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第41話 試合

 俺が帰ることを告げてから、4人との距離感が微妙になった。

 俺も、少し浮かれて浅慮なことをしてしまった。

 普通に考えれば突然すぎる話だし、理解するのにも時間がかかることを百眼を得てあまりにもことがスムーズに進んでしまったために、大した考えもなくポロッと話してしまった。

 これだけ大事なことを相談もなく決めていたことは、逆の立場になって考えてみれば……


「そもそも、俺は帰ってどうするんだ……借金だらけで……

 宇宙船くれるって言っていたけどどんなものかわからないし、この星は居心地いいしなぁ……

 それに、今更だけど、この星の文化をめちゃくちゃにしちゃってるよなぁ……」


 かなり発達した文明は存在していたけど、明らかにオーバーテクノロジーに散々触れさせてしまっている。もちろん魔法を利用した独自文化だからそこまで普及するとは思わないけど……


「プラントがなければ現状の生産体制は取れないし、俺が宇宙そらへ帰るときには全部持ち帰るからな……帰って、借金まみれで3神を使ったせいで5年は監視下に置かれて生きていくより……この星で生きていくほうが……」


 そもそも星からの頼み事を終えたらまた話す機会もあるし、そこで宇宙船とやらをみてからでも遅くないかも……

 骨董品の宇宙船掴まされても困るし……


「皆とも一度ちゃんと話さないとな」


 俺は席を立って引きこもっていた部屋から出る。

 最近その微妙な空気を嫌って部屋で村での生産状態の報告を受けるだけの生活をしていた。

 メイオン様、シーラーは王国へ戻るための手続きを前倒しで急いでくれている。

 マイアとカフェルは二人で行動することが多くなっている。

 シーナは身の回りの世話はしてくれるが、稽古をつけようとすると明確に避けられる……

 それもこれも俺がきちんとした説明をしていないからだ。

 俺が何者で、これからどうしようとしているのかをしっかりと話さないと……


 店舗に出ても誰もいなかった。

 店員に聞くと最近はギルド併設の運動場に通っているらしい。

 整った帝国の街を歩いてギルドへ向かう。

 帝国にも結構いるせいで、なんとなくこの街にも愛着が湧いている。

 

「思えば、運命と言うのも生易しい奇跡でこの星にたどり着いたんだから、それを大事にするって手もあるよな……あれ? よく考えなくても、この星にいれば俺大金持ちどころか、小さな村とはいえ王国では影響力のある立場にいられるし……、そもそも俺、なんのために仕事してたんだっけ?

 なんか、目的と現状がごっちゃになってよくわからなくなってきたぞ……」


 頭を抱えながらギルド付属の設備に顔を出す。

 冒険者はもちろん一般人でも体を動かせる大きな公園的な場所、その一角には闘技場的な場所があり、本格的な鍛錬はその内部で行われていることが多い、俺の予想通りそこには見知った顔が揃っていた。


「は、ハヤテ!?」「あ、アニキ? なんでここに?」「ハヤテ様……」


「よう、精が出るな」


「アニキこそ珍しいなココに来るなんて……」


「いや、店の人に聞いたらココにいるって言われてな……その、ちゃんと話さないといけないと思って……」


「……ハヤテ、私と戦って」


「へ? なんで急に?」


「いいから」


 俺をまっすぐと見つめるマイアの瞳は真剣そのもの、これを断ることは非礼に当たる。


「次は俺です」「最後は私と」


 全員が俺に真剣な眼差しを向けてくる。

 いろいろくどくど語るよりも、このほうが俺らしいな。


「ああ、わかった。全員お相手願う」


 訓練用の木刀を手にする。白塊黒塊の力はもちろん借りない。

 俺自身の力で相手を努める。


「本気でやってね」


「それは、本来の本気でいいんだな?」


「ええ、ハヤテの全力で」


「わかった」


 すでに3人共に普通の立会では互角か押され気味になっている。

 獣人としての身体能力は驚異的で、そこに魔術的なバフがかかると非常に厄介だ。

 1対1の模擬戦の場合当然他社からの補助は受けないが、自分自身でかけるバフは、戦闘中に効率的にかける練習にもなるのでOKになっている。

 全力で来てほしいと言われたら、俺も全力を出させてもらう。

 普段の構えよりも小さく、体を低く斜に構え、左手は軽く前にかざし、剣を握る右手は腰の後ろに構え、相手からは見えない位置に置く。

 相手の全体像を視界に捉えながら集中する。

 マイアは構えた剣を不規則に揺らしながら、こちらを牽制している。


「それでは、はじめ!」


 カフェルの掛け声で試合開始だ。

 マイアはすばやく飛び退き自身に補助魔法をかけようとするが、それは読んでいる。

 細かく足を動かし、まるで滑るようにマイアとの距離を保ち続けながら、牽制、嫌がらせの攻撃を加えていく、簡単にバフをかけさせない、マイアも見事にその攻撃を剣で受け切るが、俺の体の死角から突然現れる剣戟に僅かな隙が生まれる。

 最近では意図的に隙を作って誘ったりもしてくるので、冷静にその餌に喰らいついていいのか、全身の筋肉の強張り、表情を読み取り本当の隙に手を伸ばす。


「キャッ!?」


 腕を掴み引き込んで体勢を大きく崩し、背後への一撃で終わり……のハズだったんだが。


「シッ!」


 しっぽで腕を止められて距離を取られてしまった……

 今までに無いパターンだ。

 

「あっぶなーい……でも、おかげで強化できたし、今度はこっちから行くよ!」


 どうやら、一筋縄ではいかないみたいだ……


 





 

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