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第20話 白塊

 着陸した救助艇の周りには木柵で囲まれて兵士たちが警備に当たっていた。

 王たちと一緒にハヤテ達が到着するとずらりと並んで迎えてくれた。


「あーーーーーー!! よっしゃ、外だしもういいだろ!

 ったくよー、体面とかうるせーんだよ大臣達は……」


 そこにはすっかりリラックスしてストレッチをしている王の姿があった。


「アレがお父様の素です」


 ポカーンとなっていたハヤテ達にシーラーが教えてくれた。


「おお、ハヤテ達も来たか! さっきは偉そうですまなかったな!

 改めてよろしく!」


 気さくに握手してくる王、先ほどと同一人物とは思えなかった。


「……ふむ、ハヤテ。やるねぇ……」


 楽しそうにハヤテの手を握りながらブンブンと振るう王にハヤテは悪い気はしなかった。


「さて、ハヤテ。これは任せていいのかな?

 いろいろといじらせてもらったけど、傷一つつかなかった」


「えーっと、いじらせてもらってもいいですか?

 先に断っておきますけど、何が起きても攻撃とかしないでくださいね。

 入っているもの次第では危険かもしれないので」


「わかった。聞いてたなお前ら!

 手出しは無用だ! このハヤテに全て任せる!」


 兵士たちが柵の一部をずらして救助艇までの道を開いてくれる。

 ハヤテは救助艇に近づきそっと手を添える。


「マスターコールオープン」


 ピピッという機械音がすると、脇の扉が開く。

 周りの兵士からおおおっと声が上がる。


「お、白塊びゃっかいか。マスターコール起動」


 真っ黒い箱に光のラインが、表示が明滅し、ゆっくりと扉が開いていく。

 中には小さな腕輪が入っていた。

 ハヤテはそれを取り出すと自らの左手にはめる。


『マスターサカキバラと確認。お久しぶりですマスター』


「ああ、白塊も無事でよかった。……変な質問だけど俺の体に異常はあるか?」


『……マスターのバイタルはすべて正常、ただ、肉体能力が大幅に向上しております。

 白塊もそれに合わせて出力調整をいたします』


「状況は理解しているかい?」


『謎の攻撃を受けて戦艦は大破、各武装物資を排出後マスター脱出までは確認できています。

 現状もそうですが、謎の障害により周囲の状況の把握が困難となっております。

 68795通りの対策を実施いたしましたが、現状その問題は改善できておりません。

 マスターのナノマシンからの反応も微妙に変化が起きており、バイタルの変化はない物の注意が必要と提言します』


「うーん……説明のしようがないんだけど、ナノマシンが変異したマナという物質が妨害しているのかも……」


『ナノマシンと類似した物質の存在を確認、この名称マナという物質を利用できるように自己変化した場合、終了予定時刻は不明。成功確率、不明。バックグラウンドで処理いたします』


「さて、いつまでも王様を待たせておけないからほかの物資も出してもらえるかい?」


『了解しました』


 救助艇から物資が排出される。

 いくつかの工場プラントも乗っていた。

 救助艇を陸上移動形態へ変形させ、プラントも乗せなおす。

 

「さて、どう説明したものか……」


 ハヤテは再び王の元へ戻ろうとするが、兵士が王を守るように行く手を阻む。

 王はややうんざりしたような表情ですまんね、って感じで肩をすぼめている。


「大変申し訳ないがハヤテ殿、その場で止まって状況を説明していただけるか?」


「はい。見ての通り、あの物体は私が持ち込んだものです。

 詳しい話は出来ませんが、皆さんを害する物でもありませんし、私自身も皆さんを害するつもりはありません」


「もういいだろ、ハヤテは敵ではない。それでいいじゃないか」


「し、しかし王!?」


「もういい、決めたのだ。そもそも、ハヤテが何かするつもりなら、我らの屍はすでにこの地に晒されておる」


「……酷い言われようですね。意味もなくそんなことはしませんよ」


「意味があれば、……出来る。ということだろ?」


「……そんな意味を持たせないでくれると信じています」


「……ふっ……はーーーはっはっは!! 聞いたか?

 いやー、ハヤテは只者ではないと思っていたが、想像以上の存在だな!

 よし! 王の名において命じる! ハヤテと敵対することを禁じる。

 彼らの自由は王の名において保証する!

 そして、ハヤテ。個人的にお主とは友人となれるといいんだが……」


「よろこんで」


 再びがっしりと手を握る。

 カフェルもマイアも何が起きたのかさっぱりわからずにいた。


「王よ、私はこれに乗って帰るので二人を送ってもらえるか?」


 ハヤテは救助艇が変形したトラックに乗り込む。


「なんと!? それは走るのか? 何人乗れるのだ?」


「えーっと、後ろになら何名か……って何をするつもりですか王様……」


「王様などと他人行儀な呼び方するなハヤテ! ライオでいい」


「それではライオ、なに勝手に乗ってるんですか……」


「こんな変わった物に興味を持つなというのが無理な話だ。

 さぁ、早く、走るんだろ?」


「まったく……ちゃんと捕まってくださいよ……」


 車は走り出す。馬が引くよりも、馬よりも早く。


「うおおおおお!! 早い、早いぞおおおぉぉぉぉぉ!!」


「お、お待ちください王よ! ええい、総員騎乗! 王に続け!!」


 ドタバタと護衛の者たちも続いていく。

 カフェルとマイアは馬車と共に取り残されたが、しばらくして「行こうか」と馬車に乗り込んで王都へと戻っていく。さすがのシーラーも言葉も発せずにその馬車に揺られるのであった。


 この日から、ハヤテのやり放題は加速していくことになる。


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