43 家族
「本当の家族…」
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「ロイくんね、よろしくね」
パチリ、ウィンクする麗良。
「ふむ、我が娘達は早熟すぎる…悲しいものだな」
「ちょっとぉー俺差し置いて?」
「一目惚れか、」
どのペアも一目惚れなのだ。我が音木家の夫婦は。
「あの、私…歌紅弥です」
「へぇ、メルヘンチックな名前だね」
「まぁ、そうかな?」
歌紅弥にとって、当たり前なことであまり気にしてはない。
「姉様は、白雪、兄様は、桃…姉様のお相手、狼兄様、お父様は…」
と、一人一人紹介していく。
「じゃあさ、俺もコードネームとか付けられるの?」
「花の王子」
「『花の王子』、親指姫とぴったりね!」
「へぇ、よろしく。myprincess?」
「わっ…」
顔を真っ赤にさせて、歌紅弥はわたわたする。
彼は今日この日、音木家の一員となった。
掟は絶対、裏切れば家族全員で殺しにかかること。音木家に入るに当たってのすべてを説く。
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「歌紅、ここは…」
ケロリとしている、ロイ。自身の家族を目の前で殺されたのに関わらずだ。
「ねぇ、ロイ様。」
「ん?」
「本当にどうでもよかったの?」
「あぁ、別に。いずれ、俺が殺そうとしてた人間だしね。」
真剣な表情でそう言い切ったロイに、歌紅弥はそうですか。と零す。
「いいじゃん、今は歌紅がいる。今後一生一緒なんだろ?それに、家族らしいじゃん。音木家の方が」
どっちにしろ、暗殺者一家ならね。と微笑むロイ。
その髪には、歌紅弥とお揃いの小ぶりの花のモチーフがついたピン。
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「うん、良かった。歌紅弥も見つけたみたい。」
「そうだね、白雪。でも、なんだか淋しい?」
「うん、少し。でも私には狼くんがいるから」
「白雪っ!」
おもしろなさげに見守るは、桃。
「あー、もう。どこもかしこもイチャイチャ!」
俺だけ、ボッチかよ。そうこぼすも、少し嬉しい。
「まぁ、家族が増えるのは嬉しいもんな」
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