第74章―23
そんな風に「保守合同」は、結果的に与野党双方に裏では様々な影響を与えることになったが、表面上は大きく報道されることも無く、事実上は政界における闇の動きとして収束することになった。
そして、時が流れた1610年晩秋、具体的には11月に入った頃、
「北米共和国大統領選挙ですが、新大統領として徳川秀忠が正式に再任されました」
鷹司(上里)美子は、何の気に無しに見ていたテレビドラマの速報テロップに目を止めていた。
美子は改めて考えた。
これで、日本の皇太子殿下、政宮殿下の婚約の正式発表に障害は無くなった。
日本の衆議院議員選挙と北米共和国の大統領選挙があったために、選挙に思わぬ影響が出ぬように、皇太子殿下の婚約の正式発表が遅れていたのだが、北米共和国の大統領選挙が終わった今が、皇太子殿下の婚約発表をするのに最良の時機だろう。
美子はそう考えて、皇后陛下や五摂家の当主に自らの考えを改めて密やかに伝えることになった。
更に言えば、美子の提言を受け取った皇后陛下や五摂家の当主も同様に考えた。
そして、皇后陛下や五摂家は、そういった考えを北米共和国政府やローマ帝国政府にも伝えて、それに両国の政府も賛成した。
(本来ならば、当事者である皇太子殿下や今上陛下にも、内々に美子は伝えるべきだが。
それこそ皇太子殿下は、美子への恋を諦めきれておらず、又、今上陛下は皇太子殿下の婚約問題について、完全にへそを曲げて、サボタージュをしている現状があっては、美子は皇太子殿下や今上陛下に自分の考えを伝える訳には行かなかったのだ)
そうしたことから、今上陛下や皇太子殿下の意向を完全無視して、内大臣府は、
「此度、北米共和国とローマ帝国から共同で、新しく北米共和国大統領になられた徳川秀忠殿の次女、千江殿を、ローマ帝国の皇帝エウドキヤの養女としたうえで、日本の皇太子殿下の妃殿下としてお勧めしたいとの申し入れがあり、日本の宮中も、願っても無いこと、とこの申し入れを受け入れて、正式にお二人は婚約されることになり、来春には正式に御成婚される運びになりました。
これは世界の三大国が、将来の親善を更に深める、本当に善きことと考えられます」
と公式発表を11月末に行うことになった。
更に内大臣府の発表を、北米共和国やローマ帝国も肯定する発表を相次いで行うことになった。
そして、このことは、日本や北米共和国、ローマ帝国と外交関係を結んでいる世界中の国々の政府から、相次いで歓迎の声明が出される事態へと波及していった。
世界の三大国と外交関係を結んでいる国、政府にしてみれば、世界の三大国において、反応兵器を始めとする様々に強力な兵器が開発、装備されるようになっており、更には宇宙ロケット技術を転用することで世界の裏側までも攻撃できるようになっているというのは、悪夢の世界に現実が成っていると言っても過言では無いことだった。
だから、この日本の皇太子殿下の婚約、御成婚については、多くの世界の国々から祝福の言葉が届くことになったのだが。
今上陛下は、更にへそを曲げることになった。
「譲位だ。皇太子が結婚したら、朕はすぐに譲位する」
と周囲に喚くようになり、皇后陛下を始めとする周囲が困惑する事態を引き起こした。
又、皇太子殿下にしても。
「徳川千江が悪い女人でないとは想うのだが」
それ以上は口に出さずに、内心で想わざるを得なかった。
どう考えても、徳川千江よりも鷹司(上里)美子の方が遥かに魅力的だ。
それに文才や楽才等も年齢もあるだろうが、徳川千江より鷹司(上里)美子の方が遥かに上であろう。
それを想うと自分としては、鷹司(上里)美子こそ皇后として迎えたいものだ。
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