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34 堕ちる
「ふふふ、ふふふ」
ぴちょん、雫が滴る音がした。
「つまんないよ、オオカミさんを痛めつけたお仕置きはこれじゃ足りないよ?」
真っ赤な猫目を細めて、白雪は足下を見やる。
「ほら、ねぇ…聞いてる?」
***
「…、銃音の間隔がおかしい…」
狼は、ふと気づく。いつもと違うと。
銃音のする方へと、駆ける。白雪が、おかしい。
「………白雪?」
不気味な笑い声をあげて一面血の海の真ん中でたつ白雪がいた。なぜ?
「……だあれ?…仲間?」
真っ赤な猫目。
狼は、頭に過ぎった。
───cat's-eye。
『狼、お前しかいないんじゃよ。あの子が堕ちるのを止めれるのは』
暗殺者の瞳。ただただ暗殺する。自我のなくなってしまうと噂、いやなくなってしまう。
白雪が、堕ちてしまう。
「…っ白雪っ!」
「……ふふふ」
名前を思わず呼んでしまう、しかし致し方ない。
「白雪、俺はここだよ。戻っておいでよ、白雪…」
***
オオカミさんが死んじゃった。
狼くんが、死んじゃった……。
狼くんが、狼くんが、……私は、もう。
「白雪、俺はここだよ。」
呼んでるのは、だあれ?
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