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42  なにより恐いモノ



もう、絶対に堕ちたりしない。

なんど、この手で奪ってきたか分からない命。それが仕事で、と同時に私だって命を奪われるかもしれない。死ぬのは、恐いモノ。でも、それ以上に恐いのは……



「ねぇ、家族を奪うの?なら、さ…」

容赦なんていらないよね、だってあなたたちも一流なんでしょ?



ベレッタの中の一番のお気に入り、めったに使わないそれを白雪は取り出す。片方には、念入りに改造を施した白雪自慢の改造銃。


「……私を、殺せる?」

キラリと紅い瞳を光らせる。



****


「なーんだ、やっぱり可愛い妹は…コントロール出来ちゃうんだね!」

にっこり笑うと、桃は目の前の男を見やる。

「よしよし、こっからは本気で………()っちゃうよ?」

口元に弧を描く桃をみた男は、目を見開く。先ほどまでの攻防は本気じゃないってこと?

「アハハッ、やっぱり楽しいや!いいね、そこならへんの雑魚と違って殺りがいがあるよ」

ニタリ、嗤う。



****



「………」

どうして、どうして、いつもなら!

姉様は、試練を乗り越えた。嬉しい、それは本当に嬉しい。この手で、姉様の命をとらなくてすむから。

それよりもどうして、私は目の前の少年を殺せないの?



姉様、教えてください。


ちらり、視線を白雪に向ける歌紅弥。

「なに、してんの。」

……ああ、なにこの。殺したくない、気持ち。

「あなた、お名前は?」

「…は?」

「お名前は?」

「ロイ」



ロイ様、……って私なにを。



よく、分からないけれど失いたくない。どうして、も。


「………あっ」


『姉様、狼にいさまとの出会いはどんなのでした?』

『ん、殺したくないって気持ち。それと、愛おしいって気持ち。何よりも、そばにずっといたい気持ち……かな』


そうか、そうか、でも……どうしたらいいの?




「……見付けたの?思うままにしたら、いい…」

白雪がいつの間にか後ろにいた。柔らかく微笑む白雪に、歌紅弥は少し泣きそうになる。

「姉、さまぁ……」


「ロイ、くん?あなたの家族はみーんな殺しちゃった…」

「……ふーん、それが?」

素っ気なく言うロイに、白雪はふむ。と零す。


「あなた家族が嫌いなの」

「うん、キライだね。殺ししか知らない奴らだからね」

「ふーん、それじゃあ本当の家族は欲しい?」


「………、本当の家族?」

ロイはポツリ零した

.

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