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第25章ー2

 すみません。

 私自身が読み返してみると、第5部に入ってから、浅井長政が何故にエジプトの住民に慕われるのか、全く描写していなかったことに気が付いたので、3話程、浅井長政がエジプトの住民に慕われるようになったのかを描写します。

 そんなことが自分達の知らない水面下で行われていること等は全く知る由も無かったが、浅井長政夫妻はこれまでの様々な人生経験や周囲(特に上里勝利)の忠告から、何となく癇に障るモノを覚えていた。

 とは言え、二人共に20代前半の若さである。

 やれることには限度があり、また、周囲を抑えるのにも限度があった。


「インディゴの栽培を行おうと思いますので、色々と教えて頂けないでしょうか」

「分かりました。それに詳しい者を派遣しましょう。報酬は追って相談しましょう」

「ありがとうございます」

 浅井長政は、エジプトのある村から来た使者に対して鷹揚に答え、使者も満足して前を去ったが。

「あなた。報酬は今、決めておくべきでしょう」

 使者が視界から消えた後で、お市はそれとなく夫を注意し、長政も俯かざるを得なかった。


 長政はこの5年余りをエジプトで過ごす内に、エジプトの住民にかなり肩入れするようになっていた。

 勿論、それ自体が悪いことは無い。

 だが、それによって長政の周囲は、それなり以上の負担感を覚えるようになっていた。

 半ば裏返して言うと、これだけ頑張っているのだから、それなりの見返りがあるべきだという想いを、長政の周囲はするようになっていたのだ。


 とはいえ、長政自身が自由になるお金等には限度がある。

 そのために長政の周囲への見返り、報酬は低廉なままというのが現実だった。

 その一方で、長政へのエジプトの住民の支持は暴騰しつつあった。

 そんなに見返り、報酬を求めずに、自分の頼みを聞いてくれるからだ。

 いっそのこと、長政がエジプトの統治者に成れば、という考えを抱く者がエジプトの住民の間で増えるのも当然の話と言えた。


 更に言えば、エジプトの住民の間での宗教対立に気を遣う余り、長政はコプト正教徒が多数を占める村にも、イスラム教徒が多数を占める村にも、依頼があれば分け隔てなく、援助を行うようになっていた。

 勿論、これにはそれなりの背景があり、古スエズ運河再開削に伴って、ナイル川の流れの一部が紅海へと流れることになり、また、古スエズ運河通航のためにナイル川の年1回の大増水をできる限り抑制する必要が生じたということがあった。


 この古スエズ運河通航の関係から、ナイル川に大規模な堰を築き、また、ナイルデルタ地帯を中心に大規模な水路網を建設する必要が生じた。

 とはいえ、単に大規模な堰や水路を築くだけでは、宝の持ち腐れであり、住民にしてみれば負担感が募るだけの代物になってしまう。

(更に言えば、こういった大規模な堰や水路網は常時管理が必要な代物で、管理を少しでも怠ると、堰が崩れたり、水路が上流から運ばれて来た土砂で埋まったり、という事態を引き起こしてしまいかねない)

 こういったことから、大規模な堰や水路の維持は、自分達の生活を豊かにするためにも必要不可欠なのだ、ということをエジプトの住民の間に肌で感じさせる必要もあって、長政は積極的に援助をしたのだ。


 しかし、その一方で、このような大規模な堰や水路の建設や維持の技術となると、それこそ「皇軍来訪」によって、長足の進歩を遂げた日本の技術提供が半ば必要不可欠になるのも、また事実だった。

 そして、長政は日本人であり、エジプトの住民にしてみれば、大規模な堰や水路の建設や維持も長政のお陰という想いが、完全な誤解なのだが徐々に広まることになった。

 それにエジプトの住民にとって、そもそも論になりかねないが、ナイル川の恵みによって自分達は生きてきたのであり、そのナイル川の恵みをここまで活用できる人物は、これまで誰もいなかったのだ。

 将来は長政にエジプトの統治者になって欲しいものだ、という住民は徐々に増えていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 勿論、日本の技術や財力が背景にあったとしても、浅井長政夫妻自身に人望・人徳があったことも確かだと思います。 なんせ、史実世界でも北近江(の一部)だけの身代で、三年に渡って第六天魔王とガチ…
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