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エッセイ

人は理想において、人と分かり合う必要はない

作者: 久賀 広一

しばらく前に、暇つぶしに友人が訪ねてきて昔のアニメを観たのですが、びっくりしたことがあります。


その旧友とはかなり話が合う方で、久しぶりに鑑賞することになった作品には、お互いに並々ならぬ思い出がありました。


しかし、長い続き物のため「そのエピソードはあまり記憶していない」ということだったので、僕の中では伝説の神回だったそのスペシャルな話を見始めた所、「すごいなあ」と言いながら、そいつはクライマックスでつまみをボリボリ食べていたのです。


まさに衝撃でした。

僕は、感動する作品などは息を止めるような集中力で見るし、とてもじゃありませんが面白いのが分かっていてポップコーンを片手に「ハハハッ」などという芸はできません。


しかし、お互いに尊敬する作品でこうも心の置き所が違うのかと、一つの悟りを得られた気がしました。


そうです。

人生も中頃なかごろになって本当に遅い気づきですが、自分が心の底から敬意を置いているものは、 別に他人と分かち合わなくていいのです。


これまで、何かのものすごい愛好家なのに、ほとんど人に語ろうとしない方を幾人か見てきました。

ずっと「何でそんな好きなのに、黙ってられるの?」と不思議だったし、僕は人に ”自分を分かってもらいたい” ”寂しい” などとほとんど思ったことがないぶん、自分が敬意を置く作品は勧めなくては気がすみませんでした。


何故かは分かりませんが、それが僕の使命ミッションみたいに感じてたんですね。


しかし、その友人の「ボリボリ」で、昔なら間違いなく腹を立ててたんですが、まるですべての疲れが取れたように、すっと楽になれたのです。


奇妙でした。

「ああ、自由な人たちって、こういう感じなのか」という思いで、”自分がやらなくてはならないこと”の中で、相当大きなものが必要なかったことを知ったのです。


よく、コアで血気盛んな若者が、趣味の槍でお互いを刺しまくってますが、おっさんになってふと感じたことは、「その最高の蜜の味は、あなたが独り占めできるものなんだよ」ということですね。


感性の鋭い人ほどよく喧嘩しますが、人の天才性は分かち合うことができません。


そして物知りでまんべんのない人を「偉いね」「賢いね」という風潮がありますが、常に時代が、多くの人が求めている『新しい風』は、そういった成熟からは生まれない気もします。


というわけで、僕が今回勝手に出した結論は、「好きなものが人と分かち合えなかった時、その孤独はあなたの才能の突出具合ですよ」という、ちょっとまとまりの悪いものでした。


それでは!





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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章から滲み出るやさしさみたいな何か。 [気になる点]  タイトルはミスリードかと。  釣りだとしても、ちと無粋な気がする。 [一言]  理想はね、大抵の場合、分かち合えると思うな。 …
[良い点]  先日、ダチと上野に画家の個展観に出掛けたんですが、その人はすべての絵を均一に眺めてさっさと歩いてっちゃうんですよ。用件終わらせてアキバに行きたいから。  自分はもっとじっくり眺めたかった…
[良い点] 私もそう思いますよ! 極論、人は分かり合えなくても尊重し合えれば良いのです!!
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