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フードコートのナンパ

 本編『吸血鬼様は今日も不機嫌』だと二人とも異性のお相手っぽいの用意してますけど。ここでは何も特別な感情を持ってないことになってます、本編だとまだそこまで進んでませんけど()。作者による二次創作だと思ってください。これを了承できる人はどうぞ。

 

 この二人の絡みが想像以上に良かったおすそ分けします。このルートはGL気味なのかな? 気が向いたら更新していきます。不定期更新です。

 本編だと夏休み編のお話で、ナンパ書いてもよかったなって言ったやつを書いたやつです。視点は夜黒さん。

 ではどうぞ

 夏休み初日の今日は(なぎさ)ちゃんと星山のショッピングモールに遊びに来ている。

 普段のかっこいい渚ちゃんも良いけど、オフでおしゃれな渚ちゃんもかわいくていいな。普段と違って制服じゃなくって、白のオフショルにデニムショート。そして胸元に掛けてあるサングラスもワンポイント。普段は後ろで束ねてる茶髪のポニーテルは今日は降ろされていて、アイロンまでかかってる。かっこかわいいとはこのことなんだな。いいなぁ。

 ……なんて思っていた時期もあった。


「まってー、疲れたー」


 モールを歩いてる途中で空いてるベンチを見つけたので、私はそう言いながら腰を掛ける。おしゃれに気を遣う女の子が服を選ぶのに時間がかかるのは知ってたけど……。こんなに歩き回っても満足しないとかもう無理……。私じゃついて行けないよ……。めんどくさいからワンピースで済ませてる私がついて行ける世界じゃなかった。いいよねワンピース、コーデを考えなくてもいいし、洗い物も少ないから、ははっ。


「あーごめん、気にしてなかった。(あき)ちゃんもかわいいんだからもっとおしゃれに気を遣えばいいのに。折角の銀髪と青目を活かせりコーデ考えればいいのに」

「だってそんなことしたら洗うのが大変そうなんだもん」

「デスヨネー」


 渚ちゃんが可哀そうなモノを見るような目でこっちを見てくる。いいもんね、別におしゃれしなくても私はかわいいもんね。……調子乗りました、ごめんなさい。


「この後どうしよっか?」


 渚ちゃんが私の隣に座りながら聞いてくる。あ、髪のいい匂いが……。いや、それは今はどうでもよくて。

 スマホを取り出して時間を確認する。


「うーん……。もうそろそろ二時だしご飯食べたい。おなかすいちゃった」

「おっけー、じゃあフードコート行こっか」


 渚ちゃんに案内されてフードコートへ向かう。ピークを過ぎてるからか、ちらほら席を立つ人もいて、パラパラ席は空いてた。


「ここでいい?」

「うん」


 私がそう答えると、渚ちゃんは近くの空いているソファー席にそのまま座る。私が向かいの椅子に座ろうとすると、


「私ここで待ってるから、先に買ってきていいよ」


 と言ってくれる。


「ありがとー、じゃあ買ってきちゃうね」


 渚ちゃんに見送られて席を離れる。

 うーん……、お店が沢山あって迷っちゃう。折角だからフードコート感のある食べ物を……。お店を探して歩いていると、ナンのお店が目に入る。カレーっ! フードコートぽいっ! ということでそのお店に決めた。


 えーっと、辛さは五段階で甘口、甘辛、中辛、辛口、激辛か。ここは無難に中辛でいいかな?


「日替わりカレーの中辛お願いします」


 注文のお姉さんにお願いする。ふっふっふ、別に友達がいなくたってこれくらいの注文はできるのです。そんなことを考えていると、


「えっと……、中辛だと辛いけど大丈夫? 甘辛にしとかない?」


 とお姉さんに心配されてしまった。


「あっ、はい、じゃあそれで……」


 残念ながら友達のいなかった私にそこまでの対応力はなくって、あれよあれよという間に甘辛になっていた。そんなに子供ぽくみえるのかなー。身長が低いせいなのかな。なんでだろうなー。

 後で気づいたけど、私のカバンからさっき買ったクマさんの頭が出ていた。そりゃ子供っぽく見えるよ、まったく。


 それはさておき、無事にお昼ご飯をゲットした私は、ウキウキな気分で渚ちゃんの待つ席へ戻る。


「ん?」


 渚ちゃんの方を見ると、知らない男の人二人が目に入る。その二人は渚ちゃんに寄ってって、あっ、声を掛けてる。これが噂に聞くナンパと言うやつか。……フードコートって怖いな。

