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第一みゃ 猫又は主人の生き血を吸って覚醒する

対馬の皆様すみません。

※このお話はフィクションです。

つしミャーは、長崎県でありながら、

福岡からのフェリーでしか行けない有人離島である長崎県対馬市非公認のキャラクター、

所謂ゆるきゃらである。



見た目はベルトを着けたちょっとメカメカしいがデフォルメされてマイルドに仕上がったネコである。

ちなみにゆるきゃらには珍しく4足歩行であり、中に人が入るには少々厳しい設定だ。

メカなネコと言えば大御所の万能兵器である学名タヌキモドキネコの彼と、

サイボーグ化したミリタリーなネコが有名だが、

つまりは要するに、今までに売れてきた路線をついていけばある程度の人気がとれると、

今更ながらゆるきゃらの波に乗ろうとして対馬市役所の職員が昼食を食べながら適当に考えたキャラクターである。


対馬でネコと言えば当然イリオモテヤマネコと犬猿の仲であり、

英名がツシマレオパルドキャットとカッコいいツシマヤマネコであり、

そのため、ごく一般のネコ達はその存在を無かったかの様にされて肩身が狭い。


当然のことながらつしミャーもツシマヤマネコのゆるきゃらである。



そんなゆるきゃらのつしミャーであるが、

その設定は意外にも重くハードボイルドだ。


その設定とは以下の物だ。

侵略者共から対馬を護って亡くなった死せる英雄の魂が、正体を隠し、

現代日本において兵器化されたツシマヤマネコの器を憑代に血みどろの戦いに明け暮れる。



少し左寄りでないと叩かれてしまう現代日本においてこの設定は重過ぎる為、

日の目を見ることなく没となってしまった。

第一ぜんぜんゆるくないし。


そんなこんなで、

公開されることも、後悔されることもなかった第一話にして最終回の話を騙っていこうと思う。












西暦1400年頃、

隣国が時は室町の日本の対馬に侵略をかけ、

人々を浚い殺し嬲っていた。

本土から遠く離れた島の事であったので、室町の幕府は対処に遅れ、

多くの人々が犠牲になった。


そんな中、島民を護るために必死で戦い抜いた3人の若者がいた。

彼らはその防衛戦の中、圧倒的な物量差と準備、

そしてその心優しい島民の性根故に圧倒的な不利の中戦い、そして散って行った。

その魂が、銃後と言われる時代に時を経て再び対馬を苦しめようとする悪と戦う為に、

付近で戦争で沈んだ戦艦や武器、その他の金属片等をかき集めて体を再構成した。

そしてその姿を人間たちの中に潜めた。


この時、蘇った体は二つしかなかった。

蘇った彼らの名前はカミツシマンとシモツシマン。

勿論対馬民なら説明することなくわかると思うが、

上対馬と、下対馬の正義の力を持ったヒーロである。


彼らは津島市役所専門特殊技術賄賂撲滅研究本部課、通称せとぎわ本課において、

正義のマッドサイエンティストとして身を隠しながら第3の魂をこの世に定着させる研究を行っていた。


第3の魂の持ち主は生前ツシマヤマネコにやたら愛される体質をしていたことから、

彼らは交通事故で命を落としたツシマヤマネコの素体を利用して、

最後の一人の復活をもくろんでいた。


ネコの魂を人型に入れるのは、

魔法少女でリリカルなお話でも成功しているが、

その逆を行うのは津島市の誇る超科学力を持ってしても困難を極めた。

英雄の魂を定着して受け入れることのできなかった山猫の遺体がその容を損失することその数37回。

―――――おわかりだろうか?

つしミャーは38体目の山猫によって完成したヒーロー。

鋼の生体兵器ツシ38号の仮の姿なのである。

しかし、英雄の魂を受けたツシ38号は、英雄の記憶までもは引き継ぐことはできなかった。

何のことは無い、ただの山猫であったのである。





ところで、この時代によみがえった悪とは?







