主人公最強ではありません。
1話 入学式
「今年の目星はいるのか?」
砂糖いっぱいのコーヒーを片手に学長は外を見ていた。
「そうですね、今年の首席は御三家の一つ、御影ゆきさんですね」
ほほう、今年の首席は御影家がとったのか、
「他には?」
「他ですと鳥羽家や一橋家は勿論のことですが一橋の分家二橋の者が入学しています」
「ん?それがどうかしたのか?」
「はい、その者ですが一橋の分家の筈が錬法があまり扱えないということで一橋の方からあいつを一橋の分家の元と認めないと通告がありました」
仮にも70年間日本を引っ張ってきた御三家の一つ一橋が錬法を上手く扱えない者を親戚として置いておくのはメンツが持たないだろうな。
「そうか、ありがとう。下がって良いぞ」
「はい、失礼します。」
副長が部屋をでると学長は右手の紋を見た。
もう70年かぁ…学長は少し思いふけるとまた砂糖を入れた。
学園の正門の桜はあたかも未来を知っているかのような顔で新入生を出迎えていた。
この第68期生が歴史を大きく変えることはまだ桜以外誰も知らない。
同日 午前7時半。
ピピピピッとアラームが鳴った。
慣れた手つきでそれをとめ二度寝しようとしたが、
今日が入学式だというとこに気づき慌てて支度をする。
ぎりぎりクラスに入るともうみんな着席していた。
クラスは全部で8クラスある。
1から3までが上位者クラス、4から6は中位者クラス6からはまあそういうことである。
ちなみに俺は4組だ。まぁ中の上といったあたりか、
自己紹介も終わりひと段落つくといかにも調子乗りが話しかけてきた。
「二橋だよな!俺、伏見って言うんだ。同じ分家同士仲良く行こうぜ!」
伏見、そうか御三家鳥羽家の分家伏見家か、なるほど。どうりで髪の毛が赤い訳だ。鳥羽家は炎の錬法を使うので髪の毛が赤くなる特徴がある。
「真也だ。真也でいいよ、よろしく」
「真也か!俺は蓮って呼んでくれ」
悪い奴じゃなさそうだ。
蓮と絡んでいるうちに学園の説明が始まっていた。
まぁ大抵はみんな知っていることだ。
敗戦国大日本はオスマン帝国と肩を並べる為にこの学園を作って錬法を育成しているのだ。
だが、今となっては終戦70年となり戦闘能力を磨くというより錬法をよく理解して広く活用する為に学ぶ機関となっている部分がある。
授業は一般的な知識を学ぶと共に錬法なども学んでいく。将来は軍に入ることが名誉とされている為学園での成績はとても重要なのだ。