海辺のカフェに入ったら死神の鎌をすすめられた話
ツッコミ「たまにはカフェでくつろいでみるか」(カフェに入る動作)
ボケ「いらっしゃいませ。シーサイドカフェへようこそ」
ツッコミ「あ、すいません。注文いいですか」
ボケ「駄目です」
ツッコミ「何で駄目なんだよ」
ボケ「申し訳ありません、心の準備が……」
ツッコミ「そう……? じゃあ待つけど」
ボケ「コォオオオオオオオ! ホイ!」
沈黙
ボケ「お待たせしました。ご注文をどうぞ」
ツッコミ「今の声と動きは何だったの? まあいいや、じゃあホットコーヒーで」
ボケ「ないです」
ツッコミ「何でないんだよ! ここカフェじゃないの?」
ボケ「シーサイドカフェですので、アイスコーヒーしかありません」
ツッコミ「いやその理屈は全く意味わからないけど、無いんならアイスコーヒーにするよ」
ボケ「サイズはいかがなさいますか?」
ツッコミ「Sで」
ボケ「ありません」
ツッコミ「だから何で無いんだよ! さっきから無い物ばっかじゃねえか!」
ボケ「神はお仰っておられます。今ある物で満足しなさいと」
ツッコミ「お前誰なんだよ!」
ボケ「ところでLサイズならございますが」
ツッコミ「じゃあもういいよ、Lサイズで」
ボケ「ありがとうございます。お会計3万9800円になります」
ツッコミ「高い高い高い!」
ボケ「はいたかいたかーい」(ツッコミを持ち上げながら)
ツッコミ「『たかいたかい』やめろや!! 俺は赤ちゃんか!」(振りほどきながら)
ボケ「じゃあ何なんでちゅか?」
ツッコミ「赤ちゃん言葉やめろ! 『たかいたかい』して欲しいんじゃなくて、値段が高いって言ってんだよ」
ボケ「いいえ、適正価格ですよ。Lサイズは30㍑ですからね」
ツッコミ「そんなに飲んだらカフェイン中毒になるわ! じゃあMサイズは無いの?」
ボケ「MサイズはありませんがDサイズならあります」
ツッコミ「D? Dって何の頭文字のD?」
ボケ「デスサイズのDです」
ツッコミ「いらないよ! デスサイズって死神の鎌じゃねえか!」
ボケ「こちら100万円になります」
ツッコミ「だから高い高い」
ボケ「はいたかいたかーい」(再びツッコミを持ち上げる)
ツッコミ「やめろぉ!」(ふりほどく)
ボケ「ここで装備していきまちゅか?」
ツッコミ「だからその口調やめろや! 俺は赤ちゃんでも冒険者でもない!」
ボケ「え。じゃあ何しに来たんですか? 冷やかし?」
ツッコミ「コーヒー飲みに来たんだよ!!」
ボケ「あはっ。それならそうと最初から言ってくださいよー」
ツッコミ「最初っから言っとるわ! 再三にわたって!」
ボケ「ではこちらのコーヒーセットなんていかがですか?」
ツッコミ「何がついてくるんですか?」
ボケ「イカの刺身です」
ツッコミ「いやアンバランスすぎるだろ! 流石にコーヒー飲みながらイカの刺身は食べたくないんだが」
ボケ「ではタコに変更することも可能ですが」
ツッコミ「全く選択肢広がってねーよ。まあいいや。じゃあタコに変えてくれる?」
ボケ「かしこまりました。ではイカ、タコセットがおひとつで」
ツッコミ「そっち(コーヒー)変えるの!? それもうただの海鮮定食じゃねえか!」
ボケ「シーサイドカフェですので」
ツッコミ「うるせえ!」
ボケ「ではお会計3万9800円になります」
ツッコミ「だから高いって……」
ボケ「」(ツッコミを掴もうとする)
ツッコミ「」(それをかわす)
――この牽制し合いが暫く続く。
ツッコミ「……はい、料金」(息を切らしながら)
ボケ「ちっ、ありがとうございました」
ツッコミ「何で露骨に残念そうなんだよ」
ボケ「言い忘れていましたが、こちらのセットはセルフサービスとなっております」
ツッコミ「セルフ? イカもタコもどこに置いてるの?」
ボケ「海で取ってきてください」
ツッコミ「漁業からやらせんのかよ!」
ボケ「シーサイドカフェですので」
ツッコミ「やかましいわ、もういいよ」
お読みいただきありがとうございました。