっすぐ前を見ながら、ちょっとにやけていた。


「どっか、ドライブに行く?」

「うん!」

 即答で返ってきた。瑞希が嬉しそうだった。それから、

「やばいよね~~」

って、瑞希がつぶやいた。え?やばい?って俺の口癖でしょ、それは。

「何が?」

って、聞いてみた。

「あ、そっか~。もしかしてさ、圭介がやばいって言ってるの、同じ理由かな?」

「え?」

「そうなの?」

「そうなのって聞かれても、瑞希のやばいって言ってる理由知らないから、同じかどうかわかんないよ」

「ん~~~」

 どうやら、理由を言うかどうかを、迷ってるみたいだった。俺は、すんごく聞きたかったけど。

「あのね、私のやばいっていうのはね」

「うん」

 あ、何?教えてくれるの?


「圭介のことを、好きになりすぎて、やばいって」

ええ~~?

「あははは」

俺は思わず笑ってた。嬉しいやら、照れるやら、でも、おんなじ理由だった。

「圭介は違った?」

「一緒!」

 なんだ、瑞希も同じこと思ったんだ。

「だって、瑞希のこと、一つ知るたび、好きになるじゃん。どんどん好きになってやばいなって、俺、まじ思ってたもん」

って、正直に白状した。

「同じだ…」

って、瑞希が、つぶやいた。


 それから少し車を走らせると、雨が降ってきた。

「これじゃ、海とか行ってもな~~」

と、独り言を言うと、それに瑞希が反応した。

「車、走らせてるだけでもいいよ。私」

「え?」

 独り言のつもりだったから、返事が来て、びっくりした。

「圭介の隣にいられたら、幸せだから」

 だ~~~~!何それ!瑞希、ちょっと、そんなこと言って、俺のことを喜ばせすぎ!でも、精一杯平静を装って、

「じゃ、このまんま走らせようかな」

って、言ってみた。けど、耳がどんどん熱くなるのが、わかった。思わず、音楽をかけた。なんか、照れくさくって、話も続かなくなった。

 ふと、走ってる道の先に、プラネタリウムがある科学館があったっけって思い出した。

「あ、この辺…。プラネタリウムがあるんだよ。寄ってかない?」

「プラネタリウム?見たい!」

 瑞希が、喜んだから、見ていくことにした。


 切符を買って、中に入る。

「ここ、よく子供のころ、俺と兄貴と、順平と親父で来てたんだ。おふくろは料理教室に行ってて、いなかったけど…」

 プラネタリウムの会場に向かいながら、そう話すと、瑞希の返答が何もない。

「瑞希?」

 振り返ってみたら、瑞希がいなかった。

「あれ?ええ?瑞希?」

 土曜日の雨、家族連れが多かった。人ごみの中、迷子になっちゃってんの?

 来た道を戻ると、プラネタリウムとは、まったく反対方向で、きょろきょろしている瑞希がいた。

「なんでそっちに行ってるの?プラネタリウム、こっちだよ」

 そう言うと、瑞希は俺を見て、ほっとしながら、

「ごめん、下向いててわからなかった。あれ?でも、誰かのあとについていた気がするんだけど、別人だったかな?」

と、そんな、とぼけたことを言った。


「もう~~。何それ…」

 誰のあとをついて行っちゃってるの…。

「いつも手、つないでないと駄目だな」

 瑞希と手をつないで、歩き出した。

「ちゃんとついてきてよ。いないから、すんげえ、びっくりした。」

「ごめん…」

 ほんと、しっかりしてるようで、おっちょこちょいだよね、瑞希って。そんなところも、可愛いんだけどさ。

 こんなとき、実は俺がいないと駄目なんだよな、瑞希は…、なんて思ったりして、嬉しかったりするんだけどさ。


 プラネタリウムの会場は、けっこういっぱいになってた。その中で、隣同士が空いてる席を見つけて、二人で座った。

 会場が暗くなり、天井一面に星空が浮かび上がった。

「わあ」

 瑞希が隣で、小さな歓声をあげた。

「ね、けっこうすごいでしょ」

 瑞希のすぐそばで、小声で俺は言った。近づくと、瑞希の匂いがした。瑞希の手からは、あったかいぬくもりが伝わってきて、なんかそれだけで嬉しくなった。

 ふと、瑞希が手をぎゅって力を入れて、にぎってきた。瑞希の顔を見ると、ちょっと不安げな顔にも見えた。

「ずっと隣にいるから」

 なんでかな。そう瑞希に言ってた。いや、隣にいたい、瑞希を守っていきたいって思ったからかな。


 そのあと、瑞希が俺の顔を見た。そのまま、ずうっと空じゃなくて、俺の顔を見ていたのに気がついてたけど、なんか、照れくさいことを言っちゃったからか、俺は瑞希の顔が見れなくなってた。

 あ、そっか。さっき、あとで見とれるって言ってたっけ。瑞希、俺の顔に見とれてるのかな。なんて、アホなことを思いながら、そのまま、俺は星を見ていた。

 数千の星。この地球には、数億の人がいるんだよな。その中で瑞希と出会った。これって、偶然じゃないよな、絶対。

 たっくさんの人がいる中、俺は瑞希を好きになった。他の誰でもない、瑞希を…。そんなことを思ったら、すごく不思議な気持ちになった。


 プラネタリウムが終わって、外に出た。雨の中、一つの傘をさし、相合傘で駐車場まで歩いた。まだ、すぐ横に瑞希のぬくもりを感じていた。

「すごかったね。星。私、プラネタリウム、初めてだったんだ」

 …?ほとんど、俺の方見てたじゃん。星、見れてたの?

