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第86章―5

 その一方、エヴェレスト山頂にローマ帝国の登山隊が初登頂を果たすような大イベントが行われ、それにモンゴルが協力したことは、それなりにローマ帝国とモンゴルとの友好関係を深めることにもなった。

 

 度々描いているが、ローマ帝国とモンゴルは、ロシアとタタール(モンゴル)の関係以来といってよく、様々な怨みがローマ帝国(というよりロシア)側には積もり積もっている、と言っても過言ではない。

 更にはローマ帝国復興戦争において、日本の(口先)介入の有力な背景には、モンゴルの末裔と言えるムガール帝国の陰があったことまで考えれば。


 ローマ帝国とモンゴルが、心からの友好関係を深めるというのは、困難というよりも不可能に近い話としか、言いようが無かったのだ。

 とはいえ、国と国との間の関係、言わば大人同士の関係でもある。

 だから、それこそ内心ではともかく、表面上は友好関係を深めることについて、ローマ帝国とモンゴルはそれなりに妥協して手を組むことが出来たのだ。


 更に言えば、ユーラシア大陸横断鉄道建設という大プロジェクトがあり、それこそユーラシア大陸の諸国家が総力を挙げて協力しよう、という状況が起きていて、当然のことながら、ローマ帝国とモンゴルもそれに協力しているという現実がある。

 そして、日本を始めとする周辺諸国も、ローマ帝国とモンゴルが友好関係を深めるように、少なくとも表向きは積極的に働きかけているという現実がある。

 だから、ローマ帝国とモンゴルは、双方の政府上層部の内心はともかく、表面上は笑顔で握手をするような事態が引き起こされたのだ。


 更にこの関係は、徐々に実利ももたらすことになった。

 ユーラシア大陸横断鉄道建設、更に実際にユーラシア大陸横断鉄道の運行が、当初は完成区間に限られていて、物理的に様々に切断された状況で行われていたのが、各国の協力によって、1621年現在になれば、完全に鉄路がつながった、とは言い難いが、それなりに鉄道連絡船を使う方法等で、ポルトガルのリスボンから日本の京都まで鉄路がつながった、と言える状況を生み出すことになった。


(最も、現時点での内実を見れば、一部の区間では非電化単線で結ばれていて、それこそ許容される最高速度にしても時速80キロに過ぎない区間が散見される状況であり、日本の「新幹線」技術と比較すれば、余りにも貧弱ではないか、と揶揄されるユーラシア大陸横断鉄道なのは、どうにもならなかった)


 そうしたローマ帝国とモンゴルの関係改善が行われる一方、ローマ帝国も現実を見据えて、他の国々との外交の基本方針を善隣外交に転じざるを得なかった。

 ローマ帝国と国境を接している国を東から述べるならば、北米共和国、日本、後金、モンゴル、サファヴィー朝ペルシャ、オスマン帝国、エチオピア、アルジェ、フランス、ドイツ、ポーランド=リトアニア、スウェーデンという多くの国と接している。

(尚、ローマ帝国のアフリカ大陸の南の国境だが、サハラ砂漠等の存在もあり、国と言えるのはエチオピア位しかなかった)


 これだけ多くの国と国境を接していて、更に国の重心が西側に傾いている以上、ローマ帝国にしても、最早、領土拡大を事実上は諦めざるを得ない状況に陥っている、といって良かった。

 

 そして、余りにも広大になった領土の整備にしても、色々な意味で大変な状況になっていた。

 幾らローマ帝国が、世界の大国の一つと言っても、国力には限界がある。

(次話で述べることになるが)大規模な公共工事を行って広大な領土の整備を進めて、将来の国力増大を図ってはいるが。

 エウドキヤ女帝としては、自分の存命中には、これ以上の領土拡大が困難だろうと考えていた。

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― 新着の感想 ―
>とはいえ、国と国との間の関係、言わば大人同士の関係でもある。 「君子の交わりは淡きこと水の如し」(荘子)・・・・誤用かも?
 焼き払われ従わされていた東欧の人々にとってモンゴルの軛への忌避感は史実のロシアや今作のローマの東征の原動力になるほど根深い怨恨だった事を思うと表面的でも理性的に握手を交わせてるのは悪くない流れですよ…
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