第71章―6
しかも、先述のマッハ23の速度では地球の重力を完全に振り切って、地球の重力圏の外に出ることはできない。
つまり、月といった他の天体に赴くことはできないのだ。
地球の重力圏外に完全に出るために必要な速度となると、秒速11.2キロ、時速にすれば約4万キロに達し、マッハ換算すれば約33の速度が必要になってくる。
それこそ1時間で地球が1周できるだけの超高速を出すことが、地球から脱出して月といった天体に赴くのには必要ということになるのだ。
(更に余談をすれば、これだけの速度では太陽の引力を振り切ることはできず、太陽系外の天体に赴くという事になると、更なる高速が要求されて秒速16.7キロ、時速にすれば約6万キロ、マッハ換算すれば約49が必要ということになる)
地球の重力圏を振り切って宇宙に赴く、言うのは簡単だが、それを現実にするとどうやって赴けばよいのか。
(それこそ21世紀の現実でも実用化されている技術で、という枕詞が付いた上でのことになるが)人類が宇宙に赴く、というかそれだけの速度を出せる技術となると、ロケット技術しかないといっても過言では無い話ということになる。
だが、そのロケット技術にしても、それこそ色々な点で苦心さんたんすることになった。
ロケットの形状から燃料から、様々な問題が山積しており、日系三国を中心とする世界中の科学技術者が結果的に集うことで、宇宙への歩みを少しずつ進めていくことになった。
そう、これは結果的にそうなった、と言っても過言では無かった。
(この世界で)宇宙ロケットの開発構想を最初にぶち上げたのは、北米共和国だった。
とはいえ、その本音には現代流に言えば大陸間弾道弾開発が裏に秘められていた。
何しろカリブ諸島は日本の植民地であり、カリブ諸島を前進基地とする北米共和国への戦略爆撃は、北米共和国にとって安全保障上の重大な脅威と言えたからだ。
(日本と北米共和国は、表向きは完全な友好国だが、裏ではお互いを最大の仮想敵国として軍備等を調えている関係でもある)
それに対抗して、日本本土に対する戦略攻撃が可能な手段として大陸間弾道弾の開発が構想され、更にそれを隠すために、宇宙ロケット開発構想が北米共和国でぶち上げられたのだ。
だが、この動きにきな臭さを感じた織田信長元首相夫妻が日本政府に提言したことを発端として、ローマ帝国政府まで巻き込んで、当時の徳川家康大統領の嫡男の秀忠とローマ帝国のエウドキヤ女帝の義妹になる浅井小督(言うまでもないことだが、実母が織田お市である以上、織田信長元首相の姪にもなる)の婚礼の善意の贈り物が、日本政府とローマ帝国政府から北米共和国政府に押し付けられた結果。
宇宙ロケット開発は、日系三国が共同で行うということになったのだ。
更にこの動きを聞いた多くの国々が、様々な思惑(どちらかというと、宇宙に赴くという夢に共感した国もあり、日系三国に協力することで利益を自国にもたらそうとした国もあり、ロケットという軍事に転用可能な技術に魅力を感じた国もあり)から、この日系三国共同での宇宙ロケット開発に協力を行おうとすることになったのだ。
だが。発端が発端である。
当然のことながら、北米共和国はできる限りは宇宙ロケット開発について自国で何とかしようとしたし、日本とローマ帝国にしても同床異夢もよいところで、それこそ戦略兵器として使用可能な大陸間弾道弾に転用できる宇宙ロケット開発となると、自国で何とかしようと努める事態が発生した。
だが、そうは言っても(史実の20世紀より世界各国の国力が劣る)現実を前にして、世界共同で宇宙ロケット開発を行うしかないと判断されたのだ。
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