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第13章ー38

 ポロンナルワが、新たな仏教等の聖地として選ばれたのは、幾つかの理由があった。

 ポロンナルワは、11世紀から13世紀にかけて、コーッテ王国やキャンディ王国での主な住民となるシンハラ民族が立てた王朝、ポロンナルワ王国の首都だった。

 そして、、ここがポロンナルワ王国の首都だった頃は、セイロン島はほぼ統一されていた。

 だが、南インドの諸勢力、主にタミル人の度重なる侵攻により、ポロンナルワ王国は滅び、ポロンナルワは首都の地位を喪失、半ば忘れ去られた都となった。


 そして、この16世紀半ば当時は、ポロンナルワは廃墟と化しており、住民はほぼいないと言っても過言では無い有様で、伝説の都といってもよい状態となっていたのだ。

 もっとも、だからこそコーッテ王国やキャンディ王国、更に日本は、このポロンナルワに目を付け、復興させることを決意した。

 何故かと言うと。


 まず、住民がほぼいない、ということは、新たな開発を行い、仏教寺院等を建設する際に、既存の住民とのいわゆるトラブル等を懸念する必要が極めて低い、ということになる。

 誰もいない無人の土地を、開発等する際に、誰が文句を言うだろうか?

 こういった開発等を行う際に、最大の問題になるのが、既存の住民との間の関係である。

 既存の住民がほぼいない以上、ポロンナルワの再開発が順調に進むのは、半ば約束されていた。


 また、既存の住民が何故にいないのか、というと、この都市を維持するのに、当時は大規模なかんがい設備が建設され、維持されていたのだが、住民が減少したことから、かんがい設備の維持ができず、住民が住むのが困難になった、という事情もあった。

 だが、それは裏返せば、かんがい設備を再整備すれば、住民が住むことができ、また、この都市がほぼ自給自足することができ、自治を行うことができるということでもあった。


 ポロンナルワは、この当時、キャンディ王国の領土内にあった。

 ポロンナルワが、キャンディ王国の都市ということになっては、それこそコーッテ王国やジャフナ王国内で、何故にキャンディ王国の都市建設のために資金等を提供することになるのだ、という声が挙がるのは、半ば当然の話になる。

 だが、セイロン島の宗教上の聖地として、いわゆる中立地帯として、自治都市国家扱いにするということになれば、そういった反対派の声が弱まるということまで考えられた。


 そして、日本も参画する以上、仏教が多数派にはなるが、上座部仏教のみならず、大乗仏教の寺院も建設されることになる。

 単純に上座部仏教とヒンドゥー教の寺院、神殿があるだけでは、二者対立になってしまうが、大乗仏教の寺院もある以上、三つの宗派があることになり、対立が和らぐことまで考えられた。


(ちなみに、この時、多くの日本の軍人達が、勧請しようと考えたのは、信濃の善光寺だった。

 これは真田信綱少佐が、そもそもは信濃出身ということもあった。

 他にも武田晴信大尉が甲斐出身、上杉景虎少尉が越後出身といった信濃の隣国出身の地元の有力者であったし、関東出身の面々の多くにしてみれば、善光寺は源頼朝が参詣し、再建させた名刹として著名だった。

 更に言えば、古来からある名刹として、表向きは無宗派であることも、日本がセイロン島に建設する最初の寺院として、相応しいと考えられた。

 下手に一つの宗派の寺院を勧請しては、それ以外の宗派との間で紛争になりかねないからだ)


 実際に、ポロンナルワが、宗教上の自治都市、聖地として復興するのは、少し先の話になるが。

 このような様々な想いが発端となって、ポロンナルワを復興しようという話が、それぞれの国の間から出て、四国は協議を重ねていくことになるのだ。

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