復讐そして再会
翌日の朝、浦山が学校に行くがそこにいつものように待ち伏せしていた坂木の姿はなかった。「…これでいいんだ…俺なんかと関わったって良いことなんかない…」と言いながら下駄箱を開けると手紙が一通入っていた。浦山はそれを取り出し、封を開ける。そこにはこう書かれていた。「あなたに大事な話があります。今日の放課後、裏山の公園の小屋まで来てください」「なんだこれ?」そう言って歩き出した浦山の足は階段を上がり、1年の教室の前に来たところで止まった。「なんでこんな所に…」そう言ってしばらくそこに立ち尽くし、とぼとぼと自分の教室に向かう。
その後、昼休みになっても坂木の姿を見ないまま放課後になり、下駄箱に寄りかかり待ってみるが、下校時刻になっても坂木の姿は見えないまま。仕方なく一人で帰路につこうとして、今朝の手紙のことを思い出す。「特にやることもないし…」そう言って指定された小屋まで向かう。
浦山が小屋に入ると、薄暗くてはっきりとは見えないが、奥の方に人影らしきものが2つ見える。その人影に向かって歩みを進めていく。人影に近づいていき、目も慣れてきて人影がはっきりと見えてくる。そのはっきりと見えた人影を見て思わず驚きの声を漏らす浦山。「坂木聖也!?」「遅かったな浦山。ったく、俺たちをどれだけ待たせる気だ!?」「俺…たち?」浦山がそう言って聖也の隣を見ると顔を伏せている結衣がいた。「!結衣…。…大事な話って何だ?なんでわざわざ俺を呼び出した?」「なんで呼び出したか?…お前に復讐するためだよ。弟の一也を殺したお前にな!」「一也…。俺は一也を殺してなんかない!そんなこと絶対にしない。第一一也は交通事故で…」「その事故の原因を作ったのがお前だよ!」「なんだって…?!」「あの日、うちにお前の父親から電話があった。お前がまだ帰ってきてないってな。それを聞いて一也は真っ先にお前を探しに行った。その途中で車にはねられて…」「それって…」「お前がさっさと帰ってれば!一也は事故に遭わずにすんだんだ!」「…」
「だからお前が一也を殺したんだ。俺はその復讐をする。…ここ数日の恋人ごっこは楽しかったか?」「?なんでいきなり…」「実はな、あれは全部フリだったんだよw」「え…?」「結衣はお前のことなんか何とも思ってない。ただ俺の指示に従ってお前に近づいただけなんだよ!w」「そんな…」「お前が結衣とぶつかった日のことだ。〜「お前はどうなんだ?」「私はまだよくわからないかな。そんなに話したこともないし」「じゃあ、恋人のフリでもいいから近づいてみればいいじゃん」〜ってことよ。あ〜っはっはっは」「ゆい…本当なのか?」結衣が浦山から目を逸らす。「結衣…はは…俺はまた…裏切られ…また…ぅああああああああ!!!!」浦山が泣き崩れる。「あーっはっはっは!!いい気味だな」高笑いしている聖也、その場に崩れている浦山。そのまましばらく経った頃、結衣が浦山に近寄る。そしてその体を抱きかかえる。「浦山先輩…ごめんなさい…」泣きながら結衣が謝る。「結衣?何してんだ?ほら、こっちに来い!」「お兄ちゃんがそんな人だと思わなかった。…浦山先輩、大丈夫ですか?」「ゆ、結衣…?」「坂木…?あ、ああ…でもなんで?」「なんでってなにがですか?」「なんで俺に構うんだ?俺のことなんか何とも…っ」言葉を遮るように、結衣が浦山にキスをする。そしてその唇を離すと「屋上でも一回したけど、好きでもない人にこんなことするほどお人好しじゃないよ?」「坂木…」「嘘だろ!結衣!お前まさか本当にそいつの事が…」「そうよ!私は浦山先輩の事が好き!だから恋人のフリなんて辛いだけだった」「そいつはお前の兄、そして俺の弟の敵なんだぞ!」「浦山先輩が悪いわけじゃないじゃん!直接手をくだしたわけでもないのに恨むなんて」「うるさい!…分かってんだよ!こんなの筋違いだって事ぐらい!でもそうでもしないと耐えられなかったんだよ!」「お兄ちゃん…」そう言って見た兄の顔には涙が流れていた。「あれ?なんでだ?なんで俺は泣いてんだ?」「お兄ちゃん…」「坂木…」「み、見るな!見るな〜〜〜!!!」聖也がそのまま走り去っていく。
「…」聖也がいなくなりしばらく二人の間に沈黙が流れる。そして結衣が口を開く。「あの…ごめんなさい!浦山先輩。恋人のフリなんて騙すような真似をして…」「もう終わった事だしいいよ」言葉を遮るように浦山が言う。結衣がクスッと笑い「やっぱり優しいんですね先輩!」「俺は別に優しくなんかないよ」「そんなことないですよ!…それで先輩…その…さっきも一回言っちゃってると思いますけど改めて言います。…私…」「待って坂…結衣ちゃん。俺の方から言わせてくれない?」「え?」「俺さ、君に声をかけられた時あんな態度をとってたけど、本当は嬉しかったんだ。おかしいだろ?自分から距離を置いてたくせにね。それから君が俺に構ってくるたびに、その嬉しさが楽しさに変わりそして愛しさに変わっていった。君との時間は本当に楽しかった」「先輩…」浦山は一呼吸置くと口を開き始める。「結衣ちゃん。俺は君の事が好きだ!俺と今度はフリじゃなく、本物の恋人になってほしい!」「で、でも…私は先輩を騙して…」「理由がどうあれ君が俺をトラウマから救ってくれたことに変わりはないよ。その時間が楽しかったという事も」「もう…どれだけ都合のいい解釈ですか」そう言う結衣の顔は涙が流れながらも笑顔だった。「だめ…かな?」「仕方ないですね先輩は…。私一度食いついたら二度と離しませんから覚悟してて下さいね」「望むところだ。じゃあそろそろ帰ろうか」「はい!」二人が小屋から出て行く。
それから翌日。浦山は彼女を迎えに行こうと、坂木家の前に来ていた。インターホンを鳴らすと中から「はーい」と男の声が聞こえ、兄の聖也が出てきた。「おう、おはよう浦山」「ああ、おはよう」どうやら、昨日の一件で完全に吹っ切れたらしい。「結衣〜!彼氏さんが来たぞ!」「え!?まって!!今行く!」「すまん、少し待っててくれ。俺は先に行くわ」「ああ」聖也が学校へと向かう。それから数分後に結衣が出てきた。そして二人は昨日の一件の後のことやこれからのこと、たわいのない話などをしながら学校に向かう。学校に着き、靴を履き替え、1年の教室に着くと「じゃあ、またお昼に」と言って結衣が教室に入る。浦山も自分の教室に向かう。昼休みになり二人は屋上で結衣の手作り弁当を一緒に食べ、その後も授業を受け、やがて放課後になる。浦山は一足先に玄関へ行き、下駄箱に寄りかかり、結衣を待つ。しばらくして結衣が走ってくる。「すみません、先輩待たせちゃいましたか?」「いや、大丈夫。じゃあ、帰ろうか」「はい!」二人が帰路に着く。
〜END〜




