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37 長男と長男
「ふーん、どうする?ネズミ」
「はぁ、」
桃は、杜松に問いかける。
「私には、分かりかねます」
桃はやれやれという仕草をすると、ブラッセリー家の長男という男と向き合う。
「で、俺に何か用?仕事とられちゃったし早く帰りたいんだけど」
「………メルヘンに用があるんだよねー。隠れるのは性に合わないし、隠れてるメルヘンが気にくわないんだよね」
そういう理由で?桃は一気に不機嫌になる。
「まぁ、別に面倒くさいし。今回だけは、帰ろーっと。いいよね、ネズミぃ」
「はい、関わるなと今では言われていますので。しかし、若干関わってしまいましたが」
「一つ、俺を無視した。一つ、敵を目の前にして帰ろうとする」
「……はぁ、ならさ。殺ってほしいわけ?」
ブラッセリー家の長男の背後にたつと、後頭部に蹴りを入れた。
「寝てなよ、一時間ばかし~」
***
「っち、逃げられた。一分も気絶しちゃったぁ。一分もあったら逃げられちゃうよね~。次に賭けるか」
「あれが……長靴をはいた猫か…。でも、俺が一番興味があるのは……」
─────────cat's-eye。
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