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第88章―15

 そして、池田茶々、テレシコワ、ライドの3人はトラック基地でお互いに面識を得て、チームを組むことになったのだが。

 3人がトラック基地に来たのは、1619年のことであり、それなり以上に宇宙飛行士が宇宙に既に赴いていた。

 そのために3人は、様々な体験談を先輩の宇宙飛行士から聞くことになった。


「宇宙遊泳とか、怖く無かったですか」

「怖くない、といえば、嘘になるけど、実際に宇宙に赴いてみると、本当に言葉に出来ない程の感動を覚えることになるよ」

 初めて宇宙遊泳を実際に行ったルメールから、3人はそう教えられて、目を輝かせることになった。


「本当に古代において、多くの地域で太陽が神として崇められたのが分かるし、地球が何もかも美しく想えて仕方なかった。宇宙遊泳の際に、太陽を見て、更に地球を見た殆どの宇宙飛行士がそう言っている。自分もその一人だ。君達も宇宙に赴いて、宇宙遊泳の際に、太陽を見て、更に地球を見るべきだ。そう言えば、自分が地球を眺めて想ったのが、戦争を始めとする人間の争いが本当にバカバカしいということだ。実際には不可能に近いことだけど、もしも、地球上の人類の殆どが宇宙に赴けて、宇宙から地球や太陽を実際に見たら、この地球上から多くの争いごとが無くなる気がする。だって、こんな美しい地球上で争うことは、本当にバカげているとしか、想えないから。宇宙遊泳をした殆どの宇宙飛行士も、自分と同じ意見だよ」

 ルメールは、そこまで3人に対して最後には力説した。


 実際、それはルメールだけの想い、考えでは無かった。

 

 池田茶々にしてみれば、親戚になる黒田栄子もルメールの意見を肯定した。

(池田茶々の母の督子が徳川家康の娘である一方、黒田栄子の実母の保科亀子は徳川家康の異父妹という関係になる)


「ルメールの言う通りね。私は細かいことを言えば、2回、宇宙から地球を眺めたけど、宇宙船の中から地球を眺めるのと、宇宙遊泳の際に地球を眺めるのでは、やはり全く違う感覚というより、感動を覚えることになった。貴方達も、宇宙遊泳を体験するとよく分かるわ」

 黒田栄子も、3人にそう言ったが、その後に付け加えた。


「でもね。余りにも感動し過ぎるのも危険よ。実際、具体名は上げないけど、宇宙遊泳後、暫くおかしくなった人もいるのだから。貴方達も噂としては聞いているでしょう」

「ええ」

 親戚としてのそれとない忠告に、特に池田茶々は肯くしかない。


 実際に池田茶々の耳にも、宇宙遊泳は余りにも精神的に危険だ、おかしくなった人がいる、という噂が日本にいる頃から届いている。

 更にテレシコワやライドの耳にも、同様の噂が本国にいる頃から届いていた。


 今でも十二分に危険極まりない宇宙に赴こうというのだから、それこそ肉体的、精神的に鍛え上げられていると自他共に認められる人材が、宇宙飛行士には揃っている筈なのだ。

 そんな宇宙飛行士が、宇宙遊泳後におかしくなった、という噂が流れる。

 宇宙遊泳における様々な危険が、如何に高いか、分かるというものだ。


 そして、1620年になって、3人は実際に宇宙に赴いて、交替で宇宙遊泳を行う機会を得られた。

 更に3人共に、宇宙遊泳の素晴らしさと危険性に直に触れることになった。


「黒田さんやルメールさんが言った通りね。本当に宇宙遊泳が余りにも危険というのが分かったわ」

 池田茶々は、他の二人に言い、他の二人もまずは無言で肯いた。


「本当に色々な意味で危険ね。それこそデブリ(ゴミ)等による身体的危険もあるし、精神的危険も」

 テレシコワが次に口を開いて言い、ライドが更に言った。

「余りにも地球と違い過ぎて、本当に怖くなった」

 3人共にその言葉に肯くしか無かった。

 本当に現実世界でも、宇宙遊泳は宇宙飛行士の精神に大きな衝撃を与えるようです。


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― 新着の感想 ―
宇宙遊泳怖い。北原は絶対に無理。 本当に宇宙パイロット偉いと思います。
 科学技術の精華•最先端の宇宙飛行士ですら重力の軛を脱し何もかもが地球上とは違う未知の宇宙体験は内面への異様な変調を与えるのはアメリカのアストロノーツの幾ばくかの人で引退後に宗教への帰依や伝道師になっ…
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