2.友達4
2.友達4
就寝前に中学の頃を思い出す
小学校は無邪気そのものだったけど、
日常という幸福はずっと続くことはなかった。
中2の時、水守は女子のグループにイジめられるようになった
たぶん、「気に入らない」とか「調子に乗っててウザイ」とかの理由だけでイジめてたんじゃないのかと手伝ってくれた〈あいつ〉が言ってたのを思い出した
「あいつ、元気かなぁ〜。」
〈あいつ〉の協力が無ければイジメの収束は有り得なかった
名前は富宮琴音。中学のアルバムに手を伸ばして行事ごとの思い出を見る
琴音と俺が同時に写ってる行事は無く、あるのはクラスの集合写真のみ
学校ではお互いあまり関わらずに過ごした。だから水守の記憶に琴音は居ない
アルバムを眺めながら思い出してると、トントンと部屋のドアを叩く音がした
「はい。」
ドアを開けると、そこには水守がちょこんと立っていた
「どうしたの?」
「ゆーちゃんの部屋、電気がついてたから…。それと部活は決めたかなって。」
「そっか。とりあえず中に入りなよ。」
水守にいつもの元気がないと思い、部屋の中に招き入れる
「何…してたの?」
水守はベッドに座って開きっぱなしのアルバムに手を伸ばしながら聞いてきた
「ちょっと中学の頃を思い出してた。」
「そっか。ゆーちゃん、守ってくれたよね。」
「あー、うん。」
「………。」
「………。」
5分くらいだろうか?少し沈黙が続いた
「それで、部活は決めたの?」
話題を変えたのは水守だった
「いや、決めてないな。水守は?」
「私はやらないよ。お姉ちゃんは部活やってるし、母さんと父さんは店があるし。誰かが家事をやらないと…。」
「ふ〜ん。なら、俺もやらないよ。」
「え?どうして?私に合わせなくていいんだよ?ゆーちゃんはゆーちゃんがやりたいことを___ 」
「俺さ、飛草家にお世話になってるし、水守が家事をするなら俺が水守を手伝うよ。水守1人じゃキツいだろ?」
俺は最初から部活をする気はなく、水守がやりたいことについて行くつもりだった
(ゆーちゃん…。ありがとね。)
私は声に出して言うのが恥ずかしくなって、自分の内に秘めてお礼を言った
「ゆーちゃんがそう決めたのなら、それでいいと思うよ。……本当にいいの?」
「おう!」
「そっか。それじゃ、よろしくね!」
それから30分くらい雑談をした
「じゃあ、私は帰るね。おやすみ!ゆーちゃん。」
「うん、おやすみ。」
水守に元気が戻ったような気がして安堵した
もう…小さくないんだ
私たちはどんどん変化していくんだ
身体的にも、気持ち的にも…
その理由として、私のゆーちゃんへの想いは大きくなっていっている
「あ!」
忘れていたことを思い出し、来た道を戻る
「ゆーちゃん!」
「ん?水守、どうしたの?」
「明日のお昼はどうするの?学食?」
「いや、明日はお弁当にするよ」
「分かった!作っておくね。」
「ん〜、自分で作るよ。」
「え?私の作るお弁当、飽きた?」
「そうじゃないよ。水守と勝負したいんだ。」
「しょうぶ…?」
「うん。料理は一応水守から教わってるし、出来るかなって思って。」
「…分かった。勝負、しよう!私もゆーちゃんのお弁当、食べてみたい!」
そして1日が終わり、次の朝を迎える