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第74章―8

 こんな感じで、1610年の衆議院選挙で、伊達政宗自身は陸前県でトップ当選を無事に果たせたのだが、労農党全体ではどうだったかというと。


「労農党及び友党を合わせても、衆議院の過半数奪還には失敗か」

「中国保守党を寝返らせることが出来れば、過半数を取れますが」

「吉川広家が中国保守党の党首である限りはムリだろうな。彼奴とは色々あるから」

 そんな感じで、政宗は労農党の幹事長を新たに務めることになった宇喜多秀家と、この衆議院選挙敗北の総括をする羽目になっていた。


 尚、秀家を労農党の幹事長に据えたのは、政宗の抜擢人事と言って良かった。

 秀家は大学を卒業せずに国家公務員に成った政宗と異なり、大学卒業後に国家公務員になることにして、大学で経済等の勉強をして卒業後に商工省に試験を受けて入ったのだ。

 そして、政宗と似た経歴を積むことになった。


 具体的には、秀家は全商工労働組合備前支部に入り、青年部で活動した後で、備前県国公青年部長に就任して、備前県労連青年部長を更に務めて、備前県労連副議長兼備前県国公議長にまで昇りつめたのだ。

 その後、その経歴をバックにして、秀家は衆議院議員選挙に出馬した次第だった。


 とはいえ、大卒からの就職というのは、結果的に4年のハンディを秀家に与えることになり、1602年に衆議院議員初当選ということになった。

 だから、衆議院議員5期目に突入して、完全にベテラン議員の域に入った政宗に比べると、秀家は未だに3期目に入ったばかりで、若手議員というしかない。


 そんな若手にも関わらず、周囲の労農党所属の衆議院議員が、労農党の第二位になる幹事長に秀家が就任することに反対する様々な意見を、政宗が最終的に黙らせることが出来たのは、全労連出身という背景が秀家にあるのが大きかった。


(これまでに何度か述べてきたが)労農党の最大の支持基盤が、全労連である。

 そして、全労連で活動した後で、衆議院議員選挙に出馬して当選した面々が、労農党の主流派を形成していると言っても過言では無い。

 

 勿論、労農党所属の衆議院議員全てが、全労連出身者という訳では無く、労農党の候補者公募に応じて、候補者試験に合格した上で、衆議院議員選挙に出馬当選した者もそれなりにはいるのだが、労農党内で最も羽振りをきかせるのが、全労連で活動した後で、衆議院議員に当選した面々だった。


(現実世界で言えば、連合で活動した後で、連合の推薦を受けて、立憲民主党の衆議院議員になった者が、連合のバックによって、立憲民主党内でも幅を利かせるようなものです)


 だから、政宗は労農党所属の衆議院議員に対して、全労連出身者の秀家を党幹事長に据えたい、という意向を最終的に押し通すことが出来たのだ。


 それはさておき。

「私が票読みをする限り、尼子首相が引き続き首相に就任するのを阻止するのは困難ですね」

「保守党及び友党の議員数から言っても、当然だな。衆議院議員は500人だが、中国保守党を抜いても保守党系は230は固い。我々、労農党系は頑張っても210といったところ。そして、中国保守党系は30余りだ。無所属や一人一党と言える諸派の風見鶏の衆議院議員は20人程いるが、それらを全て、労農党に味方させて、中国保守党まで味方にならないと勝算が立たない」

 秀家の分析に、歯ぎしりするような考えをしつつ、政宗は同意するしか無かった。


「では、今回は尼子首相就任阻止を諦めますか」

「諦めざるを得ないが、それなりの釘を刺し、中国保守党が、こちらの味方に将来は戻るように工作をしておくべきだろうな」

 秀家の更なる問いに、政宗は考え込みつつ言った。

 政宗は中国保守党を混乱させようと考えていたのだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 史実世界の織豊政権中枢の人士(但し織田信長さんと池田恒興さんを除く)+徳川(松平)党一派が軒並み海外雄飛したお陰で、日本本国政界には織豊政権関係者、徳川幕府関係者は寂寥、と思っていたのです…
[良い点]  とんとん拍子に総理の椅子取りを狙えるほど甘く無いのが山家先生クオリティ(^皿^;)前話での伊達政宗さんトップ当選に「勝ったな」とニヤついていた読者にはなんとも苦いオチだがそれが良い♪ […
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