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第14話 王都への道

説明回

 王都へ向かう様々な準備を終えて、ハヤテ達一行は王都へと出発する。

 ハヤテ、マイア、カフェル、シーラー、それに街の商会ギルドの代表、冒険者ギルドの代表それに護衛となかなかなの大所帯になっている。

 ハヤテ考案の改良型馬車のおかげであまり整備されていない街道も快適な旅が可能になっており、町の重鎮たちからも非常に感謝されていた。


「王都に行くとなると一週間はおしりを押えていなければならなかったのが、ハヤテ殿のおかげでなんの痛みもない! 本当に、いや、本当に感謝している」


 おしりを守ってくれてありがとうと偉い人に感謝されてハヤテも苦笑いするしかなかった。

 豊富に得られるようになった鉄を利用してバネを用いたショックアブソーバー、ダンパーを作った。

 石油製品が使えれば足回りの強化は現地の人間にとっては間違いなく別次元の物になった。

 この世界の街道は結構な規模の街と王都を結ぶ程度にしか存在しておらず、その道も草木を刈って砂利を敷いた程度の物で、雨が降れば水が溜まり凸凹が生じる粗末なものだ。

 ハヤテはこの旅で次に手を付けるのは交通網の整備だと感じていた。

 

「そういえば、メテオリラ王国は王政を敷いているのは名前からもわかるけど、当然ほかの国もあるんだよな? どんな感じになっているの?」


 これから会う王との会話で余計なことを言わないように事前に勉強をしておかなければと野営地でシーラーに教えてもらっている。

 

 シーラー王国はそれほど大きくないこの国からすると中規模、人口は2万に満たないぐらいの国家で、複数の中規模都市と王都がその人口のほとんどを占めていて、それ以外に小さな村が存在している。

 正確な数は王国としても把握しておらず、基本的な収入は町と王都の税収によって成り立っている。

 村は厳しい税の取り立てはない物の、国からの援助も期待できないといった具合だ。

 町の長は地方領主のような立場になっており、周囲の村から税収を取っている者もいる。

 シーラーもそんな領主の一人となっており、前任の者は王との中枢への切符と引き換えにシーラーにその座を渡した。

 その時点で前任者の能力は推して知るべし……

 ハヤテが手を加えてからの街の発展度合いを正確に知ろうともせずただただ日々の業務をやる程度の人間だった、とあとからカフェルがハヤテに教えていた。


「王都は国の北東に位置しています。北を霊峰エヴァンクラス、東には大森林があるために他国の侵略の可能性が低いと考えられています。ハヤテ様の森の開拓を見ていると……少し思うところはありますねぇ」


 北は山岳地帯、この辺りで最も高く、そして険しい山が背後を守っている形だ。

 山越えはかなりの困難を極めるが、一応行き来は存在する。

 北の先にはエヴァンスフィア聖国がある。

 霊峰を信仰する国で、住民のほぼすべてがエヴァン教に属している。

 北の厳しい環境で暮らしているために、その人口こそ少ないが、独特の生活様式、それに強靭な僧兵を抱えているらしい。


 東の大森林を超えるとバラテン国、独特の文化様式を持つ国で、強き者が王となる戦士の国。

 国土の多くが砂漠の過酷な土地だが、豊富な鉱山資源、宝石などが産出され、国としては豊で海に面しているために食生活もそこまで過酷ではなく、畜産も発達している国になっている。


 バテラン国の南西に位置してメテオリラ王国と接しているのがキッカ王国。

 小国ではあるものの海を隔てた島国であるジパルス共和国と唯一貿易を許可されている国で、その特権的な力で他国に侵略されることなく莫大な益を上げている。多くの商会が所属しており、経済の渦の中心と言われている。


 ジパルス共和国はメテオリラ王国の南東の海上の島国。

 複数の部族が共和制という形で一つの国を作っている。

 島国らしく、独特の文化を持ち、非常に高い技術を持っているために、ジパルス産の工芸品は非常に重宝される。

 貿易や国としての門戸がキッカ王国にしか開かれていないために非常に謎に包まれている国であるとされている。


 メテオリラ王国の南はトーラン帝国、犬猿の仲で何度となく国境線沿いで争いを起こしている。

 皇帝を中心とした貴族制度を取っており、奴隷も存在する。

 村から最も近い他国でもある。

 ありがちな内部闘争も存在しているらしく、つねに国内外をゴタゴタさせる厄介な国らしく、話している途中にもシーラーのため息が多くなったことをハヤテは見逃さなかった。


 最後が西、北西にかけてベール大河と呼ばれる巨大な川で接しているケヌス民国。

 民主主義の国で民衆に選ばれた代表が国を取りまとめ、同じく民衆に選ばれた議員が議会を持って政治を執り行っている国。

 トーラン帝国とも接しているが、ある意味貢物ともとれる援助を行い国を守っている。

 メテオリラ王国とも同盟を結んでおり、大河を通じて盛んな貿易を行っている。

 

「と、言うわけで。今日で全ての国の説明が終わりました。

 もちろんさらに遠くにはより多くの国はありますが、わが国を取り巻く国々は以上となります」


「先生質問」


「はい、ハヤテ君」


「トーラン帝国との戦争はどれくらいの頻度で起きているのですか?」


「最近だとおととし、国境線の砦に威嚇射撃をしてきたくらいですかねぇ……

 本気で死人が出るような戦闘は20年くらい起きていませんね。

 戦争状態だということを忘れないように示威行為をしている感じですね」


「戦争を維持するメリットは両国にあるのですか?」


「……包み隠さずに言えば、敵がいれば一定の戦力に対する投資が説得力を持ちますから……

 あとは、色々ですね」


「なるほどねぇ」


「ハヤテ様の村は比較的国境線に近いので、そのうち砦に行く機会もできるかもしれませんね」


「……できることなら国家間のいざこざとは関わりたくないのですけどね」


「私もそうあって欲しいと願っています」


 シーラーの言葉に、色々あるだろうし、たぶん無関係ではいられないんだろうな。そうハヤテはそう感じていた。


 そして、ハヤテ達一行はメテオリラ王国王都についにたどり着くのであった。


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