「ちゃんと見れたでしょ」

「うん」

「あ、間違った。ちゃんと見とれることができたでしょ」

「うん?」

「俺、顔に穴があくかと思ったよ」

「え?何それ?」

「ははは。だから、俺の顔、十分、見とれることができたでしょ?」

「ええ?」

「思いっきり、見とれちゃったでしょ?瑞希」

「ええ~?何よ!それ!」

 そう言うと、瑞希は俺の腕をぺちってたたいた。あははは。可愛い。

 瑞希の家まで車で送っていく途中、瑞希と手をつないだ。ずっと、こうやって手をつないで、ずっと、瑞希の隣にいる。結婚したら、ずっと一緒にいられる!


 俺は、すごく有頂天になって、わくわくしながら、瑞希を家まで送り、自分の家へと帰った。家に着くと、おふくろが玄関に飛び出してきた。

「圭介!ちょっとちょっと!」

 ダイニングに連れて行かれ、席に着くと、いきなりおふくろが切り出した。

「瑞希さんと、お付き合いをしているのよね?」

「ああ、…うん」

「それで、圭介は、きちんと結婚のことまで、考えてお付き合いはしているの?」

「……」

 いきなり、言われて、たじろいだ。でも、結婚しようって瑞希には言ったし、おふくろに隠しててもしかたがないかなと思い、

「うん。考えてるよ」

と、言うと、おふくろの目が輝きだした。

「じゃ、挨拶とか、行かなくちゃ」

「挨拶?」

「瑞希さんのおたくによ」

「ああ、そっか」


「お父さん!リビングでテレビ観てないで、こっちに来て話に加わって!」

リビングにいた親父のことまで、引っ張り込んできた。え?ちょっと。おおごと?

「今日ね。瑞希さんと圭介が結婚するなら、いつくらいになるかしらって、話していたのよ」

「……?」

 だから、なんでそう話が飛ぶかな…。

「大安吉日ってすぐにうまるのよ」

「うまるって?」

「結婚式場よ!何のんきなこと言ってるの」

「ちょ、待って。まず、挨拶して、承諾得てっていうのが、先だよね?」

「そうだぞ。まったくお母さんは気が早すぎる」

「あら、だってね、1年くらいうまってるかもしれないのよ、そんな悠長なこと言ってられないでしょ?」

「わかった!わかったよ。じゃ、挨拶も早めに行くからさ。それと、式場とか勝手に決めないでくれる?俺と瑞希で決めるから!」

「え…」

「じゃ、そういうことで。俺、部屋に行くから」


 自分の部屋に行くと、どっと疲れが出た。確かに…。瑞希とずっと一緒にいたいけど、結婚っていろんな面倒なこともいっぱい、あるんだろうな~~。あ~~あ。

 ベッドに横になった。ぼけ~~って天井を見た。そして、結婚を想像してみた。まずは、瑞希のウエディング姿…。ああ、やべ…。絶対に似合う。

 それから、結婚生活…。朝、瑞希に起こされる。

「おはよう、圭介」

って、優しく言ってくる。そんで、カーテンを瑞希が開けると、朝の光が入って、俺が眠い目をこすって、

「おはよう、瑞希」

って、言ってさ。そんで、もう朝食ができてて、お弁当もできてて、顔洗って、ご飯食って、で、

「行ってらっしゃい」

って、瑞希が玄関でキスして…。って、あ、そっか。そうしたら、瑞希会社辞めるのか…。

 …………。く~~!!!めくるめく、新婚生活~~!


 こりゃ、おふくろじゃないけど、悠長にしてられない。今、すぐにでも挨拶に行きたいくらいだ!

 ベッドから立ち上がり、携帯を手にして、すぐに瑞希に電話した。

「瑞希?」

「あ、圭介…」

「今、何してんの?」

「ぼ~~ってしてた。圭介は、家に着いたの?」

「うん。それで、おふくろにつかまって、一回瑞希んちに挨拶に行けって」

「え?」

「おふくろ、ノリノリで、結婚式の日取りも決め兼ねないよ」

「まじで?」

「うん。大安がいいだの、式場はどこにするだの、俺がいない間、親父と話していたみたい」

「え~~?」

 あ、なんか、瑞希いやそうな声だ。


「困る?」

「私は嬉しいんだけど、うちの母親が…」

「え?俺のこと駄目だって?」

「いや、お付き合いしてるんだの、そういうのも、まだ、言ってないけど、ただ…」

「うん、何?」

「さっき、ぐちぐち言われて…」

「何を?」

「いや~~。いろいろと…」

「瑞希、瑞希の家族は賛成してくれるって、この前言ってたじゃん」

「そうなんだけど、お母さん、圭介のこと気に入ってたから。でも、結婚相手としては、わからないかも」

「年下だから?」

「う~~ん。うちの母親、すごく世間体とか、気にするから。父はそうでもないんだけど」

 世間体?


