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食べさせあいっこ

「おまたせー」

「おかえりー」


 私が席で待ってると渚ちゃんが帰ってくる。渚ちゃんが持ってるのは……、私と同じカレーとナンだ。


「あっ、お揃いだ」

(おんな)じのにしちゃった」


 渚ちゃんは笑いながらトレーを置いた。さっきまでかっこよかったから、今の動作が余計にかわいく見える。


「じゃあ食べよっか」

「うんっ」


 結構ごたごたがあってご飯が遅くなっちゃったけど、無事にお昼御飯が始まる。私のカレーはちょっと冷めちゃってたけど、あっつくても多分食べられないから丁度良かったけど。

 ナンをちぎってカレーに漬けて食べる。う~ん、おいしいっ。ナンの生地ものほのかに甘くておいしいし、カレーも……。


「からっ」


 私は思わず声を出してしまう。え、かっら。お姉さん私には甘辛でも辛かったよ。中辛にしなくて助かった……。


「あー、明ちゃんにはやっぱ甘辛も無理だったかー」


 渚ちゃんがどこか納得した感じに言ってくる。


「やっぱりってひどくないっ!?」

「あははっ、ごめんって。怒らないで、これあげるから」


 なんだかひどくバカにされた感じがしたけど、渚ちゃんがカレーを付けたナンを前に出してくる。……まさかコレも辛かったりしないよね。ちょっと疑心暗鬼になってる私は渚ちゃんの顔を確認する。


「もー、そんな顔しないでよ。甘口だからさ」


 ちょっと苦笑いをしながら渚ちゃんがもう一回前にグイっと手を伸ばしてくる。


「……まぁそれなら」


 私はそう言って、そのまま出されたナンを口にする。生地自体はおんなじ味だったけど、カレーは……辛くないっ。おいしく食べられる辛さだっ。


「でしょ?」


 どやっ、といった感じでこっちを見てくる渚ちゃん。むー、そのドヤ顔はなんか悔しい。とか考えてると、渚ちゃんがさっきまでナンを持ってた指をなめる。え、でもその指さっき私がちょっと口に含んで……。


「あっ」


 それじゃ間接キスに……。ちょっと驚いて声を上げちゃう。


 それを聞いた渚ちゃんは、「ん?」と言いながら私の顔を見て、私が見てた、渚ちゃんの指を見る。そして何かに気付いたように、


「あっ、いやっ。別にそういうんじゃないから」


 と慌てて弁解を始める。なんだか今日はいつもしっかりしてる渚ちゃんが慌てる様子をよく見る気がする。学校の外の渚ちゃんっていっつもこんな感じなのかな?


「わかってるって」


 慌ててる渚ちゃんが面白くって、つい笑いながら答えちゃう。すると、


「……じゃあそっちの辛いの食べてあげるから頂戴よ」


 と渚ちゃんはちょっとムッとした顔をして言う。分かったーと返事をしつつ、カレーのお皿を交換しようとすると、


「あ、食べさせてくれないんだ。ふーん」


 とちょっとすねちゃう。いや、そういうのはずるいじゃん。


「あーもー、分かったよ。はいっ」


 食べやすい大きさにナンをちぎって、カレーを付けて前に出す。すると渚ちゃんは満足そうな顔をしてナンを口に入れる。……私の指ごと。


「ん~~」


 私は声にならない悲鳴を上げる。不意打ちにもほどがある。私の指をくわえながら、上目使いでこっちを見てくる渚ちゃん。目があったタイミングで、さらに指をなめてくる。


「ひゃっ」


 耐えきれなくなってつい指をひいてしまう。


「私の勝ちね」


 勝ち誇った顔で言われる。むー、悔しい。


「まだ負けてないもんね、次のナンがタベタイナー」


 なるべく平静を装って、さりげなく次のを食べさせてくれるように要求する。……全然普通に言えなかったけどさ。渚ちゃんも私が何をするのか見当がついたみたいで、ニヤニヤしながらナンを出す。負けた気がする。やり返すけどさっ。



 結局この後、私たち二人はお互いのカレーが無くなるまでお互いに食べさせるのを続けてた。そのころには二人とも真っ赤になってたけど。

 なんかイケナイことをしたような気もするけど、ナンが無くなったときに二人で笑いあえたから良しとしておく。


 ……それにしても私のために甘口頼んでくれてた渚ちゃんにはやっぱり敵わないや。

本編書くより楽しいかもしれない、やばい。道を外れそう、困ったな()

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