2.少女との邂逅
「レオくん、次は右!」
「はい! 分かりましたっ!」
今日はレオくんと一緒に、魔物討伐のクエスト。
国を出て東へ少し進んだ先にある洞窟。そこでのゴーレム戦だ。
通常ゴーレムには物理攻撃に耐性を持ち、魔法攻撃に弱い。そのため、剣士に転向することになったレオくんと私では相性が悪いはずだった。
しかし、そこは『魔法剣士』であるレオくんだ。
彼の剣は易々とゴーレムの身体を切り裂き、破壊していった。
今も、私が指示を出した先にいたそれを一撃で屠る。これで計十体の討伐となるため、目標数は軽々と達成していた。
「凄いね、レオくん……!」
「いえ。これも、エレナさんの指示があってこそですよ」
一息ついて。
レオくんにそう声をかけると、彼は謙遜してそう言った。
「後ろから声出してるだけだよ――あ、ちょっと待って」
「ん、どうしました?」
そして、そんな会話をしていると私はあることに気付く。
少年の脛の辺りに、擦り傷があったのだ。しゃがみ込んで、患部に手をかざす。
「あ、いいですよ! そのくらい、舐めておけば治ります!!」
「いいから! ジッとしてて」
「…………うぅ」
するとレオくんは何故か顔を真っ赤にして慌てた。
だがしかし、私はそんな彼を叱るようにして言って、治癒魔法を施す。そうすることで、擦り傷はみるみるうちに消えていった。――よし。これで大丈夫。
私は内心で呟いて、立ち上がった。
「……その、エレナさん」
「ん? どうかしたの、レオくん」
頷いていると、レオくんが声をかけてくる。
どうしたのかと思い、首を傾げていると彼はポツリとこう言った。
「あの――ボクの家族に会ってくれませんか?」
それは、突然の申し出。
私はもう一つ、首を傾げるのであった……。
◆◇◆
「すみません。突然こんなことお願いして……」
「ううん。大丈夫だよ、仲間の家族にご挨拶するのは当然だからね!」
街中を歩きながら、私とレオくんはそんな話をしていた。
どうやら彼曰く。昨日の決闘の件について、お母様が私に御礼を言いたいとのことだった。しかし、それはこちらも同じだ。私はレオくんに、カイウスから守ってもらったのだから……。
「そう言えば、この剣は返さなくていいんですか?」
そう考えていると不意に少年がそう言った。
彼が指差したのは、リューク兄様から受け取った騎士団の剣。
先ほどの戦闘でも使用していたが、どうやらレオくんにとってはそのことが気がかりな様子であった。それを安心させるように、私は力強く首を縦に振る。
「良いって言ってたよ。それは、騎士団で個人に支給されているうちの一本だからって。要するに、リューク兄様は同じ剣を他にも持ってるんだよ」
「そ、そうなんですか……」
こちらの言葉に、ホッと、安堵の表情を浮かべるレオくん。
そんなことを気にするあたり、この少年の礼儀の良さというか、心配性な部分が出ているなと私は少し笑ってしまった。でも、さすがに失礼と思ったので彼には気付かれないように……。
「ところで、レオくんのお家はどの辺りなの?」
「あ、はい。えっと……国の西にあるんです」
「西かぁ。私、行ったことないな……」
と、そこでふと思いたって私はそう問いかけた。
そして返ってきた言葉を聞いて、少し考える。どうやらレオくんの住んでいるのは、私の家のある東とは真逆らしい。西の地域はそこまで治安が良くなく、昔から一人で近付くことを禁じられていたのだった。
だけど今なら、こんなに強い騎士様がいるから大丈夫か。
私はそう思うことにした。
「こっちですっ」
少年に導かれるままに、私は未知の世界に足を踏み入れていく。
すると間もなく、レオくんは一つの建物を指差してこう言うのであった。
「あそこです。ボクの家!」
それを見て、申し訳ないが私は少し固まってしまった。
木造のその建築物は、お世辞にも人が住まうとは思えないそれ。
柱は朽ちて、壁には蔦が蔓延っていた。夕日に照らされているからまだ見れるが、夜になったらその――廃墟と勘違いされても仕方ないのではないか。
それが、私の素直な感想だった。
「あはは。結構、個性的なお家だね……」
「別に、気を遣わなくてもいいですよ?」
「あ、そう……」
そんな会話をしつつ、おそるおそるではあるが私は中に入る。
すると外観に負けず劣らず寂れた内装であった。しかし、狭いその屋内で一つ気付く。奥にベッドがあり、そこには一人の――。
「あっ! お兄ちゃん、お帰りなさいっ!」
――黒髪の、美少女がいたことに。
花のような笑みを浮かべる彼女に、私は息を呑んだ。
これが、私とリリアちゃんの出会い。
私にとって、大切なお友達との出会いだった……。
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