41 本能
「邪魔、しないでよ」
「………っ」
冷たく言い放つ白雪に、狼は絶望した。唯一愛した人、闇から救ってくれた白雪を失った。
「………ふふふ、どれから殺そうか。」
品定めするかのように、見やる。
「ふふふ」
***
あぁ、楽しい。楽しい。
感覚がどんどん研ぎ澄まされていく。
楽しい、楽しい、あぁ楽しい?
あれ、どうして楽しい。
楽しいことしてる、あぁそうか。
殺し合いが楽しいのか、あぁそうか。
────違う、私は、違う。
『白雪、今度もまたこようね』
きれいな花が咲き誇るあの場所、笑いあう私と…だぁれ?
『白雪、愛してる』
愛してる、私も。……誰を?
『うん、愛してる。《狼くん》』
ろ、うくん。狼、くん。狼くん!!
ハッとして、前を見る。悲しげな表情を浮かべる狼くんが立っていた。カタカタと、私の腕が振るえる。
私、なにしてた?この銃を向けていたのは、どうして?
どうして、狼くんを殺そうとしてた?
あぁこわい、私。私、本能的に殺そうとしてた。
「ごめんね、オオカミさん」
「──!!………良かった、良かった、うん、良かった!」
「もう、大丈夫。オオカミさんがいるから、私…」
絶対に堕ちたりしないよ、もう、絶対に。
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