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異世界の美少女たち

進まない・・・

 町の外に行くと山賊が5人いた。

「ゲヘヘヘヘヘ、ここを通りたければ通行料として50000Gを置いていきな」

 山賊は下品な口調で杉留すぎるを止めた。

 内心「野郎ぶっ殺してやる!」と思っている杉留すぎるだが、厨二病なので表面上はクールに相手に興味なさそうなふりをして無視して通り過ぎようとした。

「クラァ!小僧待ちやがれ!てめぇ人の話を聞きやがれや!親に教わらなかったのか!」

 短気を起こした山賊の4人が一斉に杉留すぎるに飛びかかった。

 ドカッ、バキッ、ドカンッ!

 しかし、山賊達は一瞬でやられてしまった。

「あー痛ぇ」

「ちくしょう、やられた」

「お頭仇とっておいてね」

 4人の山賊達は死ん だ。

 残った山賊の頭は部下の死に烈火のごとく怒り、

「おおっ、よくも俺の可愛い配下たちを!おい貴様!人の命を何だと思っている!」

 頭の問いに対して杉留すぎるは済ました顔で、

「俺に挑んだこいつらが悪い」

と答えた。

「くそっ!この山賊の頭ザカマセ様が亡き部下たちのために貴様を成敗してくれるわ!」

 山賊の頭ザカマセは勇敢に杉留すぎるに立ち向かった。

 バッ、カキーン、シュッ、ドガガガガガ、ザシュッ。

 しかし、ザカマセは死んでしまった。

「ふっ、あっけないものだな、ん?」

 山賊達の遺体から金品を奪取していると、遠くのほうに檻に捕らわれた人を見つけた。

 見れば、美しい少女が二人捕らわれているではないか。

 ついでに 、濃い顔立ちのムキムキマグロまで捕まっていた。

「・・・」

 杉留すぎるは内心助けたかったが、厨二病なので無視して呼び止められるのを待った。

「貴様!我らを救わんか」

 しかし、呼び止めたのはムキムキマグロだった。

(これは無視だな)

 そう思った杉留すぎるは先程よりも歩く速度上げて、檻から遠ざかった。

「ちょっと、待ちなさいよ!この変な顔の魚は放っておいてもいいからあたしたちだけでも助けないさいよ!」

 今度は少し甲高いが子猫のように可愛いらしい声の少女が呼び止めた。

 杉留すぎるは待ってましたと言わんばかり、足をその場で止めて彼女ら方に振り返り、

「断る、何故俺がそんな面倒な事に関わらなきゃいけないんだ」

と言っ た。ちなみに本心はかっこつけたいだけである。もう一押しで彼女たちを救うつもりである。

「むむむ、こやつは利己主義か?よかろう、我らを救った暁には尻を貸そうではないか」

 マグロがそう言うと、杉留すぎるは美少女二人が捕らわれている檻に近づいた。

「マグロはこう言ってるがお前らはどうなんだ」

 杉留すぎるは美少女たちに言った。

「えっ、こんな可愛い私たち放っておいてマグロ助けるの?あんたもしかしてホ・・・」

 答えたのはよく話すほうの少女だった。

 この少女は金色のツインテルーにしっかりとしたつり目に青い瞳の美少女であった。

 その整った顔立ちは思わず二度見してしまう程可愛らしく、その穢れ一つない色白の肌は誰も手につけていない 白い雪景色のようだった。

 服装は魔女らしいとんがり帽に大き目のローブを身に着けていることから恐らく魔術師であることで間違いなかった。

 この娘が先程から杉留すぎるに話しかけていたのだろ。

「いや、絶対助けないけど。それよりお前らはどうなんだ?」

 即答だった。

 素で即答だった。

 ツインテールの少女はう~んとうなると少し顔を赤らめて、

「わかったわ、アップルを好きなようにしていいわよ!」

とやや早口で答えた。

 すると、後ろの方でおとなしくしていた方の美少女は慌てて、

「ちょ、ちょっとレモンちゃん!私をへんなことに使わないで!」

と顔を真っ赤にして、レモンをたしなめた。

 この少女も相当な美貌を誇っていた。

 くれな いのボブカットにくっきりとした大きな瞳をした少女で目、鼻、真紅の唇と人工物としか思えないほど完璧な配置で並んでいた。その肌はレモンと同様に誰も足跡をつけていない雪景色のように白かった。

 彼女の服装は聖職者が着るような純白のローブに可愛らしいメルヘンチックな模様があり、その服装から彼女は回復術師であることが間違いなかった。

「くだらん」

 杉留すぎるは真っ先に二度返事で了承したかったが、彼の中学二年生がそれをゆるさなかった。

 彼は本心とは間逆にスタスタと帰ろうとした。

「あっ待ってよ!じゃ、じゃあさこうしない!?私たちがあなたの冒険をサポートするの!」

 レモンが杉留すぎるを止めるのと同時に、

「そうも駄目でしたら、せめ て檻の鍵だけ開けてもらえませんか?できる望みは叶えませすので」

 アップルも彼を引き止めた。

「おお・・・!無垢な娘らが己を犠牲にするのは感心せぬ。我を見捨て、娘を救え!さすれば尻を貸そうぞ!」

 一人余計なのが混ざった。

 杉留すぎるは溜息をついたふりをして、やれやれと言わんばかりに首を振り、山賊から奪った鍵を使って檻を空けた。

 檻から解放された少女たちはうーんと背伸びをした。

「うーん、やっぱ自由が一番ね。あんたね!もっと早く空けなさいよ!もぉ」

 レモンは杉留すぎるを咎めたが、アップルに静止された。

「まぁまぁ、別にいいよ。こうやって助かっただから。親切な旅人さんどうもありがとうございます」

 杉留すぎるは心中 ではものすごく喜んだが、表面の中学二年生は平静を装い、鍵を投げた。

「じゃあな、俺は魔王を倒しに行くから」

 そう言って杉留すぎるはその場を後にしようとしたが、

「待ってください!あなた魔王を倒す旅をしているのですか!?」

 杉留すぎるはその言葉に待ってましたと言わんばかりに振り向き、

「貴様らには関係ないことだ」

と厨二病全開に答えた。内心ではキタコレと思っているが。

「私たちも連れてってください!」

 彼は怪訝そうな顔を繕い、

「断る、何故お前らと旅をしなくてはならないんだ」

と答えた。

 美少女たちは顔を合わせ頷き、杉留すぎるの見て、

「私たち魔王を倒す勇者を探しているのです。ですからこの旅のお供をしたいのです 」

 レモンもケラケラ笑いながら、

「まっ、駄目だと言われても勝手について行くけどね。あんた勇者の割には面倒くさそうだし」

 杉留すぎるは心の中では恥ずかしがったが、表面上は怪訝な顔をして、

「ふん!勝手にしろ」

と言い、再び歩き始めた。

 しかし、彼は忘れていた。

 鍵を捨てたとき偶然漢マグロの檻の中に入っていたことに。

 彼(彼女?)はそれを使って檻の鍵を開けた。

「あいや、我らを救うとは・・・。よろしい!我の尻を貸そうではないか!」

 そういうとものすごい跳ねながら、全速力で杉留すぎるの所まで行った。

「お、お前!何するんだ!」

 抵抗する杉留すぎるであったが、圧倒的力があったはずなのに何故かそれを振り払うこと ができなかった。

 シリアスキャラはギャクキャラに絶対勝てないのだ。

「暴れんなよ、暴れんなよ。お主に御礼をしたいのだ」

「アッーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 彼は大事な物を失った。

続きます

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