 とはいえ、このまま戻らないわけにもいかないから、そのまま席に戻る。


「あっ、お帰り明ちゃん」


 私が戻って来たのに気が付いた渚ちゃんがこっちを見る。するとナンパの二人も私にきがついたらしく、


「おっ、二人だったんじゃん。俺たちも二人だから丁度よくね?」


 と嬉しそうに言ってくる。別に私たちとしてはこれっぽちも丁度よくないのだけど。はぁ、ここできっぱり断れればいいのに、どうやら私のコミュ力じゃ断り切れないみたい。


「あ、トレー置いちゃっていいよ」

「あ、うん」


 しかしどうやら渚ちゃんの強靭なメンタルは、ナンパ程度には屈しない。すごいなぁ……、かっこいいなぁ。私はちょっとおどおどしながら、トレーをテーブルに置く。

 いや置いたのは良いけど、これどうするの? 助けを求める目線を渚ちゃんに送ると、


「ここ座って」


 と言いながら、渚ちゃんは自分の隣をポンポンしながら言ってくる。なんでだろう、と思いながらも席に座ると、急に体を引っ張られる。


「えっ」


 急に渚ちゃんの隣に引き寄せられて、肩に手を回される。

 えっ、えっ、なんで、どうして。渚ちゃんと気が付いたら肩が密着してる。あっ、でもいい匂い、あったかい……、いやちがうの、それは今は置いといて。

 私が困惑してると、渚ちゃんがナンパ二人に向かってこう言い切る。


「この子、私の彼女なんで。邪魔しないでください」


 えっ、かのっ。えぇぇっ!?

 そう言い切った渚ちゃんの目は、とってもかっこよかった。


 ナンパの二人も納得したらしく……、でもちょっと困惑した感じで離れてく。あれが尊いってやつなんだ、邪魔しちゃならん、なんて言ってる。……尊いって何だろう。

 まぁそれは置いといて、ナンパの脅威は無事に去ったんだけど。


「渚ちゃん……?」


 いつになっても肩を離してくれないことをちょっと不思議に思って渚ちゃんの顔を見る。

 ……やっぱキレイな顔してるよね。スラっとしてちょっと高い鼻に、キリっとした目。髪と目も透き通ったブラウンで、運動部なのにきれいな肌。はぁ、女の私でも見惚れちゃうよ……。


 私が見つめてるのに気が付いたのか、渚ちゃんもこっちを見つめてくる。

 お互いの瞳に魅かれあうように見つめあって……、いや待ってよ、何してるの私っ。


 急に恥ずかしくなって目をそらしてしまう。チラッと横目で渚ちゃんの様子を見ると渚ちゃんも顔を真っ赤にしてる。


「……彼女」


 おもしろそうだったので、ついボソッと言ってしまう。


「ん~~っ。……ほら私もご飯買って来るから、そこどいて」


 渚ちゃんはもともと赤くなってた顔をさらに赤くして、席を立とうとする。でも残念ながら私が出口側の席に座ってるから、私が退()くまで渚ちゃんは立ち上がれない。


「ふーん、そういうことするんだ」


 あ、これは何かやられる、どいた方がいい。そう思って肩に回された手を振りほどいてすぐに立ち上がったけど、その時にはもう遅かった。


 今度は左手がつかまれて、席を立てなくなっていた。……手つないじゃってるよ。また顔に血が集まっていくのが分かる。……私の手をつかむ渚ちゃんの顔も同じくらい赤かったけど。


「座って? 」

「はい……」


 有無を言わさず座らされる。えっ、何されるの私。ドキドキしながら待ってると、肩に力がかかる。


 そっちを見ると、渚ちゃんが私の肩に頭をのせている。やっぱりいい香りがして、って今はいいのっ。……でも渚ちゃんの匂いやっぱりすきだなぁ。


「ななっ、渚ちゃん何やってんのっ!?」

「なにって。明ちゃん私の彼女なんでしょ? だったらこれくらい問題ないよね」


 渚ちゃんもちょっとムキになって、言い切る。顔を真っ赤にして、しかもちょっと涙目だ。


「……ん」


 流石にこれは断れないよ。私が諦めて力を抜くと、渚ちゃんが、フフッ、と笑い声を漏らす。声が耳元で聞こえてちょっとくすぐったい。

 左肩によっかかってくる渚ちゃんの頭に、私はなんとなく頭を重ねる。あったかいな……。


 どれくらいくっついてたのかな。このあったっかくて、いい匂いの幸せな時間は、突然なった変な「きゅ~」という音で遮られた。


「待たせてごめんね、ご飯買ってくる」

「……うん」


 恥ずかしいことに私のおなかが鳴っちゃったから、私達はそのまま立ち上がる。……手をつないだまんま。

 それに気づいた私達は、どっちからともなく手を離して、顔を見合わせて笑う。


「行ってらっしゃい」

「行ってきます」


 ご飯を買いに行く渚ちゃんを見送った。……隣にぬくもりがないのが無性に寂しかった。


 渚の「ん~~っ」に//付けたいけどどこに入れればいいのかわからなかった。助けて

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