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第13話 王からの呼び出し

 町の生産力、技術力もすっかりとハヤテの悪乗りの手助けをするようになり、ハヤテはより自重を忘れ始めていた。

 豊富に手に入った石油から液体燃料、それにプラスチックを精製し、それらに樹脂などを利用した強化プラスチックを利用した武具は軽く強く兵士たちに非常に好評だった。

 そうしてハヤテは仲間の防備を整えて、ついに百獣の丘への調査を本格的に開始しようとしていた。

 手前の森で狼とはなんどか遭遇し、その戦力も把握している。

 こちらの防備を貫くほどの相手ではないと判断し、それでも慎重に慎重を重ねて準備している。

 それでも今のところは3頭ほどの集団の相手しかしていない、ハヤテはもっと奥にはより多くの群れがいる可能性を考慮して少しづつ、少しづつ森に道と拠点を築きながら侵食していった。

 行きつく先は誰も寄り付かない百獣の丘という生産性の低い街道が出来上がりつつあった。

 もちろん伐採された木々は木材として生活に利用されているので、無利益というわけではない。


「この森を切り開いて間伐材を利用できるだけでもかなりの資源になりそうだね」


「町から一番近い大きな森ですが、狼達のせいで手が出せませんでしたからね」


「ハヤテ様のおかげで本当に助かっております」


 最近はシーラーがハヤテと共に行動することが増えている。そのせいでカフェルとマイアもぴったりとハヤテについて回っている。正確にはマイアがついて回っていてそれにカフェルが連れまわされている。


「マイア様と一緒に過ごせてとても楽しいんですよ私!」


「シ、シーラー様……」


 とうのシーラーは年頃の友達のようにマイアと触れ合っていて、強力なライバルでもあり、良き友になっている。

 あの夜以来まっすぐと女性らしくぶつかってくるシーラーのアピールと、強引だがどこか憎めないマイアの猛アピールにハヤテも困りながらも楽しい日々を送っている。


「とうとうここまで来ましたねアニキ」


「ああ、長かったな……ここが……」


「ええ、百獣の丘です」


 ハヤテの目の前にはごつごつとした山岳地帯が広がっている。

 人の手が入っていない風にさらされた岩肌、点在する植物は森の物とはガラリと変化している。

 涼やかな森を抜け、丘に出るだけで額にうっすらと汗が出てくるほどの強い日差しを受ける。


「広いが、視覚も多いな……森も厄介だったけど、街道を敷けない分こっちの方が厄介かもしれないな……」


 そういいながらも周囲の資源を探ると豊富な鉱石資源を見つけてにやけてしまうハヤテだった。


「まずは予定通り森の出口の部分に拠点を作ろう」


「「「おうよ!!」」」


 一緒に連れてきた男衆が勇ましい声を上げる。

 すぐにハヤテを中心に周囲の森を切り開いて建築資材にしながら砦を築いていく。

 木柵で囲われた建築がみるみる築かれていく。

 一週間程で拠点が完成し、丘の調査用の物資も運搬されてくる。

 ハヤテはシーラーの勧めで商会を立ち上げた。

 ハヤテのもたらす知識を元にした商品としてかなりの利益を上げている。

 

 まさに丘の調査を開始しようという時に、シーラーを通じてハヤテに一つの知らせが届く。

 シーラーの父親でもあるメテオリラ王がハヤテとの面会を求めてきたのだった。


「ちょうどいいタイミングかもね、今日は森の拠点の完成と調査の成功を願っての宴だし、まずは王様と会ってくるよ」


「ちょっと会ってくるって……アニキは流石ですね。

 俺らみたいな田舎者からすれば王様なんて雲の上みたいな存在なんですけどね……」


「ど、どうしよカフェル! 王都に行くような服持ってないよ!」


「カフェル様、マイア様、ハヤテ様も含め謁見用の衣装は用意させます。

 型をこちらで見繕って、王都で最終的に合わせていただく準備になっております」


「おお、流石シーラーさん」


「マイア様に似合いそうなドレスも見繕ってあるんですよ!

 よければ……私とに選んでいただけると嬉しいです……」


「もちろんよシーラ! どれどれ……あっこれなんか可愛い!!」


 女性同士ドレスのデザインや小物なんかで話が盛り上がり始める。

 ハヤテとカフェルにもいくつかのデザイン案の描かれた冊子が渡される。

 ハヤテ達が作る木々の繊維を利用した紙よりも白く上質の紙で作られた冊子、これだけでもかなりの値打ちものだろうとハヤテは理解した。


「正直助かる。軍服以外礼服なんて知らないからなぁ……」


「シーラーさんは凄いですね、なんていうか只者じゃないですよね」


「そりゃ女性でありながらカフェルと五分でやり合えるんだから、只者ではないよな……」


「……アニキも気がついているんでしょ?」


「……ん? まあな、彼女が本気を出したことは一度もないことぐらいは気がつく、普段使ってる細剣レイピアも貴族らしいって理由で使ってるだけで、得物は別だろうな」


「はぁー……姉貴はともかく、アニキに会うまで一応敵なしだったんだけどなぁ、さらにアニキとやり合って強くなってるって自覚もあったのに……世界は広い……」


「そうだぞカフェル、世界はとんでもなく広いんだよ」


 結局ハヤテはピンとくるデザインがなかったので軍服をもとにデザイン案をシーラーに渡した。

 そのデザインは格式に反することなく男性としての魅力を引き出すとして貴族の間で一大ブームを巻き起こすのだが、それはまた別の話であった。




 

ハヤテはいろんな惑星の動植物を肉筆で残すのが趣味なので、絵の造詣も深かったりします。

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