第45話 そうきたか
「終わったな……」
マザーを倒し、村へ戻り夜通し大騒ぎして、気がつけば眠りについていた。
俺に覆いかぶさるように眠っていたカフェルやマイア達をそっとどかして、俺は外に出てまだ明けていない夜空を見上げた。
美しく輝く満天の夜空、まるでその星々全てが俺を祝福してくれているような気がした。
目線を大地に向けると、いつの間にか光り輝く人影がそこに立っていた。
「お久しぶりです。やりましたよ」
【ああ、ありがとう。おかげで長いこと続いていただるさのようなものが取り払われて、すこぶる気分がいいよ。本当にありがとう】
「それは良かったです。俺も、なんだかんだ楽しんでいましたから……それに他の仲間のおかげでもあります」
【貴方には大変お世話になりました。報酬もしっかりとお渡ししないといけません。
明日の朝、間もなくですが、村の地下の格納庫に例のものを置いておきます。
それと、私の体内に流れる小さき命と貴方の持つ3種の強き力はとても相性が良いらしく……
パレス族によって奪われていた大量の力が大気を満たしたせいで変化したようです】
「……ちょっと疑問に思ったことがあるのでいいですか?」
【ええ、どうぞ?】
「その話し方どうしたんですか?」
【ああ、えーっとですね……百眼さんとお話して意気投合して一部統合したというか……】
「……え? 百眼と、統合?」
【いやー、百眼さんの叡智からは得るものが多く、親和性の高いマナを介してネットワークを構築させてもらったところ私自身も高いインテリジェンスを手に入れることができました。おかげでこの体も成長、いや、進化と言っていいほどの変化のために現在鋭意努力中でありまして……】
「も、もうなんか理解が追いつかないんだけど、よ、よかったですね」
【はい! 高度な知的生命体と接触して情報というものを得ることがこんなにも自己の欲求を満たすことになるとは驚きでした。長くいくる我々にとって自分とは何かという命題を考える日が来るなどとは思ってもいませんでした。考えることは生きていることなんだと今では強く感じています!】
「そ、そうですか、それはなにより……」
なんだか別人のように熱い人になっている……
【それと、今後は私の分体もハヤテたちと同行させてもらいます。あなた方は非常に興味深い、それにハヤテと私の相性は抜群、近くにいればお互い得られるものが多いです!
どうぞこれからは気軽にゲンブとお呼びください】
「断るという選択肢は……」
【ありません! それから宇宙船も鋭意建造中です!
それに乗ってみんなで星の大海に漕ぎ出そうじゃありませんか!】
「えええぇぇぇぇ……俺すっかりこの星で暮らす気満々だったんだけど……」
【駄目ですよハヤテ! パレス族はまだ宇宙にはびこって私の仲間に寄生して苦しめているんです!
探険の片手間にそういった物も駆除していきましょう!】
「片手間でいいんだ……いやいや、俺は良くても他のメンバーがなんていうか……」
【それは大丈夫、よし、善は急げといいますし皆さんにも挨拶に向かいましょう!!】
眼の前の光る人影が一層強い光を放ち目がくらむ、眩しさから目をそらし光が落ち着くと一人の女性が立っていた。
「ゲンブです。今後ともよろしくおねがいします。
皆様の戦闘データをもとに構築しており、チームとしてすぐにでもお役に立てることをお約束します!」
妙に明るい声で話す女性は、アスリート体型の少し中性的なかっこいいというか可愛いと言うかそんな顔立ちをしている。緑色のショートカットが特徴的で、そして、圧倒的なマナを有していることがビリビリと感じられた。
「よ、よろしく……です……」
俺が差し出した手を掴むとブンブンと元気よく振り回し、クルッと反転して建物へとあるき出す。
「さ、みんなに挨拶しましょう!」
バーンと大きな音を立てて扉を開けて家に入っていく、すぐに誰だお前たち! と警戒した声がする。
まぁ、そうだよね。
全然知らない人間が突然入ってきたら警戒もするよ……お前達?
俺がため息をつきながら部屋に入ると、なんと知らない人間が4人もいた……
「「「「マスターおはようございます」」」
「おお、3人共素敵な姿になったじゃないか!」
「ゲンブ様のおかげです」
「え……もしかして……この三人……」
「ちょっとハヤテ! なんなのよ、こ、このかわいい女の子達は!?
また奴隷!? 奴隷を増やしたの? しかも女の子、こんなにアタックしてもなびいてくれないのに!」
「ハヤテ様、またどこから……帝国からですか? ちゃんと相談をしてください!!」
「アニキ、どこまでも行くんすね……」
「……ハヤテ様……シーナでは役者不足ですか……?」
「ち、違うんだ! 落ち着いてくれ、その、この3人というか4人はみんなも知ってるんだぞ、その、白塊と黒塊、百眼にそれとこの星? だ」
「……」
そりゃみんなの頭がおかしい人を見るような白けた目になるのもわかるが……事実だから仕方がない……
「ハッカイ改めシロと名乗らせていただきますマスター」
銀髪を腰の辺りまで伸ばしている柔らかい目が特徴的な美人が口を開く。
ゲンブと違って非常に女性らしい体つきが、というか……
「すまない、多分できるだろうから言うけど、服を着てくれ……」
「おっと、失礼いたしました」
瞬時に4人が服を作り出す。間違いない、この4人はナノマシンの集合体なんだ。
「マスター! これからは今まで以上に役に立つぜ! コッカイ改めクロと呼んでくれ!」
黒髪後ろで結んだ鍛え上げられた肉体美を持つ女性、明るくキラキラした目が印象的だ。
「マスター、こうして肉体を持ってお使えできることに至上の喜びを感じます。
ああ、これが喜びという感情なんですね……」
自分の胸に手を埋めてうっとりとしている細目の金髪の美女、すごいな、手が全部埋まってるぞ、どんだけだろう。いやいや、邪な考えなど無いぞ。
「マスターが望むならそういう機能もありますよ?」
「ま、まて、通信を遮断しよう。こ、声によるコミニュケーションは大事だぞ」
「そうですね、マスターのお声を自分の耳で聞くことができる感動は素晴らしいです!」
危ない、心の声がダダ漏れでは困る。いろいろと……
「最後に私がゲンブ、君たちに救ってもらったこの星の分身ってところだ。
これからお世話になるからよろしくお願いします!」
結局、この大混乱を収めるまでに説明を続けていたら日が暮れていた。
以前の形態に戻れば理解してもらえることに気がつくのに、それぐらいの時間を有したのだった。




