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45 人魚姫と陰陽皇子



「………死になよ、お兄さん」

「うん、楽に死なせてあげられるよ」


可愛らしく微笑む二人の子は、すぐさま瞳を鋭く尖らせる。


「同業者は、殺すんだって《陰陽皇子》」

「うん、そうだね《人魚姫》」


そう、呼び合う2人を見た男は狼狽えだす。まさか、そんな…いいや、そんなわけはない。一人でぶつぶつ呟きある一つの答えをだした。


「相手は、子ども…なら」

容易いじゃないか、と。しかし、その考えは間違いだった。


「あ~」

と透き通った歌声が響く。頭を響かせ、クラクラする。視界も歪んで、足元がふらふらとして満足に立てない。そんな、バカな。この様な、芸当ができるのは数家の血筋のみのはず。まさか、薬を振りまかれているのか?いいや、違う。それなら、2人の子どもが先に倒れているはずだ。


「しぶといね、人魚姫の歌声を聞いてるのに」

そう、少年が呟きはらりと紙をバラまいた。キン、と光を放つ。

「まさか、……メルヘンにこのような血が?」


ぱたりと倒れた、男が死の間際に呟いた。



そう、魔術的なモノを使えるのはこの世界にて数家の者だけだ。それも、全ての者が使えるわけではない。


****


「この殺し方は……まさか、な…あの陰陽道の者か?」

陰陽道を司る数家の者の仕業か?しかし、それにしてもなにも痕跡がない。ただ、呪術的な殺害方法だということ。

「ありえない…」



「ふふ、水。見てみて、悩んでるよ刑事さん」

「そうだね、でもそろそろ帰ろうよ。心配するよ」

「うん!」

2人手を繋いで、ビルの上から跳ぶ。



「お帰り、愛しの子」

「あ、お母たま!」

「おいで、帰るよ。水、荊」

「うん!父さま!」


親子4人、仲良く帰る。

「また、一段と上手くなったよね」

「「ほんとっ?!」」

狼が2人の頭を撫でつつ告げると一段と笑みを浮かべる。先程までの鋭い瞳は、笑みに変えられ嬉しそうに声を上げる。


「父さまの教え方が上手いんですよ!」

水が声高らかに言うと、荊もうんうんと頷く。それを微笑みながら、白雪は見守るのだ。


「もっと、上手くなる」


.

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