最期の時《ユイナ視点》
救急車に乗ったのは何回目だろう。
ピアが救急車を呼んでくれた。
ピーポーとサイレンがなる。ピアも一緒に救急車に乗っている。
心配そうに私のことを見てくれている。
誰かが、私を必要としてくれている。
それが嬉しかった。
私は多分、今日のうちに死ぬだろう。
前の私だったら、
あぁ、死ぬんだ。
そのくらいしか思わなかったと思う。
でも、ピアと出会って変わった。
……もっと生きたかった。
ピアと色んなことを経験して、一緒に大人になって、色んなことを経験して、遊びたかった。
もっと、ずっと先まで、一緒にいたかった。
大好きな、ピアと。
あ、着いた。
私は担架で運ばれる。
ピアが話す。
「ねぇ、ユイナ……君は幸せの時間があった?ずっと辛いままの人生なんて、つまんないじゃない。少しでも、その、辛かった人生に、幸せがあった?」
幸せは、あったよ。
ピアと過ごしたことが幸せだった。
ずっと幸せでした。
口は動くけれど声が出なかった。
「心の中で答えて」
ピアが優しい声で言った。
ピアの優しい声、明るい性格に私はどれほど助けられただろう。
それらがなければ、私は幸せになれなかった。
ピアが話した。
「あなたは、幸せでしたか。その心の傷が、少しでも治ることを願っています。君に出会えて良かった。ユイナのこと、大好きです。また、いつか違うところで、会おう、ユイナ」
私は泣いた。最後の時は、絶対に泣かないって、決めてたのに。泣くはずなかった。でも、ピアは私の運命を変えた。
ピア……!大好き!大大大大大大大大大大大好きっ!
その性格、その声、その顔、その格好、まるで恋する彼氏が目の前にいるかのように、ピアが輝いていた。
「……う……ん……だ……い……す……き…………ピア……」
ほとんど喋った時も意識は無くて。
あぁ、死ぬんだ、私。
もっと生きたかったな……
せめて、高校生くらいまで。
それから、私の脳はもう二度と機能しなくなった。