小さな1歩
「ねえっ!ユイナちゃんメールやってる?」
「……うん」
「メール登録しよーよ」
「……良いよ」
私は心の中でガッツポーズをとる。一緒に連絡取り合える友達がいる!そんな嬉しいことが今までなかったと思うから、小さいことが嬉しいんだっ!
「あ、でも、学校はスマホ禁止だよね?どうやって繋がる?」
番号登録もバグで出来なくて……と言おうとした時に、
「じゃあ、私の家、来る?」
……………………家に、行く…………?
「いっい、い、家に、行く〜〜〜〜〜!?」
「うん」
「え!?いいの!?大丈夫!?今日会ったばっかの人だよ!?
死ぬほど嬉しいけどっ!」
「多分大丈夫。親が、事情で今居ないし。」
「それは、余計にダメなやつでは……」
いや、親いない時に友達連れてきていいの!?
友達ってそーゆーこと!?
って思ってたら、
「来たくないの?」
ってユイナちゃんが言うから。
「全力で行きたいですっ!」
そう答えたら、
「ぷっ」
って、笑われた。いつもの私なら少しガッカリするかもだけど……
ユイナちゃんが笑った顔が、とても可愛くて、見たことないくらい幸せそうな顔で笑うから、
これで良かったんだ、そう思っちゃうじゃんっ!
「じゃ、明日でも?明日の、正午辺りにこの学校のグラウンドで良い?」
「え、そんな早くにいいの」
「だめ?」
「いや、こっちは平気だけどっ!ユイナちゃんはいいのっ?」
「うん、ていうか、ピア、私のこと呼び捨てでいいよ」
そんなこと言うから、心の闇が晴れていく。
そんな事を言ってくれる友達は、これまでも、これからも、ユイナちゃん1人だ。
「……じゃあ、ユイナ、明日よろしくねっ!」
楽しかった。あの瞬間が、あの感覚はなんだろ。
初めて味わった、幸せの感じ。空気がほわほわってして、なんとも言えない、素敵な感覚が身体を巡ってった。
ずっとこの空間にいたいなぁ。ずっとユイナと、友達でいたいなあ。そして、ユイナと色んなことを経験して、色んなことをして、楽しく幸せに過ごしたい。
ユイナのことが、たった少しの時間で、好きになった。もっと仲良くなりたい。仲良くなって、お互いとずっと一緒にいたいって思えるようになったら、良いなぁ
そんな関係に、いつかなれるかなぁ
きっとなれるよ、ってそんな声が聞こえた気がする。
うん、そうだね、その声に私は返事をする。
そんな関係になれるように、努力する。
明日が、楽しみだ。
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