30 逃れられない
ある、一つの噂が広がった。
とある富豪が、沢山の暗殺者を雇っている。
それを聞き入れた暗殺者たちは、噂を詳しく調べだしある事を知る。
「金額が半端ないらしい」
しかも、雇う人数は関係なく一人一人多大な額の報酬があるらしい。
沢山の暗殺者たちは、その富豪の所へいきその噂が真実だとしる。そのまま、雇われる人もいれば内容を聞いて辞退するもの半々にわかれた。
辞退した一人の男はこういった、
「こんな仕事してはいるが、まだまだしたいことがある。金より、今回は命が惜しい。いずれ、見つかるかもしれないが」
他にも、辞退していった者達も命が惜しいと言っていた。しかも、キャリアも腕もいい者達が。残ったのは、純粋に殺しをしたい者、裏社会にはいりたての者、自分の力に自信があるものだった。
***
とある夜、富豪の邸の門の前に訪問者が多数現れた。
「ほっほっほっ、そないに暗殺者を集めよってからに…」
「我が家の家訓、ご存知ないのかしら?余計に…」
『殺りがいがある』
「あかずきん、狼、」
「はい、おじい様」
その門の周りにいた暗殺者達は、その呼び名に反応を示した。しかし、それは遅く跳んだ赤いポンチョの美少女が数人の暗殺者の頭に弾をぶっ放していた。
その反対側には、刀をふるう男が何人もの暗殺者の首をはねていた。
「それじゃ、行こうか。littleprincess」
「もー兄様、私はおやゆび姫!」
「小さいからね~」
頭に猫をのっけた男と、小さな少女はスタスタ歩きだす。
その先にいた暗殺者におののくことなく。
「……さぁ、君にとって一番最高に美しく死なせてあげる。喜びなよ」
ニタリ、笑みを浮かべたその男は、すぐ隣で囁いた。震え上がる暗殺者は、すぐにズタズタに殺された。
「ふふ、最高ですね。…火薬の匂いって…ねぇ?」
クスクス笑みを浮かべる少女。その火薬の匂いが自身からぷんぷん匂うことに不安を覚えた。
「……あれ、お気づきになりました?」
「え…」
「リーンゴーン、バーン!」
ドゴンっ、不吉な爆発音が響き渡る。
「さ、いこう!シンディ」
「ええ、あなた」
「よし、ワシらもいこうかの?」
「ええ、参りましょう」
****
『私の命を狙うはメルヘン。それを殺してくれ』
そう依頼する、富豪。
しかし、メルヘンたちは不吉に嗤う。
「逃れられない、我らに狙われたら最後」
そう、逃れられないのだ。
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