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第13章ー23

 結果論から言えばだが、ゴールの防備は、ポルトガル軍によって進んでいたとは言い難い状況だった。

 それこそ、セイロン島の南側の見張り場から、砲台へと強化されつつある段階であり、要塞とは言い難い状況だったのだ。


 これは、それこそポルトガルにしてみれば、日本の戦力の詳細が不明な状況であり、セイロン島の防備を固めると言っても、どのように強化するか、という方針が、最初は内部では全く固まっていなかったから、というのがあった。

 いや、むしろ迷走していた、というのが本当のところだった。


 ポルトガルの観点からすれば、数年前から日本との交戦により、相次いで軍艦、輸送船(商船)といった船舶を何隻も喪失していたことは頭が痛い問題だった。

 相次いで、船舶を失い、更に、その際にそれを動かすための人員を失ったことで、インド洋でのポルトガルの勢力は縮小する一方になっていた。

 また、商船を失ったことで、貿易による利潤も減ることになっていた。

 従って、ポルトガル政府、海軍としては、船舶の増強を優先的に考えていた。

 そのため、陸軍の増強は後回しになっていた。

 

 だが、これは陸軍の観点からすれば、頭が痛いどころでは済まなかった。

 何しろ、セイロン島内部での争いに、ポルトガルは巻き込まれているのだ。

 そして、コーッテ王国とポルトガルは、接触当初は争っていたので、対抗するキャンディ王国との連携、同盟を結んでいたのだが、コーッテ王国の分裂があったことから、コーッテ王国と同盟を締結した。

 しかし、このことはキャンディ王国側に、ポルトガルに裏切られたという憤りを遺すことになっていた。

 更に、キャンディ王国の憤りを利用して、日本がキャンディ王国との同盟を図ろうとしている、という風聞が、セイロン島にいるポルトガル陸軍関係者の耳に入ってきたのである。


 日本とキャンディ王国との同盟が結ばれ、日本がキャンディ王国と連携して攻めて来たら。

 セイロン島にいるポルトガルの陸軍関係者は、この情報を得たことから、セイロン島南部の見張り台と言ってよかったゴールを、コロンボの前衛拠点として、急きょ整備することにした。

 だが、ゴールを要塞化しようと、ポルトガル陸軍関係者は逸ったが、そのためのお金は船舶(及び、その人員)整備に既に回っているのが現状で、守備隊の増強にさえ、頭を痛めることになった。


 ポルトガル陸軍関係者の構想としては、ゴールで日本陸軍を足止めしている間に、インド本土等に救援を求め、それによって駆けつけた援軍とコロンボで合流、日本陸軍と決戦を挑むというものだった。

 ゴールは、あくまでも前衛であり、いわば警報機の役目を果たせれば十分、だが、守備隊の心理もあるので、それなりの要塞化を図らねばなるまい、という予算、人員面から、そのように構想された。


 そのため、この時、ゴールの守備隊は、海上防備用の大砲2門に守備隊300名程とされ、石造りの防御設備を築くということで、要塞建築を進めていたのだが。

 日本軍が、7月末にゴールに襲い掛かった際、仕上がっていたといえるのは、大砲の設置だけであり、それ以外は手つかずと言ってよかった。

 そのために、守備隊は、急造の野戦陣地を慌てて作ろうとする始末になった。

 ポルトガルにしてみれば、それくらい日本軍の急襲は、意外な話だったのだ。


 この状況を看過するような日本軍ではない。

 海軍の援護の艦砲射撃により、砲台があっという間に沈黙。

 ゴールの守備隊は、上陸してきた数倍の日本軍の大軍の前に速やかに投降した。


 セイロン島攻略において、日本軍は見事な初陣をまずは飾ることに成功した。

 更に、このことはコロンボ攻略への勢いを日本軍につけることになった。

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