病気の症状は身近に現れて来て
あの、真実を知った日から数日が経過した。ユイナが言うには、今日学校に来れそうだって、言っていた。今日は朝早く目が覚めちゃった。心臓はドキドキしている。
あの日以来、私達は会っていない。
メールで昨日、今日来ることを伝えてくれた一通以来。
その後メールを送っても既読はついていない。
早くに校門に行って、ユイナを待っていようと昨日から決めていた。早歩きで校門に着く。流石に早かった。校門が開く15分前。それは少なくとも15分は待っていないといけないということで。その間、私の心臓が落ち着くことは無かった。
先生が校門を開け始め、生徒がチラホラと見えてくる頃。
遠くからゆっくり歩くユイナの姿を見つけた。じっと見つめて、懐かしく感じて。
でも。
時々フラフラとよろめきながら歩く姿は私の心を削った。
「ユイナっ!?大丈夫!?」
「……ピア……おはよ?」
ゆっくりユイナは喋る。
だから、ユイナは私を傷つけないように、頑張ってるから、
私も。
「うん、おはよっ!」
喋るのが少し大変そうだから、あまり話さないで校内に入る。
「3階まで、上がれる?」
「ん」
私はユイナの手をぎゅって握った。
私より、少し小さい手。
その手が、冷たくて。あったかくなるように。
ぎゅって強く握ったら、力は弱かったけど……ユイナも握り返してくれた。
私達はゆっくり階段を上る。階段を上るのに、10分くらいかかった。途中で休んだりしたから。
でも、ユイナは頑張った。
どれだけ大変でも、階段を上るのにすごく苦労しても、諦めなかった。
私なら、途中で休んだ時に、この先の階段の量を考えて絶望していたかもしれない。
「……ユイナは、強いね」
階段を上って3階に着いてから初めて発した言葉はこれだった。
多分、普通の人なら「すごいね!」とか「よくやった!」って褒めるんだろうけど。
「……強く、ないよ、私……」
ユイナは言う。
「んーん、ユイナは……私の何倍も強い。だってそんな重いことを抱え込んで、元気に通う。そんなこと、私は絶対出来ない。」
私は言った。
全部、本心。
「……そんなこと、ない……よ、」
ユイナがゆっくり言う。
「……ピアは……あの時……転校してすぐの、私を……友達に、してくれた。私は、友達を、作ろうと、思って、なかった。」
え……余計なお世話をしてしまった……っ!?
そんな事言う前に、ユイナが、
「私は……友達を、つくる、楽しさを、知らなかったんだ。だって、だってピアと……一緒に居られて、すごく、すごく……楽しかった。頑張って生きててよかったって、そう思えた。」
目をうるわせながら、にこって笑って。
私と同い年で、こんな重い病気を抱えていて、
でも、それでも頑張って、必死に生きている。
笑って、泣いて、悲しんで、喜んで、嬉しさを感じて。
そんな強い人、私はユイナしか知らない。
「ピア、いつも……あり、がと……」
私は目に涙を浮かべながら。
「……こちらこそ、いつも、一緒に笑ってくれて、ありがと。」
次かその次か、またまたその次かくらいで完結です!