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第14章ー2

 東の果てに新天地がある、そういった噂、情報が、この当時、日本国内に少しずつ広まりつつあった。

 言うまでもなく、皇軍が主導して行った日本国外探査によってである。

 何しろ、この当時の日本に、世界地図がある訳が無い。

 皇軍は、それこそ自力で大型帆船を建造しての、国外探査を試みることになった。


(更に言えば、当時の日本には、そんな大型帆船を建造する技術が無く、最初期の段階では、皇軍の指導だけでは力が及ばず、シャムから大型ジャンク船を輸入して参考にしたり、琉球からジャンク船建造の技術者を招へいしたりする羽目にまで陥った)


 そして、懸命に建造された大型帆船、探査船で、北米大陸を目指した船団は。

 いきなり、太平洋を横断するということは、余りにも無謀だとして行われず、本州を出発した最初の探査船は、北海道から千島列島、カムチャッカ半島からアリューシャン列島を経由して、北米大陸へと到達することに成功した。

 更に南下を急ぎ過ぎて、帰り路にトラブルを引き起こすことまでやった。


(もう少し、もう少し、とこの時、探査船団の団長を務めた牟田口廉也将軍が、北米大陸の探査を逸りに逸った結果、帰りの食糧が不足する事態に陥ってしまったのだ。

 危うく餓死者続出、という事態が起きかねない話だったが。

 何とかベーリング島まで、探査船団が帰還したところで、彼らが発見(?)したのが、ミカドダイカイギュウ(史実のステラーカイギュウ)だった。

 探査船団の牟田口将軍の命令により、ミカドダイカイギュウを数頭、捕獲して、彼らの肉等を入手することで、探査船団の船員の多くが生還することができた。


 そして、この探査船団の報告書が、帝、今上(史実の後奈良)天皇陛下の上覧に供された際。

 探査船団の船員が捕獲作戦を行った際に、それこそ傷ついた仲間を少しでも助けようと、ミカドダイカイギュウが挙って集まってきて、それによって、更に捕獲が出来たという記載を、帝は読まれた。

 ケダモノの行動とは思えぬ、本当に麗しい行動である、ミカドダイカイギュウ、と今後はこの動物を呼ぶようにという御言葉が、この記載に感動した帝から下されることになった。


 かくして、ミカドダイカイギュウの名が、史実のステラーカイギュウには付けられたのだが。

 思い切り、身が縮む思いがしたのが、牟田口将軍である。

 その時には思いも寄らなかったことで、生き延びるために必要だったとはいえ、帝が名付けた動物を捕獲して屠殺して食べてしまうということをやらかしてしまったのだ。

 暫くの間、自発的な謹慎を、牟田口将軍は半ば強いられる羽目になってしまった)


 話がズレすぎたので、元に戻すが。

 ともかく、それによって、北米大陸の存在が、日本国内で明らかになり、更に日本本土からの直航航路が開拓されつつあるという現実が、この頃の松平広忠と水野信元の会話の背景にあったのだ。

 この新天地に乗り出すことで、生きて行こう。

 更に言えば、皇軍の来訪により、いわゆる足軽等の大量失業が起こってもいた。

 失業している彼らを開拓民として伴おう、そうすれば農地の開拓が容易に進む、また、いわゆる原住民との対立が起きた際にも、軍事的な行動に訴えることができる、ということも、松平広忠と水野信元の会話の背景にはあった。


 とはいえ、松平広忠と水野信元、更にそれに賛同して、北米大陸への移民を行おうとした者達の行動は、そう簡単に行えるものでは無かった。

 それこそ、いわゆる移民船の発注、建造から行わねばならない話であり、更に現地を開拓する際に必要な物資を調達する必要もあるのだ。

 松平広忠と水野信元を中心とする面々は費用等を工面することから、頭を痛めることになったのだ。

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