40 殺戮人形
ギラリとした紅い瞳。猫のようなその瞳を向けられたブラッセリー家の次男と三男は、何故か身震いをした。
「……なに、」
二人は顔を合わせ、またその瞳をみた。
「………殺しちゃう。簡単に壊れちゃうのは、ダメ…だよ?」
クスクス笑って、美少女は鋭い瞳を二人に向けた。笑っているが、瞳は笑っていない。
「アハッ、………なーんで震えてるの?恐い?」
突如後ろから声が囁かれ、飛び上がる二人の背に銃口を突きつけた白雪。
「……行っちゃだめ、あかずきん!」
叫ぶ狼の声は届かない。
「恐い?もっと、楽しませてよ。ねぇ?」
普段あまり喋らない白雪は、つらつらと言葉を発する。その時点でおかしいことに狼は気づいていた。が、瞳は普段通りだったために放置していたが。まさか、このような状況になるとは。
「………死んじゃえ」
パンっ、と銃音が響く。咄嗟の所で逃げ延びた二人は、今まで感じたことのない恐怖を覚えていた。
「あはは、そうだよ、もっと、楽しませてよ!」
そう言って、銃口を向けたのは…狼にだった。
「………堕ちちゃダメだよ。ねぇ?俺を忘れちゃった?」
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「まさか!あっちが本物ぉ?楽しそうだねぇ、あっち行っちゃおー」
「行かせるかよ、ばぁか!」
桃は、白雪を心配しつつも相手と対峙する。だめだ、これ以上標的を増やさせては。白雪を、白雪をこの手で殺さなくてはいけなくなる。
………狼、絶対に乗り越えろ。そうじゃなきゃ、一生俺の奴隷にしてやる。一緒に死なせたりなんかしない、絶対に。
「アハッ、知ってる?cat's-eyeの紅い瞳の時に殺しちゃうと瞳も紅いまんまなんだよ」
「…それが?」
「どっかの物好きが欲してるんだよね。たかぁく売れちゃうわけ」
物好きめ、んな奴らは皆殺しか?
「ちなみに、メルヘンの首も高いんだよね。素性も知られてないのに、美形揃いって噂が多くてさ。俺らの首よりもっともっと高価すぎて逆に嫉妬しちゃうなぁ~」
そう簡単に首なんかやれない。あぁ、もう!白雪も気になるのになんで!
「黙ってよ、その口うざいからさ…殺しちゃうぞ?」
いや、殺すんだけど。
殺戮人形と化した白雪は、銃を考えナシに撃ちまくる。このままじゃ、悲惨なことになる。だめなんだ、可愛い大切な妹をこの手で、
きっと、出来やしないだろう。
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