3/5
第 三 回
気が付いたら彼は岩を登っていた。ゴツゴツした結構落ちやすい、難所だ。気が抜けない。滑って落ちたら、十何メートル下に叩きつけられるだろう。
『時は過ぎゆく』
たとえ自信がなくたって頑張れば光を見出せるのだ。
「明日は、俺だ…」
王様は一人、呟いた。
野生の白オオカミとたまたま仲良くなれたので、魚などを貰って王様は十一日目に戻って来た。
使用人に、弘は話す。
「俺の力は王様であることだ」
「と、なったら権力倒しだ。はっきり言って」
「違う、王様であり続けるから強いんだ」
「なんだって、王様であり続けるだと…」
続く