「世間がどう言おうが、大事なのは、本人どおしだろ?」

「私もそう思うの。母もそういうことを言うこともあるの。でも、たま~~に、近所のばばあ、いや、奥さんからいろいろと言われると、とたんに世間体を考え出すの」

「そういうばばあがいるんだ…」

 そういうの、気にしなそうな、お母さんに見えたけどな…。

「瑞希、俺、行くからさ。挨拶に…。もし、反対されても、何度でも行くよ」

「本当に?」

「うん」

 あったりまえじゃんか…って、あれ?なんで黙ってんの?瑞希。

「何?何で無言?」

「ううん、圭介、意外と頼もしいなって」

 意外はよけいでしょ。

「じゃ、日にちどうする?」

「え?ああ、挨拶に来る日?」

「そうだよ。いつにする?」

「来週の週末、早すぎるかな?」

「わかった。土曜は仕事入るかもしれないから、日曜で」

 よっしゃ~~~!!来週だ!


 それから俺は、やっぱりスーツでいかないととか、いったいどうやって言おうかとか、あれこれ考えた。

 でも、あれこれ考えては、結局最後にまた、新婚生活を思い浮かべて、にやけていた。ほんと、あほだよな~~俺って…。

 その日の夜、ひさしぶりに笹おじさん(社長)がうちに遊びに来た。

 どうやら、俺の体のことを心配して、寄ってみたようだったけど、おふくろは俺に体のことより、頭の中が結婚のことでいっぱいだったから、笹おじさんにも、いきなり俺の結婚の話をしだした。


「結婚?圭介が?いつ、誰と?そんな相手いたのか?」

「あっら~~。やだ、笹塚さん気づかなかったの?圭介と瑞希さん」

「・・・・。瑞希さんって、柴田さんのことか?圭介!」

「う、う~~ん」

 返答に困ってしまった。

「いや、仲がいいのは知っていたが、なんていうか、見てて、圭介がなついている感じがしてただけで…。ええ?だって、柴田さん、そんなそぶり全然…。っていうか、柴田さんはこの前、お見合いの相手と駄目になったって…。つい、この前…」

「あ、うん。そうなんだけど…」

「あら、そういえば、そうよね~~。早い展開だわよね~~」

 おふくろが言うなよ…。くっつけようとしてたんじゃんか…。

「まあまあ、笹。驚くのは無理はないと思うけど、落ち着いてくれ」

「あ、ああ、はい。…で、結婚はいつ?」

「これから、圭介が向こうに挨拶に行って、それから私たちが会いにいって…。あ!結納とかもあるわね~~」

 結納って…、何?


「そうだわ。笹塚さん。結婚しても瑞希さんは仕事続けられるのかしら?」

「え?あ、ああ。はい。それは、別に、かまわないですけど」

「あら~~、良かったわね、圭介。子供ができるまでは、働いててもいいわよねえ」

 こ、子ども~~~~!?

「まあ、まあ、お母さん気が早すぎるよ。まずは、挨拶に行ってそれからだから、なあ、圭介」

「そうだよ。なんでそう、一人で盛り上がるかな…」

「これは、まだ、きちんと決まるまでは、会社の人には内緒にしておくからな、圭介」

「あ、はい」

 笹おじさんは、そう言うと、うちで、ご飯を食べて、帰って行った。

 それにしても、ほんと、うちのおふくろ、強引っていうか、気が早いっていうか、なんていうか…。


 その週、胃カメラの検査をした。

 朝からすごい憂鬱だったけど、やってみたら意外とそんな大変でもなかった。自分の胃の中を見るっていうのは、なんかあんまり、気持ちのいいものでもなかったけど、医者にすごい健康な胃だって言われて、安心した。

 会社に行き、そのことを社長に報告し、席に戻った。瑞希もすごく、ほっとした表情をした。そうだよな。瑞希、心配してたもんな。

 周りのみんなにすげえ、迷惑をかけたから、仕事ばりばり頑張ろうと思ったけど、自分の体のことも考えながら、仕事をすることにした。これでまた、倒れたりしたら、ますます瑞希に心配をかけてしまう。

 それから、瑞希が、俺の分のお弁当を持ってきてくれるようになった。瑞希の手作り弁当!すげえ、嬉しい!

 でも、周りにはまだ、俺たちが付き合ってることも内緒だったから、そっと弁当をもらい、そっと返していた。


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