それは、かつて返り討ちにあった古代の侵略者たちが流した血が深海へと流れ込み、

悪意を持って異界、いや、異海の扉より呼び出した半漁人の姿をした悪魔達、

ツシ・マーマン。

嘗ての文献にはツシ・マーマン又はツ・シーマンとして、暴虐の限りを振るい、

その時代の英雄たちによって退治されたことが記述されている。

エラ張ったその顔に一見迫力はないが、

勝利のためなら手段を選ばず卑劣な手段を正当化してまでも使う為に、

正攻法で戦おうとする警察組織では歯が立たなかった。


彼らの狙いは対馬に眠る伝説の秘宝、『赤いキャベツ』。

『赤いキャベツ』はおむつから野菜等の食糧、

そしてお菓子や対馬ラーメンまでもを内包し呼び出せる。

つまり、

―――――――――――これを手にしたものが人類最高の戦力を手に入れる。

そういうことになる。



ツシ・マーマン達は直ぐに発狂して冷静さを無くすため、

この時代の英雄であり、

正義のマッドサイエンティストである当初カミツシマンとシモツシマン達の敵ではなかった。

しかし、少し顔つきの違うツシ・マーマンが出てきた。


整形したのだ。

ツシ・マーマンたちは整形することでその力を強大にするとともに、

人間たちの姿に化けて紛れ込むことができる。


シモツシマンは市役所の同僚であり、

結婚を誓った女性に化けたツシ・マーマンに殺され、

カミツシマンはシモツシマンに化けたツシ・マーマンの攻撃を間一髪のところで正体に気が付き躱した。

しかし、浅くない傷を負ってしまった。


カミツシマンは敵の追手から逃げながら、敵に運ばれていたシモツシマンの遺体を分解&再構成して、自身の力へと変えた。

そして記憶も意思も失った山猫のもとへ駆けつけて、

自分たちの力をベルトの形に変えてツシ38号に装着し、

そこで追いかけてきた整形型ツシ・マーマン達に追いつかれて惨殺された。


その時、ツシ38号は思い出した。

全てを、思い出したのだ。


「……なんだ、ねこダか。」

言葉の語尾にダを着ける特徴を持つツシ・マーマン達は、

機械でできたツシ38号を嘲り笑った。

それも、ツシ38号が人語をしゃべるまでの事だった。


「思い出した。全てを思い出した。

対馬を愛する正義の心、それを今思い出した。

今目の前で亡くなった人の事だとか、そんなことはまだ全然思い出せないがそんなの問題ない。」


ーーーそれで十分だった。

正義の心を思い出すことが出来れば、

彼にとって、『それ』が全てだった。


「美味しい豆酘蜜柑をくれたこの男が今オレの前でくたばっている。

対馬を愛したこの男が今オレの前でくたばっている。

オレにはそれが許せない。」



たくさん喋るネコに当初ビビりまくっていたツシ・マーマンだが、

自分たちも日本語をしゃべる半漁人であることを思い出し、


「…許せなければなんだと言うんダ。

お前なんか喋るネコとして見世物にして大稼ぎしてやるダ。」


とツシ38号を挑発した。



ツシ38号は正義に燃える瞳で睨み付け応える。

「許せなければ…、

許せなければ?

そんなこと決まっている。

悪・即・断ッ!!」



ツシ38号のベルトが唸り音を上げると、

ツシ38号の体から口径100㎜を超える銃口を幾つも自分の体から生やした。

そしてその正義の筒は一斉に断罪の火を放つ。






その日、津島警察署は原因不明の火事が発生し、

市役所職員2名が亡くなったと発表した。





「志摩っ、志摩っ  …何処なの? 志摩ーーっ!!」


業火に燃える地獄の中でただ一匹その魂を燃やすツシ38号を発見したのは、

爆発の中行方が分からなくなっているシモツシマンの人間体、

霜津 志摩の婚約者、蜂洞 百花だった。


百花が見たものは物々しい大量の銃器を構えた志摩が可愛がっていたネコと、

死んでその正体を現した悪魔達だった。



「…あなたが、敵を討ってくれたんだよね、志摩の、」


百花にはなぜかそれが理解でき、

そしてツシ38号は無言でうなずいて肯定した。

そして恋人の死を確認してしまった百花は、


「志摩…志摩ーーーーーーーーーーっっ!!」


銃器の肌着を着た山猫を抱きしめて慟哭した。





この日から、ツシ38号は百花の提案で、

普段は市役所の開発したマスコットロボット『つしミャー』として、

姿を隠し、迫りくる悪逆非道な悪魔どもと闘い続け、

伝説の秘宝である赤いキャベツを巡って日や悪の組織と闘い続けているのである。

次回予告


かつて神風等により沈んだ歴々の侵略者達の船、

そして太平洋戦争で日本人の高射竹槍によって沈んだ、

戦闘機を分解&再構成した器に脳みそを移したツシ・マーマン達の王、

リ・シー。

いきなりラスボスが登場。

そして現代の神風たるつしミャー、いや、ツシ38号。

両雄はあいまみえる。


百花「赤いキャベツは展開準備に入っているわ。

赤いキャベツを週末に停止させることも、

週末にポイントアップさせることも、

この2機にしかできない。

赤いキャベツを手にしたものが対馬の島民の生活の利便性を握るって仕組みね。」


つしミャー「みゃあ?」


百花「猫の手も借りたい…。

そういうにはあなたに託す物が大きすぎるけど、

ねえつしミャー。

必ず、必ず志摩の敵を討って。」


予告なく予告内容を変更する恐れはあります。

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